現在公演中のミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs立海。東京公演、大阪公演を終え、全国巡演や中国・上海での公演が控える中、エンタステージでは越前リョーマ役の阿久津仁愛(にちか)と手塚国光役の宇野結也にインタビューを実施。立海公演にかける想いや役へのアプローチ、青学(せいがく)や立海キャストとのエピソード、そして10月より始まる新イベント「TEAM Party」のことなど、たっぷり語ってもらった。
※一部、現在公演中の内容に触れている記述がございます。
――いよいよ立海公演が開幕しました。まずは今の率直な感想を教えてください。
阿久津:今回、僕にとって初の試合シーンがあります。試合の中ではラリーのタイミングも決まっているし、稽古もすごく難しくて、お客さんの前で堂々と表現できるか不安でした。でも東京公演が始まっていざ本番になると、これまで稽古時に感じていたことがすべて吹き飛んで・・・試合の楽しみを知っちゃいました(笑)。
宇野:僕が演じる手塚は、立海との試合中は不在ですが、僕は舞台袖から見ていて、チームメイトが日に日に逞しくなっていく姿を目の当たりにしています。原作者の許斐 剛先生は立海戦で何を伝えたかったのだろう?とか、作品の全体図を見た時の自分の役割とかを、客観的に見つめ直す機会になりました。彼らの成長やがんばりを見ながら、そこへ自分自身の気持ちを乗せて、日々公演に臨んでいます。
――阿久津さんは、公演前の会見時にも「試合が2回あって嬉しい」とおっしゃっていましたね。2回も試合があるのは体力的に辛そうだなと感じますが、それよりも楽しさの方が大きいですか?
阿久津:そうですね。楽しい気持ちの方が全然、勝ってます!
――その2回の試合については、野試合であり非公式戦の切原赤也(前田隆太朗)との試合と、関東大会決勝戦という大きな舞台での真田弦一郎(田鶴翔吾)との試合で、シチュエーションが異なります。それぞれの試合で意識していることや課題にしていることはありますか?
阿久津:まず切原戦は(越前の)覚醒前と覚醒後でシーンが分かれています。“無我の境地”を使う前のラリーと、無我の境地を発動してからの様子、その違いを別人のように見せたいなと思って意識しています。でも、優勝が懸かっている試合ではないので、ただ単に「切原を倒したい!」との思いで伸び伸びと、気を楽にしてやっています。そしてシングルス1の真田戦は、ダブルス2とダブルス1が負けてしまい、その中でシングルス3とシングルス2が接戦で勝ち進んできたという、もう後がない状況で・・・。「自分が負けた瞬間に優勝がなくなってしまう」という思いを、常に頭の中に置きながら試合しています。あとは、手塚部長がいない中での大会をどう勝つか、ぽっかりと空いた隙間を自分たちでどう埋めていくか。長い試合なので緊張感もずっと続いて、自分自身も追い詰められていくというか・・・やっぱり体力面でも辛い所は何度かありますけど、そこをどう乗り越えるか。そういったことを考えながらやっています。
――宇野さんは冒頭でもお話があった通り、手塚部長は立海戦不在ですね。改めて、チームを見守る立場としての心境を教えてください。
宇野:自分自身スポーツをやっていたんですが、決勝戦に出場したことはなくて・・・。改めて、決勝ってすごいことだと思うんです。そこに出られない状況を自分と置き換えた時に、過去の自分の未熟さが邪魔をするというか、自分のせいでチームに迷惑をかけてしまったという思いがあるのかなと。彼なりにテニスと向き合って成長して、必死にやったけれども勝てなかった。でもそこを埋めてくれるチームメイトがいて、だからこそ青学(せいがく)に懸ける思いはすごく強いんだなと改めて認識しました。その上で越前リョーマに青学(せいがく)を託す想いは深いものだと感じます。
――高架下のシーンは、原作の中でも重要で重みのある場面だと思います。今回は回想という形で再現されていますが、今このタイミングで演じられることについてはどう感じていますか?
宇野:1stシーズンから2ndシーズン、そして3rdシーズンでは青学(せいがく)8代目の方々がやられてきたものを、ここでまた自分が演じられることはとても嬉しいです。もちろんプレッシャーもありますが、あのシーンは手塚国光という人物の中で決して欠かすことができない部分だと思うんですね。そこを演じられることにすごく誇りを感じますし、ありがたいことだなと思います。
――立海メンバーの印象はどうですか?
宇野:本番前の通し稽古で、正面から彼らの姿を見たんですよ。ビジュアルがすごくよくて、めちゃくちゃかっこいい。
阿久津:うん!びっくりした。だって、自分たちが初めて通し稽古した時にはなかったものを感じた気がして・・・自分たちは、とにかく必死で、他へ伝える余裕がなかったというか。でも立海からはちゃんと伝わってきて、強さが見えてすごいなと。
宇野:まず真田が強そう!
