1975年に初演された『たいこどんどん』が、2018年5月に再演されることが決定した。演出を務めるのは、昨年こまつ座『円生と志ん生』にも出演したラサール石井。
本作は「手鎖心中」で直木賞を受賞した井上ひさしが受賞後第一作として書いた小説「江戸の夕立」を自ら劇化した作品。江戸から東京に移り変わる時代の狂騒と混乱を背景に若旦那・清之助と、たいこもち・桃八の珍道中を描いている。
出演は、桃八役の柳家喬太郎、清之助役の窪塚俊介、袖の浦役といくつかの役を演じ分けるあめくみちこほか9名。音楽は玉麻尚一が担当する。上演にあたり、ラサール石井と柳家からコメントが届いている。
◆ラサール石井(演出)
役者としての夢だった井上作品に出演が叶い、これほどの喜びはないと思っていましたら、矢継ぎ早に今度は演出のお話をいただき、恐悦至極とはこのことです。『たいこどんどん』は昔から愛着のあるお芝居です。今回はこまつ座初の役者さんが多いですが、私にとってベストなキャストが揃いました。今から楽しみでなりません。ご期待ください。
◆柳家喬太郎(桃八役)
「芸人に上手も下手もなかりけり行く先々の水に合わねば」などと言いますが、幇間(ほうかん)という方々がまさにそれで、似たような商売ながら、我々噺家はちょいとばかり我儘勝手です。いつもは一人で高座に上がっている噺家の私が、演劇という共同体の中で幇間さんを演じるという・・・何やら畏れ多くてでも楽しみで、ましてや井上ひさし先生の作品だなんて、今から震え慄いておりますが、楽しい舞台になりますよう、一所懸命に相勤めます。
【あらすじ】
時は幕末。日本橋では、たいこもちの桃八が、江戸で指折りの薬種問屋鰯屋の跡取り息子・清之助と待ち合わせをしていた。二人は清之助ぞっこんの女郎・袖ヶ浦がいる品川小菱屋へ向かうが、そこで、薩摩侍たちと袖ヶ浦をめぐっての揉めごとが起こり、二人は小菱屋の二階から海に落ちてしまう。これが9年にわたる珍道中の始まりだった。清之助に裏切られても尽くし続ける桃八と、世間を知らで女好きな清之助。時に離れ離れになり、各地で騒動を起こしながらも、二人はがむしゃらに江戸への帰還を目指すのだが・・・。
こまつ座『たいこどんどん』は5月5日(土・祝)から5月20日(日)まで、東京・紀伊國屋サザンシアターにて上演される。