2020年12月13日(日)に東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕する稲垣吾郎主演舞台『No.9―不滅の旋律―』の公開ゲネプロと会見が開催され、ベートーヴェンを演じる稲垣とヒロインを務める剛力彩芽が登壇。本作への意気込みや久々の共演となるお互いの印象などを語った。
“楽聖”ベートーヴェンが、傑作をいくつも書き上げた19世紀初頭のウィーンを舞台に、作曲家として人間として、劇的な人生を送ったベートーヴェンが最後の交響曲「第九番」まで、どんな時間を生きてきたのか・・・白井晃の演出と中島かずきの脚本により波乱と苦悩の生涯を新しい視点と意欲的な演出&音楽表現で描く本作。ベートーヴェン生誕250周年を記念し、ウィーンでの上演を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大により今年2月に上演を断念。それでも感染防止対策をしっかりと実施した上で、ついに東京公演の開幕を迎える。
舞台は1800年、刻々と変化する政治情勢の影響を受けつつも「音楽の都」として栄えるオーストリアの首都・ウィーン。豊かな音楽の才能に恵まれながらも、複雑で偏屈な性格の為行く先々で騒ぎを起こし、以前から不調だった聴覚の障害が次第に深刻さを増している天才作曲家・ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(稲垣)を中心に、ピアノ職人のナネッテ(村川絵梨)とヨハン(岡田義徳)夫婦や、ナネッテの妹・マリア(剛力)、二人の弟ニコラウス(前山剛久)とカスパール(橋本淳)、恋人・ヨゼフィーネ(奥貫薫)らとの交流を描いている。
2015年、2018年に続き、2年ぶりの上演となる本作。無事にゲネプロまで迎えた稲垣は「とてもうれしいです。今回はコロナの影響もあって、スタッフの方々に作っていただいたルールを元にみんなで感染対策をしながら稽古に臨んで、ついに本番を迎えられるということで、観に来て下さる皆さまとまた素敵な時間を過ごせるのが楽しみで仕方ないです」と笑顔で語った。
また、2018年の再演から参加している剛力は「時代は違っても思いは一緒だと思うので、このご時勢だからこそこの『No.9』を通して皆さんに何かを伝えることが出来るんじゃないかなと思います。それを皆さんに伝えられたらと。そしてまたここに立っていられることが何よりうれしいです。最後までみんなで力を合わせてやり切りたいなと思います」と意気込んだ。
本作のベートーヴェンの生涯を描いているが、稲垣は「ベートーヴェンを取り巻く人々の話でもあるんですけど、この1カ月の稽古で白井さんにその一人一人のキャラクターを演出していただいて、より深く深く、ダイナミックなものに仕上がっていて、作品のスケール感も大きくなっていると思います。前回、前々回観ていただいた方もまた新しく楽しんでいただけるようなパワーアップしたような作品になっていると思います」と自信を見せた。
久々の共演ということで、互いの信頼関係について聞かれると稲垣は「本当に信頼してますし、尊敬する女優さん」と剛力の印象を語り、「稽古中はどうしてもマスクをしながらの稽古だったり、状況も変わっていたので和気あいあいと楽しくというよりも緊張感を持って稽古をしていたんですけど、心は繋がっているんじゃないかなと。ちゃんとベートーヴェンとマリアになっているのでその姿を見ていただきたいです」とコメント。
また、「ベートーヴェンはゴジラみたいなものなので回りの人が大変なんですよね(笑)。感情を爆発してる役なのでいつも変ってしまうような動きがあるんですけど、それにも合わせてくれたり。稽古で僕が冷静さを失ってしまうような時も剛力さんが役柄のマリアのように僕を支えてくれてサポートしてくれるんです。通じ合ってると僕は思ってるんですが・・・大丈夫ですか?」と少し不安そうな顔で剛力に問いかけ、「もちろんです(笑)」と返されてホッとした表情を見せた。
