2019年2月6日(水)に東京・世田谷パブリックシアターにて、『CHIMERICA チャイメリカ』が開幕した。本作は、2014年にローレンス・オリヴィエ賞最優秀新作プレイ賞を含む5部門を受賞した英国若手劇作家ルーシー・カークウッドの傑作戯曲。天安門事件という重大な歴史的事件を背景に、米国と中国、1989年と現代を行き来しながら、ユーモアに溢れた軽快な会話を通して時代の真実を浮き彫りにしていく。
日本では、これが初上演。演出は、第26回読売演劇大賞で大賞・最優秀演出家賞を受賞した栗山民也が手掛けている。出演には、田中圭、満島真之介、倉科カナ、眞島秀和といった話題の実力派が顔を揃えた。
開幕にあたり、演出の栗山をはじめ、田中、満島、倉科、眞島からコメントが届いている。
◆栗山民也(演出)
やはり、とんでもない作品だった。そんな予感は充分にあったものの、稽古が進むうちにそれははっきりと証明された。38景の場面が、カメラのシャッターを連写するかのようなスピードで、その原色の光景を次々と炙り出す。そして、巨大なアメリカと中国を往還しながらも、そこに見えてくるものは、ただただ小さな人間たちの必死な姿なのだ。「自由とは」「人間とは」「世界とは」などの大きな問い掛けが、頭の中を駆けめぐる。
初日の朝、熱くうごめくマグマを前に、俳優やスタッフたちとともに今も格闘は続いているが、それも承知の上でとても頑丈だが、とても豊かで楽しい。フェイクばかりの今の世の中に、物語の中の一枚の写真が捉えた時代の真実とは何かを、しっかりと見つめたい。
◆田中圭(ジョー・スコフィールド役)
作品の持つパワーのすごさを改めて実感しました。栗山さんの感覚、僕たち演者の感覚。そして観てくださる皆様の感覚。すべて一本に通してみたいなとワクワクしました。個人的には台詞では取りきれないジョーの本質をなんとか伝えたいです!難易度は高いですが、まだまだ初日!ここからです!アメリカと中国。二つの場面の差異も深く楽しんでください!
◆満島真之介(ヂァン・リン役)
劇場に新たな風が吹いた、日本初演の初日公演でした。記念すべきこの日を胸に刻みたい。演劇の力、戯曲のもつ力を信じ、信頼できるカンパニーと共に千秋楽まで自分に与えられた使命をまっとうします。
◆倉科カナ(テス・ケンドリック役)
たくさんの方に支えられて、初日を迎えることができました。とても素晴しいルーシーさんの脚本、そして栗山さんの豊かな演出。その中でテスという人間を見つけ、舞台で生きるのに、私だけの力ではどうにもならないと痛感しました。たくさん皆に甘え、田中圭さんとは特に一緒のシーンが多いので圭さんに頼り、エネルギッシュで芯のあるテスが生まれれば良いなと思います。またジョーに出会い、感化されテスが行き着く先にも、ぜひご注目ください。
◆眞島秀和(ヂァン・ウェイ役)
まず、無事に初日を迎えることができて感謝しております。これからこの座組で『チャイメリカ』を深めていけるのが楽しみです。
このほか、瀬戸さおり、池岡亮介、石橋徹郎、占部房子、八十川真由野、富山えり子、安藤 瞳、阿岐之将一、田邉和歌子、金子由之、増子倭文江、大鷹明良が出演している。
世田谷パブリックシアター×パソナグループ『CHIMERICA チャイメリカ』は、019 年2月24日(日)までて東京・世田谷パブリックシアターにて上演。その後、愛知、兵庫、宮城、福岡を巡演する。日程の詳細は、以下のとおり。
【東京公演】2月6日(水)~2月24日(日) 世田谷パブリックシアター
【愛知公演】2月27日(水)・2月28日(木) 東海市芸術劇場
【兵庫公演】3月2日(土)・3月3日(日) 兵庫県立芸術文化センター
【宮城公演】3月6日(水) 多賀城市民会館 大ホール
【福岡公演】3月9日(土)・3月10日(日) 福岡市民会館
(撮影/細野晋司)