阿久津:俺はジャッカルが好き(笑)。
宇野:そう、ジャッカル桑原(川﨑優作)はね、めちゃくちゃ原作と似てるんですよ!一緒に撮った写真があるんですけど、その写真の優作の顔が、原作のジャッカルの表情と全く同じ顔してたんです(笑)。本物だ!って思いました。
――青学(せいがく)の部長である宇野さんは、立海部長の幸村精市役・立石俊樹さんに対してどんな印象を持たれていますか?
宇野:人懐っこくて可愛いイメージですね。最初こそ、すぐに馴染めたわけではないけど、彼の第一声が「宇野さん、一緒にスーパー行きません?」だったので可愛いな、と(笑)。歌声も綺麗だし顔も綺麗だし、ダンスもできるし・・・でもテニスはやったことがなかったみたいで。ラケットの振り方とかを聞いてくれて「こうした方がかっこいいよ!」と、よく二人で空き時間に練習してました。
――阿久津さん演じる越前リョーマは一年生レギュラーなので、そういった意味では立海唯一の二年生レギュラーである切原赤也と立場が近いかなと思うのですが。今回は二人の試合もありますけど、切原役・前田隆太朗さんの印象はどうですか?
阿久津:そうですね・・・どんな感じに見える?(宇野さんに尋ねる)
宇野:なんか、いい感じだよね。赤也とリョーマが、もし同じチームだったらこんな感じなんだろうなって思った。でも、本番が始まったら本来の二人の関係性に変わるっていうね。
阿久津:まぁでも・・・俺は敵として見てるけどねぇ、普段から(笑)。
宇野:そうなんだ!(笑)
阿久津:だってめっちゃ髪の毛わしゃわしゃしてきますもん、「仁愛(にちか)~!」って。
宇野:うっとうしいな、こいつ!って思ってるんでしょ(笑)?
阿久津:(手で払いのける仕草で)もう、触んないでよ!って(笑)。
宇野:アハハハ(笑)!いや、まじで仁愛(にちか)は変わったんですよ。日に日にリョーマに近づいていくんです。だから本当に頼もしいですね。舞台袖で彼の試合を見てると、自然と気持ちも昂るんです。パフォーマンスが上がっていく姿を見ると嬉しいですし、自分も負けてられないなと思います。
――阿久津さんは、越前リョーマと誕生日が一日違いなんですね。それ以外に何か共通点は発見できましたか?
※阿久津さんは12月23日生まれ、越前リョーマは12月24日生まれ
阿久津:え~、どうなんだろう?
宇野:似てるよ、王子様(笑)!
阿久津:似てる?
――負けず嫌いなところがあるとか・・・?
阿久津:そうですね、負けず嫌いですね。
宇野:だよね~。
阿久津:ゲームとか負けたくないですもん。絶っ対に負けたくない(笑)。
――宇野さんは、手塚国光と似ているなと感じる部分はありますか?
宇野:似ている所・・・どこだろう?
阿久津:あんなに堅くはないよね。
宇野:いや、堅くはないけど・・・。でも手塚もテニスに対してはめちゃくちゃ熱いじゃないですか。それが直接的に表に出てないだけで。僕も悔しい思いをしたら「次はがんばろう・・・!」って思いますし、すごいものを見たら負けたくないなって思うし。あと、これは僕が言えることではないですけど、真面目で真っすぐな青学(せいがく)らしい子が集まったなと思います。
――青学(せいがく)の皆さんの中で、盛り上げ役やまとめ役など、そういったポジション的なものはあるんですか?
阿久津:う~ん、特に決まってはいないかなぁ?
宇野:割としっちゃかめっちゃかになってるもんね(笑)。
阿久津:逆に、だからこそバランスいいのかなって。それで成り立ってる気がします、皆、仲が良いので・・・。
宇野:でもやる時はやるし。オン・オフが効くから好きだなぁ。あとは加藤 将(乾 貞治役)と永田聖一朗(菊丸英二役)は天才ですね。僕たちの想像を遥かに超えてるんですよ(笑)。
阿久津:(冷静な口調で)尊敬ですよ。
宇野:え、尊敬してる?!本当に?!
阿久津:してるしてる(笑)。
宇野:本当におもしろいんですよね、見てて飽きないです。ただ同じ部屋で24時間一緒には居られないかな(笑)。彼らがある意味盛り上げ役ですね。
――休演日に、阿久津さんが他のメンバーと鎌倉へ遊びに行かれたと聞きました。
阿久津:そうなんです。僕と、永田聖一朗くん、松村 優くん(大石秀一郎役)、畠山紫音くん(水野カツオ役)の4人で、芸能の神社に行って絵馬を奉納してきました。稽古中のオフも皆で遊んでましたね。
宇野:一緒に居ても全然苦じゃないから。結果的にメンバー同士で遊ぶことが多いですね。
――まだまだ本公演は続きますが、全国を回った後は上海公演が待っていますね。現青学(せいがく)としては初の海外公演ですが、期待や不安、楽しみにしていることはありますか?