剛力はそんな稲垣について、「稲垣さん自身が人を惹きつける魅力のある方なので、私マリアは側にいてお世話をしたりしてますけど、マリアが支えてるようで実は支えられているというか・・・そういうところは稲垣さんとリンクする部分があるなと感じます。安心してマリアとして寄り添うことが出来るというか」としっかりと信頼関係が築けているようだ。
2年ぶりの再会ということで、お互いに変化したと感じる部分があるかと聞かれると剛力は「全然変わらないですよね、お若いまま。スタイルも常にいいし、着こなしもすてきで」と稲垣の変わらなさっぷりに驚いた様子。一方、稲垣は「彩芽ちゃんはすごく大人っぽくなりましたよね。僕らの年の2年よりも、彩芽ちゃんくらいの年齢の子の2年はどんどん成長して変わっていきますし」とお父さんのようなお兄さんのような優しい目で見守っていた。
剛力といえばプレゼントのセンスに定評が。稲垣が12月8日に誕生日を迎えたばかりであることもあり、剛力からのプレゼント質問が飛ぶと稲垣は「まだ、忙しくて頂いてないんですけど、でも前回ご一緒させていただいたときはハットをいただきました」と明かし、「クセっ毛を隠すために帽子をかぶることがプライベートでは多いんですけど、それをちゃんと見ていてくださったようで」と剛力の気遣いに感心した様子。
さらにプレゼントとしてほしいものを問われると「本当はみんなで一緒にお食事をしたりとか・・・僕もレストランやっているのでご招待して。今年はそういう時間もなくて・・・でも稽古場に来て皆さんに会うだけで元気になるんですよね。だから開幕してお客さん入ったらもっともっとそれが大きくなるんじゃないかなって」と期待を明かした。
12月も中旬。一年を振り返り、今年の漢字について聞かれると稲垣は「想定してなかったな・・・(笑)」と戸惑いつつ、「今年一年はちょっとネガティブな報道が多くて、うれしいニュースで考えると昔一緒にがんばっていた森(且行)くんが(オートレースの日本選手権で)優勝したことがすごくうれしかったので・・・“森”!大丈夫ですか?ふざけてると思われちゃいますか?(笑)」と茶目っ気たっぷりに答えた。
一方、剛力は「劇中に『歓喜の歌』が出てくるんですが、その「喜」という字ですかね。もちろん喜べるような年じゃなかったかもしれないけど、こうやって皆さんとお芝居ができて観に来て下さる方がいらっしゃるというのを続けられるというのは、表現者としてすごくうれしいなと思うんです。そういう気持ちを忘れずに、皆さんにも喜んでいただけるようにがんばりたいとおもいます」としみじみ語った。
最後に、剛力が「正直明日初日を迎えるという実感がわいてなくて・・・いろんな緊張があるのですが、この作品を通して小さな希望じゃないですけど光を届けられればと思います」とコメント。稲垣が「今年はコロナ渦で皆さんいろんな思いで過ごされてきたと思うんですけど、『No.9』はベートーヴェンからの大きな大きな愛のメッセージなので、エネルギーを持って皆さんにお届けして、2021年に皆さんが一歩踏み出すための力になれれば幸いです。千秋楽までがんばっていきたいと思います」とメッセージを送り会見を締めた。
『No.9―不滅の旋律―』は2020年12月から2021年1月にかけてTBS赤坂ACTシアターで上演。上演時間は第1幕1時間10分、休憩20分、第2幕1時間40分の予定。
(取材・文・撮影=エンタステージ編集部3号)
公演情報
『木下グループ presents No.9–不滅の旋律』
2020年12月13日(日)~2021年1月7日(木) TBS赤坂ACTシアターにて上演
【演出】白井晃
【脚本】中島かずき(劇団☆新感線)
【音楽監督】三宅純
【出演】
稲垣吾郎/剛力彩芽
片桐仁、村川絵梨、前山剛久、
岡田義徳、深水元基、橋本淳、広澤草、小川ゲン、野坂弘、柴崎楓雅、
奥貫薫、羽場裕一、長谷川初範
【公式サイト】 https://www.no9-stage.com/