2018年11月末より東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、「シアターコクーンが海外の才能と出会い、新たな視点で挑む演劇シリーズ」DISCOVER WORLD THEATREの第4弾として『民衆の敵』が上演される。
本作は、“近代演劇の父”とも称されるノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンの代表作の一つ。アメリカではアーサー・ミラーによって翻案されブロードウェイで上演、1978年にはスティーブ・マックイーン製作・主演によって映画化、2005年にはノルウェーで設定を現代に置き換えた映画『人民の敵』が製作されている。
演出は、シアターコクーンにて2016年に『るつぼ』を手掛けたジョナサン・マンビィ。また、今回はアーサー・ミラー翻案の戯曲ではなく、新たに広田敦郎が戯曲を翻訳し、上演に臨む。
主演は、マンビィと2度目タッグを組む堤真一。共演には、安蘭けい、谷原章介、大西礼芳、外山誠二、大鷹明良、木場勝己、段田安則という顔ぶれが揃った。
【あらすじ】
物語の舞台は、温泉の発見に盛り上がるノルウェー南部の海岸町。
その発見の功労者となった医師トマス・ストックマン(堤)は、その水質が工場の廃液によって汚染されている事実を突き止める。汚染の原因である廃液は妻カトリーネ(安蘭)の養父モルテン・ヒール(外山)が経営する製革工場からくるものだった。トマスは、廃液が温泉に混ざらないように水道管ルートを引き直すよう、実兄かつ市長であるペテル・ストックマン(段田)に提案するが、ペテルは工事にかかる莫大な費用を理由に、汚染を隠ぺいするようトマスに持ち掛ける。
一刻も早く世間に事実を知らせるべく邁進していた、新聞「民報」の編集者ホヴスタ(谷原)と若き記者ビリング、市長を快く思っておらず家主組合を率いる印刷屋アスラクセン(大鷹)は、当初トマスを支持していたが、補修費用が市民の税金から賄われると知り、手のひらを返す。
兄弟の意見は完全に決裂し、徐々にトマスの孤立は深まっていく。カトリーネは夫を支えつつも周囲との関係を取り持とうと努め、長女ペトラ(大西)は父の意志を擁護する。そしてトマス家を出入りするホルステル船長(木場)もトマスを親身に援助するのだが・・・。
トマスは市民に真実を伝えるべく民衆集会を開く。しかし、そこで彼は「民衆の敵」であると烙印を押される・・・。
なお、本作はBunkamuraの改修工事に伴う同劇場休館後初、そして開館30周年の記念公演第1弾として上演される。
『民衆の敵』は、11月29日(木)から12月23日(日・祝)まで東京・Bunkamuraシアターコクーンにて上演される(12月下旬に大阪・森ノ宮ピロティホールで公演の予定あり)。チケットは、9月に一般発売予定。