2018年10月20日(土)にハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」〝最強の場所(チーム)〞が東京・TOKYO DOME CITY HALLにて開幕した。2015年11月の初演から今回はシリーズ6作目となる新作公演。また、初演より座長として本作を牽引してきた主演の須賀健太をはじめ、主役校である烏野高校のキャスト全員が、本公演で卒業することでも話題を集めている。
その初日前日に公開ゲネプロと囲み会見が行われ、出演者の須賀健太(日向翔陽役)、影山達也(影山飛雄役)、小坂涼太郎(月島蛍役)、三浦海里(山口忠役)、遊馬晃祐(及川徹役)、有田賢史(牛島若利役)と、演出・脚本のウォーリー木下、音楽・演奏の和田俊輔が登壇した。
(以下、一部物語に触れています)
数々の困難を乗り越え、チームとして力をつけてきた烏野高校排球部は春高予選を勝ち上がり、いよいよ準決勝を迎えた。対するは、インターハイ予選で惜敗した及川率いる宿敵・青葉城西高校。進化した速攻を武器に日向と影山は先へ進むことが出来るのか。そして決勝で待つのは、全国3本指に入る実力を持つ牛島擁する絶対王者・白鳥沢学園高校。春の高校バレー宮城県代表決定戦、果たして全国大会への切符を掴むのは・・・最強のチームはどこか―。
本作が最後の公演となる須賀は、その手応えについて「本当にリアルな人間ドラマの集大成を作れたと思います。どっちが勝つか負けるか、物語上決まっていますが、どのチームも全力で1点にしがみついていて、勝ちにこだわっています。それは役者を超えて、一人の人間としてもっとリアリティのある“何かを生きる”ということに繋がるのかもしれません。そんなところまで行けた作品だと思っています」と自信をのぞかせる。
常に進化し、演劇の“頂”へ挑み続ける本作。影山は「今回、全員での息合わせなど、簡単そうに見えてすごく難しいことがたくさん増えました。そういう難しさや演劇の楽しさを感じています。体力の限界もあると思うんですが、そこを超えた演劇の新しい境地に、皆で行きたいと思います」と意気込む。三浦も「今回も新しいことに挑戦しています。それから、今まで培ってきた僕たちと、ずっと積み重ねてきたものがいい化学反応を起こして、すごい舞台が出来上がったんじゃないかなと思います」と手応えを見せる。
クールな役柄の月島とは違い、皆からムードメーカーと言われる小坂は「烏野のキャスト全員がムードメーカーです。地方公演では、皆でご飯を食べに行ったり、皆で行動したりしていて、本当に部活みたいです」と烏野キャストの仲の良さを明かす。今回は日向、影山、月島、山口だけでなく、そんな絆が深まったキャストたちが演じる烏野メンバー全員に、数々の活躍の場が訪れることにも注目だ。烏野高校キャスト全員が本公演で卒業ということも相まって、まさしく集大成というべき公演となっている。
約1年半ぶりの登場となる青葉城西を率いる及川役の遊馬は「今回、青葉城西は“最強チーム”ということで、こだわったチーム作りをしています。まとまったチームですが、より細かく、ダンスにしてもバレーの動きにしてもこだわって“最強チーム”を作れるように稽古をしてきました。新しいメンバーも増えて、1年半前とはまったく違うチームになっています」とキャプテン役らしくチーム全体をアピール。
及川と中学時代の後輩で宿敵・影山とのセッター対決、試合に波乱を巻き起こす“狂犬”こと京谷賢太郎(北村健人)の登場と、青葉城西は見どころ満載の試合を繰り広げる。
そして、満を持しての登場となる絶対王者・白鳥沢学園。白鳥沢のエース牛島役を演じる有田は「前作、白鳥沢からは牛島だけが登場しましたが、今作で白鳥沢の個性豊かなキャラクターが揃いました。タイトル通りに絶対王者のチームとして、本当の王者を演じられるように、圧倒的熱量を持って、演じていきたいと思います」と意気込みを披露。
