砂岡事務所プロデュースの音楽劇『Love’s Labour’s Lost』が、11月25日(日)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて上演されている。『Love’s Labour’s Lost』は、ウィリアム・シェイクスピア作『恋の骨折り損』の原題。今回、シェイクスピア初期の恋愛喜劇を、FUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介が、現代的演出の音楽劇に仕立てた。
出演は、石川由依と國立幸(Wキャスト)、内藤大希、鐘ヶ江洸、鈴木陽丈、土屋神葉、吉田翔吾、田上真里奈、和久井優、吉田愛、藤田峻平、新部聖子、澤田慎司、谷山智宏。本記事では、公開ゲネプロの舞台写真をお届けする(Wキャストは石川が担当)。
【あらすじ】
ナヴァール王国の若き王(内藤)は、3年間女性との交際を絶ち、1週に1日は断食、1日3時間しか眠らないという禁欲的な生活を送り、学問に打ち込むことを、友人である貴族のビローン(土屋)、ロンガヴィル(鐘ヶ江)、デュメイン(鈴木)と誓い合う。しかし、すぐに問題が・・・。フランス国王の使者として、フランスの美しき王女(石川・國立)が、侍女であるロザライン(田上)、マライア(和久井)、キャサリン(吉田)を連れて、借金の返済を機に領土の返還を求めてやってきていたのだ。仕方なく、王たち4人は城外でフランス王女たちと接見するが、揃いも揃って、皆、4人の美女に恋をしてしまい・・・。
シェイクスピア作品の中でも怒涛の台詞劇である『Love’s Labour’s Lost(恋の骨折り損)』。スーツなど現代的な洋装に身を包んだ登場人物たちは、シェイクスピアの翻訳そのままに語るので、不思議な感覚に陥るが、馴染んでくると、言葉の美しさが際立って耳に届く。禁欲を誓う凝りに凝った言葉の数々も、のちの展開を思うと、まさに“骨折り損”。
そして、作品の全編を包む音楽。糸井が座付作家・演出家として活動しているFUKAIPRODUCE羽衣が生み出す“妙ージカル”でもその才能は知られているが、キャッチーなメロディには、混沌が内在している。それが、力強くろうろうと響かせる内藤、鈴を転がしたような美しい声を持つ石川らが歌い上げ華やかに昇華していく様は、とても気持ちがいい。
男性陣が恋に落ちた男たちの滑稽さとかわいらしさを代わる代わる示していく一方、女性陣はウフフと上品に笑いながら、常に一枚上をいくしたたかさを持つ。シェイクスピアが誕生してから450年以上経っても、人を愚かにしてしまう恋のパワーは変わらないのだと思うと、クスッと笑える約2時間だった。
音楽劇『Love’s Labour’s Lost』は、11月25日(日)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて上演。
【公式HP】http://sunaoka.com/stage/LLL/
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)