20世紀の英国を代表する劇作家ノエル・カワードの傑作戯曲『陽気な幽霊』が熊林弘高演出、田中圭主演で上演されることが決定した。
『陽気な幽霊』とは?
20世紀を代表する劇作家ノエル・カワードのウェルメイド・コメディ。
1941年7月にロンドンのピカデリー劇場にてウエストエンド初演された本作は、5年間で1997回という驚異的な連続上演記録を達成。1945年にはデヴィッド・リーン監督により映画化もされた。
その後も今日に至るまで、ブロードウェイを始め世界各地の劇場で繰り返し上演され、再び2020年に映画化されるなど、カワードの喜劇の最高傑作として知られている。
劇作家ノエル・カワードと『陽気な幽霊』
ノエル・カワードは1899年イギリス・ロンドン郊外に誕生。上流階級・中産階級を背景にした洒脱でウィットに富んだコメディの劇作家として成功をおさめ、俳優、作詞家、作曲家、演出家、映画監督、プロデューサーとして多彩に活躍し、社交界のセレブリティとしても有名であった。
喜劇を中心に四十数篇の戯曲を書き、その代表作の一つが『陽気な幽霊』である。カワードはこの作品を、第二次世界大戦中のロンドン大空襲で数々の死と破壊に直面した経験を元にして、わずか6日間で書き上げたと言われている。
戦時中に幽霊を題材にしたコメディを上演することに否定的な意見が多かったものの、その予測を裏切り、多くの熱狂的な観客に迎え入れられたこの作品は、幽霊も生きている人間も同じ存在という、カワード独特の人間観を描いている。
『陽気な幽霊』キャスト・スタッフは?
この傑作コメディに挑むのは、演出家・熊林弘高。『おそるべき親たち』で毎日芸術賞千田是也賞を受賞(作品は、文化庁芸術祭演劇部門大賞を受賞)、人間の内面を深く掘り下げる演出は名だたる名優から厚い信頼を受け、数々の話題作を演出してきている。寡作で知られる鬼才が初めてのコメディに挑戦、独自の解釈で新たな作品を生み出す。
主演の作家チャールズ役を務めるのは田中圭。熊林弘高演出の舞台に参加するのは、『Tribesトライブス』(2014年)、『夜への長い路』(2015年)、『かもめ』(2016年)に次ぎ、4作目となる。
共演には、チャールズの元妻であり幽霊となって姿を現すエルビラ役の若村麻由美。チャールズの二番目の妻ルースを演じるのは門脇麦。熊林演出作品に参加するのは『狂人なおもて往生をとぐ~昔、僕達は愛した~』(2015年)、『パンドラの鐘』(2021年)に次ぎ、3作目となる。
また、舞台ではアンジェラ・ランズベリー、映画ではジュディ・デンチが演じた有名な役どころ霊媒師アーカティ夫人を高畑淳子が演じる。さらに、かかりつけの医師ブラッドマン博士役に佐藤B作、ブラッドマン夫人役に(佐藤の実際の妻である)あめくみちこ、メイドのエディス役に天野はなが出演。
一風変わった霊媒師のもと、夫をめぐり、新旧2人の妻の嫉妬と意地がうずまくブラックコメディが幕を開ける。
『陽気な幽霊』あらすじ
舞台は1941年、イギリス・ケント州にある小説家チャールズ・コンドマイン(田中圭)の自宅の居間。チャールズは再婚した妻ルース(門脇麦)と暮らしている。
新しく雇ったメイドのエディス(天野はな)が不慣れで準備がままならないが、チャールズは小説の取材をしようと霊媒師アーカティ夫人(高畑淳子)を呼んで、かかりつけの医師ブラッドマン(佐藤B作)とその夫人(あめくみちこ)を招待し、降霊会を催した。
霊は現れず、アーカティ夫人はイカサマだという結果に終わったが、客が帰った後、7年前に亡くなったチャールズの先妻エルビラ(若村麻由美)が幽霊となり姿を現す。しかしエルビラの姿はチャールズにしか見えず、ルースはチャールズが酔っていると思いこみ、一方でチャールズは先妻がいると言い張る。
エルビラはチャールズとルースの間に色々とちょっかいを出し、それは徐々にエスカレートして夫婦の間に諍いが生じ、やがてとんでもない結果を招いてしまう――。
『陽気な幽霊』上演決定のコメント
田中圭(チャールズ役)
約9年ぶりに熊林さんの演出でご一緒させていただきます!
最初に脚本を読んだ時に熊林さんらしくない戯曲だなとワクワクしました。
会話劇は軽妙で、どのような表現になるのだろう、というト書きもたくさんあり、ご一緒するキャストの皆様も楽しみです。
このキャストに熊林さんがどう味付けしていくのか、染めていくのか楽しみでなりません。きっと僕が今想像しているもの以上のものになるのだろうな。とワクワクしています。
熊林さんとは久々なので、成長している姿を見せられたらいいなと。楽しんで臨ませていただきます。舞台『陽気な幽霊』是非楽しみにしていてください!
『陽気な幽霊』は2025年5月より東京・シアタークリエにて、 6月より大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、福岡・福岡市民ホール 中ホールにて上演される。