阿久津:宿泊先の部屋が(宇野)結也くんと同じだから不安なことはそんなにないです!
宇野:アハハハ(笑)!そっか、良かった!
――海外公演ではお客様の反応も違うと聞きますが・・・。
阿久津:楽しみですね~!どんなリアクションなのかな?
宇野:ラリー音が聞こえないくらい歓声がすごいらしいよ。
阿久津:え~!そんなに?!
宇野:でも楽しみだよね。もちろん役との向き合い方は崩さないし、超えちゃいけないラインはあるけど、日本で演じるのとはまた違った気持ちでやれそうな気がするよね。
――そんな上海公演を経て、最後は凱旋公演で再び東京に戻ってきますね。その時にはどんな姿を見せたいですか?
阿久津:地方公演を回っている間に、まだまだ気付けることがいっぱいあると思うんですよ。でも初日に感じた「青学(せいがく)を優勝に導けた!」という気持ちは絶対に忘れないで、毎公演を新鮮な気持ちで臨みたいと思います。
宇野:僕の中では決勝戦ということがすごく大きくて、しかも相手は関東大会15年負けなしで全国大会2連覇している王者立海。そんなチームと戦うってすごいプレッシャーだと思うんですよ。
阿久津:うん、すごいよね。
宇野:お客さんも立海公演を待ちわびていたんだなというのを、初日の舞台に立った時すごく感じましたし。僕たち青学(せいがく)は立海よりも舞台上にたくさん立ってはいますけど、そこは関係なく対等に。お互いががんばるほど、さらに高い次元でギリギリの戦いができると思うんです。毎公演そこを目指してやっていきたいです。
――本公演が終わったら、新しいイベント「TEAM Party SEIGAKU・ROKKAKU」の開催も決定しています。これはどんなイベントになるんでしょうね?
阿久津:先日、イベントに向けて撮影しました。
宇野:「えっ?!」と思うような、意外な組み合わせの人と撮ったりね。
阿久津:そうそう、意外というか自由というか。
宇野:だから相当パーティーなんじゃないかと思います(笑)。僕たちも楽しみたいですし、お客さんにも楽しんでいただきたいです。
阿久津:そうですね、最高に楽しんでもらえたらいいなと思います。
――「TEAM Party」も、何が起こるのか楽しみにしています(笑)。それでは最後に、いつもテニミュを応援してくださっている方々へメッセージをお願いします。
阿久津:僕たち青学(せいがく)としては、六角公演と「Dream Live」に続く立海公演ですが、確実にチーム力が上がったと感じることもたくさんあります。引き続きもっともっと皆で向上心を忘れずにがんばりますので、これからもテニミュの応援をよろしくお願いします。そして3rdシーズンは300回公演を突破したので、もっともっと盛り上げていきたいと思います!
宇野:テニミュには長い間で築き上げられたものがあり、過去の公演に出演されていた先輩方とお話をしているととても刺激を受けます。そうした先輩たちをはじめ、その時々で応援して支えてくださる皆様、作品を生み出してくださった許斐先生がいて、そこに僕たちがいる。その想いが日に日に強くなっていてありがたさを感じています。皆様にもっともっとミュージカル『テニスの王子様』が進化していることを見せられるよう、僕たちも一生懸命努めてまいりますのでよろしくお願いします。
◆公演情報
ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs立海
【東京公演】7月14日(金)~7月23日(日) TOKYO DOME CITY HALL(終了)
【大阪公演】8月3日(木)~8月13日(日) 大阪メルパルクホール(終了)
【愛知公演】8月26日(土)・8月27日(日) 名古屋国際会議場 センチュリーホール
【福岡公演】9月2日(土)・9月3日(日) 福岡サンパレス ホテル&ホール
【宮城公演】9月9日(土)・9月10日(日) 多賀城市民会館 大ホール
【中国・上海公演】9月15日(金)~17日(日) 虹橋芸術中心
【東京凱旋公演】9月22日(金)~10月1日(日) TOKYO DOME CITY HALL
ミュージカル『テニスの王子様』TEAM Party SEIGAKU・ROKKAKU
【京都公演】10月26日(木)~10月29日(日) 京都劇場
【東京公演】10月31日(火)~11月5日(日) 東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo
公式サイト:https://tennimu.com
(C)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト
(C)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
(インタビュアー/堀江有希、撮影/高橋将志)