“今”を生きるあなたに届けーー新作ミュージカル『いつか~one fine day』稽古場レポート

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2019年4月11日(木)に、ミュージカル『いつか~one fine day』が幕を開ける。ベースとなっているのは、イ・ユンギ監督の映画『One Day』(2017年/主演:キム・ナムギル、チョン・ウヒ)。ファンタジックでありながら“人生の中で誰もが一度は向き合うことになる瞬間”を、新たな解釈で紐解いた。脚本・作詞・演出は板垣恭一、作曲・音楽監督は桑原まこ。新作ミュージカルが生まれる現場とは?

取材したのは、本番を間近に控えた稽古場。出演する藤岡正明、皆本麻帆、佃井皆美、和田清香、荒田至法、入来茉里、小林タカ鹿、内海啓貴が一堂に会し、通し稽古に臨んでいた。

(以下、物語のあらすじと一部セットの写った写真を含みます)

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物語は、保険調査員の夏目テル(藤岡)が後輩のタマキ豊(内海)の担当だった仕事を引き継ぐよう、新任の上司・クサナギ泰人(小林)に命じられるところから動き出す。その仕事というのは、交通事故で植物状態になってしまった樋口エミ(皆本)の「事故原因を調べる」というものだった。

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テルはエミの代理人であり、姉のような存在である長門マドカ(佃井)と友人の田亀トモヒコ(荒田)に会いに行くが、二人は調査に非協力的。進展がない中、病で死別した妻・マキ(入来)のことを思い出す。そんなテルに誰かが声をかけてくる。それは、意識がなく眠り続けているはずのエミだった。しかも、その姿はテルにしか見えていないようなのだ。

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にわかには信じがたい出来事に直面しながらも、テルはエミと会話をし、その心に少しずつ触れていく。やがて、事故の陰に幼い頃、彼女を捨てた母親・サオリ(和田)の存在が浮かび上がってきて・・・。

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あらすじをなぞるとファンタジック。そして、とても現実的な人間ドラマ――そんな印象を受けた。ミュージカルというと華やかな作品が多いが、この作品が描いているのは日常。登場するのは、私たちが日頃どこかの道ですれ違っているかもしれない普通の人々だ。

ニコニコ笑っている普通の人も、きっとこれを読んでいるあなたも、大なり小なり、見えないところに痛みや苦しみを抱えているだろう。キレイゴトだけでは済まない、それが人生。韓国の映画作品がもととなっていることもあり、美しく描かれた作品ではあるが、出てくる言葉の一つ一つが、稽古場で耳にしても、すごく刺さった。

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演出の板垣は、本作を「社会派ミュージカル」と位置付けている。その言葉どおり、主人公・テル役を演じる藤岡の歌声をはじめ、登場人物それぞれの歌声には、迷い、後悔、つらさ・・・誰もが持つ現実的な弱さが乗っている。とても人間くさい。普通に対峙したら、目をそむけたくなってしまうような感情もあるかもしれない。桑原の紡ぐ音楽は、そんな感情にもそっと寄り添い、肯定してくれる。この作品を、ミュージカルとしてやる“意義”を、強く感じた。

ぜひ、“今”を生きるあなたに観て、感じて、考えて、受け取ってほしい。そんな新作ミュージカルが、まもなく産声を上げる。

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ミュージカル『いつか~one fine day』は、4月11日(木)から4月21日(日)まで東京・シアタートラムにて上演される。4月12日(金)公演、4月14日(日)16:30公演、4月17日(水)14::00公演は、手話通訳付きのアフタートーク付き。

このほか、聴覚障害者用字幕席対応公演や、カルチベート・チケット対象公演(学生無料チケット・枚数限定)などがある。詳細は、公式HPにてご確認を。

【公式HP】https://www.consept-s.com/itsuka
【公式Twitter】@consept2017

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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