2019年11月15日から東京・新宿FACEで浜中文一主演のミュージカル『50Shades!~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』が上演されている。開幕直前にフォトコールと囲み取材が行われ、浜中の他、水崎綾女、シルビア・グラブ、野口かおる、青木さやか、福田転球、そして河原雅彦が登壇した。
本作は全世界で大ヒットした官能小説「50Shades of Grey」のパロディとして作られたエロティックコメディミュージカル。“クレイジーな下ネタには造詣の深い”演出家・河原のもと2016年に日本初演され、今回の再演では東京、大阪、福岡の3都市で上演される。過激なものからライトなものまで、とにかく下品なセリフやリアクション、歌などをふんだんに盛り込みつつも物語の中心にいる1組の男女の“純愛”も描き、“濃くもサッパリ”としたエロを堪能することが出来る。
フォトコールでは、主婦三人組パム(シルビア・クラブ)、ベブ(野口)、キャロル(青木)が週に一度開催している「本を読む会」、女子大生のアナが若き企業家のグレイに惹かれていく恋愛小説・・・官能小説を紹介するという場面を公開。
料理本やアスリートの本を紹介するベブ、キャロルに、パムが刺激的な「50Shades of Grey」を紹介。最初は戸惑っていた2人だったが、マンネリ化した性生活を送っていることもありパムの熱いプレゼンに影響され・・・本を読み始めたタイミングで歌いだす「OPEN YOUR HEART~おめでとうジェシカ~」ではパワフルで情熱的な歌声と共に、レディビアード、カイル・カード、パイレーツオブマチョビアンらダンサーとのセクシーな絡みを見せるなど3人の欲望が開放されていく。
初っ端から包み隠さずエロが全開。この作品を楽しむための心の準備をさせてくれるような流れで物語は進み、今度は官能小説の世界へと切り替わる。これまで平凡に生きてきた純真無垢な女子大生・アナが友人であるキャサリン(野口)から頼まれ、若く有能だがサディストな実業家・グレイの元に訪れることになる。
ここでも随所で濃いエロと笑い、“素敵”な歌が楽しめる。特にキャサリンを演じる野口の自由さには知らず知らずのうちに翻弄されてしまう。原作のキャラとはかけ離れた下品な動きと言葉・・・思わず吹き出してしまうその存在感はまさにこの作品の世界観そのもののようにも見えた。
そんなキャサリンの真横にいて、胸を揉まれ、さらには福田が演じる“えいちゃん”すぎるメキシコ人・ホセからの“猛攻”に惑わされず純粋でかわいいアナを見事に表現している水崎にも目がひきつけられる。アナのソロナンバー「THERE’ A HOLE INSIDE OF ME~穴のバラード」は、タイトルからしてかなり下ネタだが歌詞もエロティックに溢れている。それでも流ちょうな英語の発音と真っすぐな歌声、キュートな水崎の笑顔でそのエロさが中和されているように感じた。
そしてこの物語の主人公で、純真なアナの心を翻弄していく浜中演じるグレイは説得力のある“妖しさ”を身にまとっていた。独特な話し方、思わせぶりな言動、仕事がデキる男の考え方、戸惑うアナを楽しそうに見つめる鋭い瞳、女性を虜にする魅力がいっぱいだ。とんでもない性癖、歪んだ愛のカタチを持つグレイとアナがどのように惹かれ合い、どうなっていくのか目が離せなくなるだろう。
囲み取材では再演となる今回への意気込みを聞かれ、主演を務める浜中が「とにかく皆さんに楽しんでいただけたら一番いいなと。あとはエロをやっているだけなので(笑)」とコメント。アナを演じる水崎は「大体が放送禁止用語のセリフなので、ここでしか楽しめないと思います。ぜひ皆さん劇場に来ていただけたらうれしいです」と語り、アナの友人・ホセ役の福田も「劇場に来てもらわないと分からないことがいっぱいあって、楽しいこともいっぱい待っているので、来ていただいけたら最高だと思います」とアピールした。
キャロル役の青木は「稽古で本当に笑い過ぎて疲れたというか・・・」と笑いつつ「ある意味普段は欲求を抑えていた部分があるんですが、この舞台を見れば開放されていたというか・・・欲求不満が解消されるそんな舞台です」と“異色”な舞台の楽しみ方を紹介。パム役のシルビア・クラブも「ここまではじけた舞台はない。生バンドも超楽しいし、キャストたちもすごく楽しくはじけているので、お客さんもはじけていただけたら幸いです!」と楽しそうに呼びかける。
次はベブとキャサリンの2役を務める野口が話し始めるかと思いきや・・・水崎から「野口さんはダメです、放送禁止用語しか言わないので(笑)」とストップが。それでも野口は「私もしゃべらせていただいてよろしいでしょうか?」と了承を得てから「すごく秘めたリビドーが開放されるというか。どんな人も性欲ってあると思うので、隠された性欲を露わにしていただいて。女性の方はホルモンバランスが整ってくるというか、肌艶が良くなると思うので、この芝居を見てつやめいていただければと思います」と少し抑えめに作品の魅力をアピールした。
一方、上演台本・訳詞・演出を務めた河原は「(フォトコールとかみたいに)ちゃんと観られるのが一番つらい・・・(笑)。早く本番がやりたいと思っていました。空前の下ネタブームじゃないですか。それに乗っかって、楽しんでいただけるものが出来ていると思います」と語り、「福岡はダメなんですけど、(東京と大阪では)お酒を飲みながら観られるんです。日本のお客さんは真面目だからお酒を控えたりすると思うんですけど、飲んでないと見てられないと思います(笑)。本場がそんな感じなんです。お酒を飲みながらワーワーギャーギャー騒ぎながら楽しむものなので、皆さんも心をオープンにして楽しんでいただければ」と本作ならではの楽しみ方を教えてくれた。
記者が浜中の体調を気遣うと、野口から「演劇的に絶倫な方なので・・・」ととんでもない一言が。青木も「とにかくエロい」と語り「こんな人がいるんだってびっくりして。袖でずっと文ちゃんを見ながら、『うわ、エロい』って言っています」と明かした。さらに野口も「征服される感がめちゃくちゃあるので、みんな文ちゃんに征服されたらいいと思います」と浜中の“エロさ”を絶賛した。
最後に改めて舞台を見に来る観客へのメッセージを求められた浜中は「えーっと・・・これはなんて言えばええんやろな(笑)」と戸惑いつつ、「女性の方はノーパンで来てください! お待ちしております」と本作にふさわしい言葉を送って囲み取材を締めくくった。
ミュージカル『50Shades!~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』は下記の日程で上演される(※15歳未満、中学生以下は入場不可)。上演時間は休憩込みの約2時間20分を予定。
【東京公演】11月15日(金)~11月24日(日) 新宿FACE
【大阪公演】11月29日(金)~12月1日(日) Zepp Namba
【福岡公演】12月3日(火)・12月4日(水) ももちパレス
【公式サイト】http://www.ktv.jp/event/50shades/
【公式Twitter】@50shades_ktv
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)