2023年4月に新作上演が決定したミュージカル『ヘタリア』。この発表は、2022年11月13日(日)に開催されたミュージカル『ヘタリア~The world is wonderful~』のBlu-ray発売記念イベント内で発表され、会場は喜びに湧いた。本記事では、そんなイベント(昼公演)の模様をレポートする。
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コロナ禍で開催が難しかった発売記念イベントができる喜びもひとしお。会話などは控えつつも、楽しみを抑えきれないファンの気持ちが会場をあたためていた。時間になると、アメリカ役の磯貝龍乎が司会として登場。大きな拍手に迎えられ、「出演者の者たち~!」と登壇者を呼び込んだ。
その声があまりにもガラガラで「龍乎くん、そんな声汚かった(笑)?」と爆笑しつつ、イタリア役の長江崚行、日本役の植田圭輔、イギリス役の廣瀬大介、フランス役の寿里、ロシア役の山沖勇輝、中国役の杉江大志、オーストリア役のROU、スペイン役の山田ジェームス武、プロイセン役の高本学が一人ずつ挨拶し、イベントスタート。
「『The world is wonderful』が終わって約10ヶ月、時間にして3,030時間。その間、本日に至るまで何か心境の変化などはございましたか?」という、磯貝独特の進行に、植田は笑いながら「今日が一番心境変化しそう(笑)。(最年長の寿里さん)膝とかどうですか?」と振る。それに「全然元気だよ(笑)!」と、まさに元気いっぱいに反論。
その様子に「今日のリハーサルでも、大志くんが『みんな歳取ったよね・・・』って言ってたけど、歴史が長いからこそ、そういうのも感じますよね」と山沖。これに続いて「お肌の曲がり角の話とかね。俺はもう2週目」(寿里)、「みんなが座ってる姿、もうちょっときらびやかだったもん」(杉江)と話が脱線しだすと、「ちょっと一人ずつしゃべってくれない?!」と長江が仕切り直しにかかる。
しかし、今度は話題が発言していなかった高本いじりへ。年月を経て「かわいげがなくなってきた」「おっきー(山沖)と龍乎くんには当たりが強くなった」などと言われると、「えっ、かわいいでしょ?あと、おっきーさんには優しいですよ」と、高本は反論。「なんで上から?!」と、先輩後輩別け隔てなく、言いたいことを言い合えるカンパニー力を発揮していた。
オープニングトークですでに渋滞が発生したが、「あの、いろんなコーナーを用意していますので・・・」と、司会としての役割を果たす磯貝によって、最初の「ヘタミュまるっと振り返り」トークへ。
『The world is wonderful』の映像を見ながら、当時を振り返る面々。オープニングシーンから始まった振り返り映像だが「ただ起き上がるだけの学の顔がきれいすぎる」(寿里)、「オープニングの龍乎さんすごいかっこいいんですけど、ちょっとよろけてるんですよ」(長江)、「吉谷さんに、龍乎真剣にやってって言われてたよね」(植田)、「声が良すぎて逆におもしろい」(杉江)と、ここでもトークの渋滞が・・・。
その後も、流れる映像に自由奔放に突っ込みながら、楽しそうに当時を振り返っていく面々。その話からは、俳優たちも公演を楽しんでいたことが伺える。
なお、『The world is wonderful』にはロマーノ役として樋口裕太が初参加していたが、それを感じさせないカンパニーへの馴染みっぷりだったという。「昔からいましたって感じだったよね。崚行とのバランスもよかったし」と植田が言うと、長江も「そうですね、共演もしていたし、プライベートも仲がいいので」と、受け入れ体制ばっちりだったことを明かした。
「(早く馴染めるように)裕太くんに積極的に話しかけにいってたんですけど、なんか、俺よりも馴染んでる感じだったから、余計なおせっかいだったかなと思って・・・」と言う山沖を、「そんなことないよ。その優しさで救われる人がたくさんいるから」と寿里が諭すと、植田が「ところで今日天パじゃないんだね?」と話題を急転換し笑いを誘う場面も。
「久しぶりに集まったし、こういうイベントも久しぶりだから、なんかちょっと変なテンションになっちゃってる(笑)」と長江。脱線が止まらないカンパニーのトークが続く中、次のコーナーへ。
続いては、イベントで発売された「Making of Musical Hetalia ~The world is wonderful~ EXTRA」Blu-ray(数量限定)より初出し映像が公開された。こちらでは、舞台の裏側のさらに裏側とも言える、カンパニーの日々の記録を見ることができる。
山沖は、公演中も日替わりでギャグを披露していたが、映像の中にはその奮闘の記録も残されている。「何個くらい考えたの?ネタ帳みたいなものもあるの?」「稽古場と本番と、全部違ったよね?」と聞かれると、「スマホのメモ帳にひたすら・・・。自分でハードルを超えていきたいから、精一杯やってました」と山沖。
「じゃあ、振られたらなんぼでも出るってことだよね?」「ちょっと景気のいいやつをお願い」という無茶振りにも、「そんなの(今日は)考えてきてないですよぉ~!」と言いながらも、全力で本日のギャグを披露。すると、「学も!」と、突然流れ弾が高本のもとへ。持ちネタ(?)の謎かけで乗り切った高本は、その流れ弾をさらに長江へと流した。
「崚行がすごくいいネタ持ってるんですよ。太もも太鼓っていう・・・」とリクエストを受け、周囲がマイクでその音を拾うという万全の体制で、長江の“太もも太鼓”も賑々しく披露された。
