本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

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本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

2024年2月22日(木)に東京・シアターサンモールにて、本田礼生と赤澤燈による二人芝居『追想曲【カノン】』が開幕した。本作は、東映プロデュースによる“本田礼生×赤澤燈”の新たな演劇企画の第2弾。

本田と赤澤は、2022年9月に、大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)を含めた三人芝居『オブセッション』(脚本:おかざきさとこ、演出:粟島瑞丸)を上演。今回演出に迎えたのは、二人と縁の深い松崎史也。脚本は、その松崎が「盟友」と慕うほさかようが務める。

なお、本作は本田と赤澤が公演ごとに役を入れ替える“type-HONDA”、“type-AKAZAWA”の二バージョンを上演。今回は、“type-HONDA”のゲネプロのオフィシャルレポートをお届けする。

本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

目次

私たちの世界と地続きになったとき、物語は完成する

舞台上に現れる本田。まるで楽隊の一員のような正装をしている。本田が宙に人差し指を構える。何かを押したが、空振りのようだ。本田はもう一度宙に指を泳がせる。けれど、思うような反応は得られない。首を傾げて、手当たり次第にあちこち押す本田。彼は一体何をしようとしているのか。

観客の疑問符に応えるように、赤澤がやってくる。赤澤もまた本田と同じように宙に指を伸ばす。すると、柔らかなピアノの音色が響く。驚いたように本田が赤澤を見る。どうやら本田もピアノを弾こうとしていたようだ。赤澤を真似て、本田が再び宙に指を置く。今度は、ちゃんとピアノの音がする。

本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

見えない鍵盤と戯れる本田と赤澤。二人は横に並んで一緒にピアノを弾きはじめる。音が溢れるとともに世界が広がる。笑顔が広がる。眩しい光が降り注ぐ。人と人の心が通い合った。その光景の美しさに、じわりと涙が溢れ出す。

二人芝居『追想曲【カノン】』は、そんな幻想的なオープニングと共に幕を開けた。

本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

舞台は、荒廃したディストピア。世界は「外側」と「内側」で隔てられており、人間たちはロボットの監視下に置かれていた。その中で生きる人々の刹那の交わりが、連作短編的に描かれていく。

本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

最初は、潰れかけのレストランで働く店員と客。その後も、シチュエーションが変わるたびに、本田と赤澤は異なる役を演じ、また違った表情を見せていく。

“type-HONDA”では、各シーンを引っ張る役どころに本田が扮する。そこかしこに散りばめられたギャグが、本田の小気味良い台詞回しとキレのいい体から繰り出されることで、観客の笑いを誘う。それを赤澤が的確な受けの演技で応え、二人だけの二重奏が完成する。

本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

二人芝居といえど、かしこまったところはない。むしろコミカルでポップだ。けれど、賑やかなシーンが際立てば際立つほど、この作品の持つ悲劇性が浮き彫りとなり、観客の胸を締めつける。

本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

三つのシチュエーションに共通しているのが、音楽だ。絶望と隣り合わせの日常に、寄り添うように音楽が流れていた。人は、心があるから音楽を生み出せる。だけど、心があるから怒りや憎しみで目を曇らせる。音楽の可能性を、エンターテインメントの意義を、本当に信じることができるのは、人間かロボットか。

本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

わかり合えない者同士が、その溝を乗り越えるために必要なものは何なのか。ラストシーンに辿り着いたとき、これは決してどこか別の世界の出来事ではない、と気付くだろう。

“type-AKAZAWA”では、“type-HONDA”で本田が演じた役を赤澤が演じる。役者としては正反対という二人だが、同じ役を赤澤はどんな解釈でアプローチするのか。両バージョンを観ることで得られる発見もまた本作の醍醐味と言えそうだ。

本田礼生と赤澤燈、二人だけの二重奏が完成――二人芝居『追想曲【カノン】』レポート

二人芝居『追想曲【カノン】』は 2 月 22 日(木)から 3 月 3 日(日)まで東京・シアターサンモール、3 月 8 日(金)から 10 日(日)まで大阪・扇町ミュージアムキューブにて上演。上演時間は約90分を予定。

なお、東京公演の 3 月 3 日(日)13:00公演(type-HONDA)と17:00公演(type-AKAZAWA)ではライブ配信も実施される(公演終了後 6 日後までアーカイブ配信あり)。

また、本作の Blu-rayも7月10日(水)に発売される。東映ONLINE STOREにて期間限定予約受付中(6月17日23:59まで)。

ライブ配信

3月3日(日)13:00(H)
※特典映像付き配信(特典映像:終演後、本田礼生による生コメント)
3月3日(日)17:00(A)
※特典映像付き配信(特典映像:終演後、赤澤燈による生コメント)

【視聴チケット料金】4,400 円(税込)
配信サービス Streaming +(https://eplus.jp/twomen-canon-st/
PIA LIVE STREAM(https://w.pia.jp/t/twomen-canon/
※アーカイブ視聴期間はライブ配信から6日後の23:59まで
※販売期間はライブ配信から6日後の22:00 まで

二人芝居『追想曲【カノン】』公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2024年2月22日(木)~3月3日(日) シアターサンモール
【大阪公演】2024年3月8日(金)~3月10日(日) 扇町ミュージアムキューブ CUBE01

<アフタートーク>
【出演】本田礼生、赤澤燈
東京公演:2月23日(金・祝)17:00公演、2月26日(月)19:00公演、2月29日(木) 19:00公演、3月1日(金)19:00公演
【大阪公演】3月8日(金)19:00公演、3月9日(土)17:00公演

スタッフ・キャスト

【脚本】ほさかよう
【演出】松崎史也

【出演】
本田礼生 赤澤燈

公式サイト

【公演特設サイト】https://toei-stage.jp/twomen-canon/
【公式X(Twitter)】@Toei_stages

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