圧倒的な実力と王者の貫禄を持つ“超バレー馬鹿”牛島を筆頭に「ゲスブロック」が得意技の天童覚(加藤健)、次期エースの五色工(菊池修司)、誰よりも目立たないセッターである白布賢二郎(佐藤信長)などと個性豊かな白鳥沢メンバー。完膚なきまでに叩きのめそうと牙を剥く彼らに、烏野メンバーがどう立ち向かって行くのか。シリーズ最大の盛り上がりが待っている。また、日向に過去の自分を重ね合わせながらも否定する白鳥沢監督・鷲匠鍛治(川下大洋)と、烏野元監督の烏養一繋(林剛史)との大人のドラマが、作品の脇を固める。
ノンストップで激しい試合シーンの中に、観る者の心揺さぶる数々のドラマを舞台のテンポを損なわずに織り込んでいるのが本シリーズの魅力。その演出について、ウォーリー木下は「いろんなドラマが詰まっている原作ですが、それがコートの中ですべて起こるというのがハイキューの魅力です。今作はずっと試合シーンですが、そこにたくさんの人間ドラマがあり、試合の進行と共に進んで行きます。原作の良さを引き出すために、試合を見ている感動なのか、人間を見ている感動なのか、分からなくなるような演出を仕掛けています」と説明。加えて、シリーズの過去公演での印象的な演出が本作では随所に散りばめられているので、シリーズファンはぜひその点も注目して観て欲しい。
さらに、本公演では、演劇界で超人気の音楽家・和田が自身初となる生演奏を全公演で行う。和田は「初めて」という囲み会見で緊張した様子を見せながらも「物語の展開が分かっていても、絶対に負けるか勝つか分からない試合をしているというのが、僕的に感動のポイントでした。それを音楽に取り込もうと、その場その場で音楽を作っています。キャストと観客の熱量を感じ、そこで感じた一期一会を演奏として出そうとしているので、同じ公演はないと思います」と音楽テーマを解説。
和田の生演奏が須賀たち演者を音で支え、そのアップテンポでグルーヴィーな楽曲の数々が、アクロバティックでダンスフルな試合シーンに、今までを超える最高の一体感を生み出している。
会見の終盤には、須賀がシリーズの3年間を振り返りながら「サプライズとか無さそうなので言うんですが、(会見当日)今日は誕生日なんです。すみません、自分から言って(笑)。芸能生活20周年で、一発目がこの作品なのは僕の中ですごく幸せです」と語ると「けんたー!誕生日おめでとう!!」の声と共に、烏野キャストのメンバー総登場でサプライズを実施。
須賀は「(誕生日のこと)言っちゃったんじゃん(笑)」と驚きながらも満面の笑顔を見せ「今の光景を見ていただいたと思うんですが、これが“最強のチーム”たる烏野だと思います。ちょっとマジでビックリして泣いた。涙したって記事に書いてください(笑)」と照れ笑い。そして「嬉しさと共に身が引き締まる思いです。皆と一緒に誰一人欠けることなく、全員で最後まで駆け抜けていきたいと思いますので、応援のほどよろしくお願いいたします」と呼びかけた。
ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」〝最強の場所(チーム)〞は、10月18日(日)まで東京・TOKYO DOME CITY HALLにて上演。その後、広島・兵庫・大阪・宮城・東京凱旋公演を行う。日程の詳細は以下のとおり。
【東京公演】10月20日(土)~10月28日(日) TOKYO DOME CITY HALL
【広島公演】11月9日(金)・11月10日(土) はつかいち文化ホール さくらぴあ 大ホール
【兵庫公演】11月15日(木)~11月18日(日) あましんアルカイックホール
【大阪公演】11月23日(金・祝)~11月25日(日) 梅田芸術劇場 メインホール
【宮城公演】11月30日(金)~12月2日(日) 多賀城市民会館 大ホール
【東京凱旋公演】12月7日(金)~12月16日(日) 日本青年館ホール
【公式HP】http://www.engeki-haikyu.com/
(C)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
(取材・文・撮影/櫻井宏充)