世界で活躍するトップクリエイターと共に日本のコンテンツを原作として、英語のミュージカルを企画開発・製作するプロジェクトをニューヨークでスタート。そのための作品として、安野モヨコの漫画「鼻下長紳士回顧録」が選ばれた。
「鼻下長紳士回顧録」は、安野モヨコの5年8ヶ月ぶりの作品として、2013年に「FEEL YOUNG」(祥伝社)で連載が始まり、2018年に完結した作品。今年の文化庁メディア芸術祭の優秀賞も受賞している。
演出・振付を手がけるのは、ミュージカル『モダン・ミリー』(2002年トニー賞作品賞ほか5部門受賞)で、トニー賞振付賞を受賞したロブ・アシュフォード。アシュフォードは、これまでにブロードウェイミュージカル『FROZEN(アナと雪の女王)』『エビータ』『カーテンズ』『ウェディング・シンガー』など11作品の振付を手掛けている。
ロンドンでは、ローレンス・オリビエ賞を受賞した『ロミオとジュリエット』『パレード』『欲望という名の電車』などに振付として参加。現在は、映画化が進められているトニー賞受賞ミュージカル『サンセット大通り』の監督を務めている。
総合プロデューサーを務めるのは瀧内泉。NHKアナウンサー、劇団四季プロデューサー、ソニー株式会社プロデューサーなどを経て、日本の作品を日本人の手で世界に展開することを目標に、現在はニューヨークにて本プロジェクトをリードしている。
瀧内をサポートするニューヨーク ブロードウェイのゼネラルマネージャー(GM)にデヴィン・クーデル。ミュージカル『ビートルジュース』『スクール・オブ・ロック』『トッツィー』を始め、現在は2021年に開幕予定のマイケル・ジャクソン伝記ミュージカル『MJ THE MUSICAL』を手がけるブロードウェイミュージカル制作のベテランだ。
本プロジェクトは、すでに後日発表となる作曲家による曲作りが開始。現在は脚本家の選定が進行しているとのこと。
コメント紹介
◆安野モヨコ
この度は、日本の漫画原作として、初めてのブロードウェイミュージカル化を目指すプロジェクトに、『鼻下長紳士回顧録』が選ばれ、大変光栄に思います。
元々、自分が好きだった20世紀初頭のパリを舞台とし、日本で描いた作品が、アメリカでミュージカル劇となり、多くの人を魅了するかもしれないと思うと、改めてマンガというものの可能性に気づかされると共に、少しだけ不思議な気持ちになります。
作品の世界観がどのように現実化するのか、 楽しみにしております。
◆ロブ・アシュフォード
私は「鼻下長紳士回顧録」が大好きです。
この作品は、とにかく美しい。登場人物は力強く鮮やかで、 ストーリーは驚きの連続です。 主人公のコレットは、絶望的な現実をノートに記し、自分を救う物語として書き換え、自らを救おうとする。そこには「自分の人生は自分で切り開くしかない」という、現代において素晴らしい教訓があります。
この物語の時代や設定はとてもミュージカルに向いています。作品が持つ様々な魅力が合わさった結果、素晴らしいミュージカルになると確信しています。
私はかつて日本で仕事をした時、日本の風土、人々をはじめ、日本に恋をしました。
今回、日本の作品「鼻下長紳士回顧録」に関わることができ、心から誇らしく嬉しく思います。
「鼻下長紳士回顧録」あらすじ
「20世紀初頭、フランス・パリ。売春宿で働くコレットは、訪れる“変態”的な欲望を抱えた紳士たちを相手に出口の見えない生活を送っていた。彼女の唯一の幸せは、どうしようもなく惹かれてしまうヒモ男、レオンとの逢瀬の時間。・・・たとえ、彼がコレット以外の女のもとへ通っているとしても・・・。
「変態とは、目を閉じて花びんの形を両手で確かめるように、自分の欲望の輪郭をなぞり、 その正確な形をつきとめた人たちのことである・・・」
一人の女性が明日への希望を紡ぎ、生きる喜びを発見する物語――。