続いて「ザ・ワンダフルトークショー」へ。このコーナーでは、テーマごとにトークが繰り広げられた。一つ目は「ワンダフルな出来事」。『The world is wonderful』を語るにおいて、避けては通れないのが大阪初日前の出来事だ。
公演準備のために大阪へ向かう途中、機材輸送をしていたトラックが事故にあい、大道具、小道具の一部損壊、音響機材の全壊というとんでもない被害を受けた。公演の開幕が危ぶまれたが、必死の復旧作業や機材調達により、奇跡的に開演時間を1時間後ろ倒しにするだけで公演を守った。
「今だからこそドラマチックだったとは言えるんですけど。吉谷さんが泣きながら、起きたことを僕らに伝えて、でもがんばろうって言っていて。お客さんもすごく不安な中で来てくれていたと思うし。それがあったから、余計に初日緊張していたのかも」と植田。長江も「初日前に円陣を組む時、いつも以上にみんなで目合わせてた感覚がありました」と振り返った。
山田は「場当たりを、隣の劇場を借りてやったんですけど、そこでスタッフさんたちが損壊した小道具とか、なくなってしまったものを新しく作っていて。でも、必死で疲れてる様子じゃなくて、『間に合うので大丈夫ですよ』って笑顔で言ってくれたのを見た時は、マジで泣きそうになりましたね」と、スタッフ陣の奮闘に励まされたという。
廣瀬が「あの逆境をみんなで乗り越えたっていう経験は武器になったし、このチームでやれてよかったな、このチームじゃないと多分きつかっただろうなと思うレベル」と加えると、植田は「ワンダフルはこれに尽きるんじゃないですか」としみじみと語った。
さらに「そもそも、もっと根本的なところでこのメンバーがまた集まったの、すごいと思う。誰も席を譲らないんだなって(笑)」と廣瀬。ヘタミュは、2018年に一旦ファイナルを迎え、『The world is wonderful』で新シリーズとして復活した。「俺たち、ここからなんで!」「まだまだ新人の気持ち」と口々に言いながら、作品への愛を見せていた。
トークは、この他にも「これは危なかった!」というお題では、「大ちゃん(廣瀬)の声どっかいった事件」や、「プロイセンのスルースキル事件」「弟相談所は我慢大会」など、思わず「本当に・・・みんな仲いいね」と自分たちで言ってしまうようなエピソードが次々と語られた。
続いての「あの人に物申す!」では、苦情が出るかと思いきや、植田から山沖への感謝が伝えられた。「自分、(稽古に)遅れて入ったときにダンスの振りを教えてもらっていたんです。みんなで笑顔で踊る振りが分からなすぎて、般若みたいな顔になってて(笑)。そんな俺を、優しく諭してくれて、教えてくれたのをすごく覚えています」といういい話だったのだが、山沖が「僕が唯一、圭輔さんに勝てる部分なんで・・・」と呟いたことで、「おい!」とツッコまれる羽目に。
とにかく、話し出すと止めどころが分からないぐらい、仲の良いカンパニーだが、次のコーナーでは対決をすることになった。磯貝の「・・・パスタ食べたいやついる?」という、某作品をパロった問いかけに、「ダメダメ、その流れだと『いねぇよな!』になっちゃうから!」とツッコミが入りつつ、始まったのは「第1回ヘタミュ横断ウルトラクイズ!」。
このクイズは、早押しのガチ勝負!優勝者には「コーラ1年分」が贈られるという(ちなみに、コーラは高本の大好物)。問題は一般常識からヘタミュに関したものまで、正解は磯貝の独断で判断される。お手つきの概念について揉めつつ、白熱のクイズ勝負が繰り広げられた。ガチ勝負だからこそ、インテリな一面やおとぼけがすぎる一面など、俳優たちの様々な一面が見られるひと時となった。果たして、栄冠を掴んだのは――。
なお、同日よりイベント会場で販売されていた、ミュージカル「ヘタリア~The world is wonderful~」イベントセットは期間限定で事後通販が行われる。ぜひチェックを。
そして、いよいよ新作決定を発表する時間へ・・・。磯貝の振りで、会場の画面に情報が流れると、それまで拍手などで反応していた客席から、わぁっと歓声が上がった。思わず声がもれてしまうほど、会場中に喜びが充満していた。
長江は「この発表を皆様の前でできたことも、過去のいろんな思い出を思い返しながら時間を共有できているのも本当に嬉しいことだなって思ってます。 “また花が咲くその時まで”という約束が来春に果たせることをとても幸せに思います。皆様が楽しみにしてくれているのと同じように、僕たちも本当に楽しみです。よりパワーアップしてお会いできるように精進してまいりますので、5ヶ月ちょっと、お互いにワクワクして待ちましょう!よろしくお願いします」と語り、イベントを締めくくった。
ミュージカル『ヘタリア』新作公演は、2023年4月に東京・日本青年館ホール、大阪・東大阪市文化創造館 Dream House 大ホールの2都市にて。出演者や内容の詳細は、続報を待とう。
また、『The world is wonderful』を含む、ヘタミュ過去作がU-NEXTで配信スタートとなっている。来春の新作公演に向けて、ヘタミュの歴史を改めて振り返ってみては。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
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■過去作も見放題配信中!(一部12月31日まで)
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【公式サイト】http://musical-hetalia.com/
【公式Twitter】@hetamu_official
(C)日丸屋秀和/集英社・ミュージカル「ヘタリアWW」製作委員会