キンプリ神宮寺勇太、圧巻の約5分ひとり語り!『葵上』『弱法師』-「近代能楽集」より-開幕


2021年11月8日(月)に東京・グローブ座で、King & Princeの神宮寺勇太主演の舞台『葵上』『弱法師』-「近代能楽集」より-が開幕した。本作は、全八編の短編戯曲から成る三島由紀夫の代表作「近代能楽集」から2作を上演するもの。宮田慶子の演出で、神宮寺は舞台単独初主演にして初のストレートプレイ挑戦をする。共演に、中山美穂ら。

キンプリ神宮寺勇太、圧巻の約5分ひとり語り!『葵上』『弱法師』-「近代能楽集」より-開幕

作品は二部構成で、第一部『葵上』の舞台は深夜の病院の一室。入院する妻・葵の元を訪ねた若林光(神宮寺)は、看護婦から、真夜中になると見舞いにやってくる貴婦人がいることを知らされる。その話どおり、その夜も黒衣の女が病室にやってきた。それは、かつて光と恋仲だった六条康子(中山)だった。光の愛を再び求める康子は、昔の思い出を語りだす。

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第二部の『弱法師』の舞台は、晩夏の午後、家庭裁判所の一室。そこでは、2組の夫婦がある青年の親権を争っていた。青年・俊徳(神宮寺)は盲目であった。戦火で両親とはぐれ、火で目を焼かれ、失明をしていたところを育ての親に拾われたのだった。それぞれに権利を主張する生みの親と育ての親。しかし、俊徳はどちらも嘲笑し、育ての親は奴隷、生みの親は救いがたいバカだと言い放つ。平行線をたどる話し合いに、調停委員である桜間級子は俊徳と二人だけで話すことになるが・・・。

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出演は、神宮寺と中山のほか、『葵上』に佐藤みゆきと金井菜々、『弱法師』に篠塚勝、木村靖司、加藤忍、渋谷はるか。

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小説家としての活動にとどまらず、劇作家としても『鹿鳴館』や『サド侯爵夫人』など、数多くの作品を生み出してきた三島由紀夫。この「近代能楽集」は、早くから謡曲にも親しんでいた三島が「能楽の自由な空間と時間の処理や露わな形而上学的主題などを、そのまま現代に生かすためにシチュエーションを現代化」したといわれる作品だ。

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『葵上』は、「源氏物語」を原典に、能楽、そして近代劇へと移り変わりながらも時代を超えても変わることのない、心の内に秘めた闇を生々しくも幻想的に描いた作品で、三島自身も「一番気に入っている」と評していた。その世界観を体現するように、神宮寺と中山は、幽玄な世界観の中でたゆたう男女の情念を繊細に表現していた。

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『弱法師』は、終末観に腰を据えた青年が、いかに大人の世界に復讐するかを軸として結末へと物語が突き進んでいく。中でも、盲目の青年・俊徳がこの世の終わりを語る長台詞、現実的なもの全てに対する敗北を表す最後の台詞はなんと台本3ページ分。高い集中力を見せる神宮寺と、その引力に思わず唸る約5分のひとり語りとなっていた。

キンプリ神宮寺勇太、圧巻の約5分ひとり語り!『葵上』『弱法師』-「近代能楽集」より-開幕

公開ゲネプロ終了後に行われた会見で、開幕を率直に「楽しみ」と語った神宮寺。「こういう姿を観ていただく機会はなかなかないので、足先から頭の上まで堪能してもらえたら」とチャーミングな笑顔を浮かべた。

初の単独主演ということで、最初は「一人では立ち向かえないほど大きな壁」という印象を持っていたそうだが、「本当に皆さんにはご迷惑をおかけしましたが、レベルアップさせていただきました」と手応えを感じている様子。

しかし、稽古が始まった当初は夜も寝られないほど、「本当に自分がこの量の台詞を覚えられるのか、自信がなかった」と言う。台詞を覚える秘訣は、“声に出して読む”とストレート。ほかの現場には持ち込まないようにしており、ひたすら家で取り組んでいたという。

「僕、あんまり周りに自分から意見を聞いたりしないんですけど、メンバーに『どうやって台詞覚えるの?』って聞いたり。その時に、岸くん(岸優太)が細かいアドバイスではないんですが、『神宮寺ならできる!』って言ってくれたのがとても心強かったです。観に来てくれると思うので、感想が楽しみです」と、メンバーに支えられたことを明かした。

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演出の宮田ともたくさん話を重ねたそうで、「役を食べちゃえ」と言われたことが最も印象に残っていると振り返った。「役を纏うって、よく言うじゃないですか。自分の中に落とし込んで吸収することを“食べちゃえ”と表現する宮田さんの言葉がとても新鮮で、すごく心に残っています。嘘でごまかすと自分が困ってしまうので、僕はたくさんアドバイスをいただけた方がありがたかったです。(できないことに)落ち込むよりは、いかにそれを取り入れられるかを考える日々でした」と明かした。

そんな神宮寺を、演出の宮田は「とにかく吸収が良くて、日々いろんなツッコミを入れてみたんですが、ことごとく返ってくるので、底なしのポテンシャルを持っているなと感じました。本当に難しい戯曲なんですが、知的かつ論理的に分析しつつ、いざ演じる時には動物的な勘見せて、すべてを使ってやってくれるので、毎日楽しいです。掘れば掘るほどいろんなものが出てきます」と絶賛。

ゆっくり作品と向き合う時間が得られたため、稽古の中では、作品のあらゆる可能性を試しながら、時に“寄り道”を経験することもあったそう。神宮寺と宮田は、日々「今日はこうしてみよう」という“作戦会議”を立てながら、日々アップデートを行い、更新しながら公演を重ねていこうと言っているそうだ。

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共演の中山にも、たくさん助けられたと神宮寺。「僕はまだお芝居の経験があまりないので、本当に引っ張っていただきました。初めて座長をやらせていただいているんですけど、皆さんに支えていただきながら、今ここにおります」と、丁寧に感謝を述べた。

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その言葉に、感極まった中山の目には、思わず涙が浮かぶ。「驚くほど素直で、お稽古をすごくがんばっていたので。先輩とはいえ私も舞台経験は豊富ではないので、先輩ぶってごめんねと思いながら・・・」とコメント。

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役の上ではがっつりと感情のやりとりをしているが、キャストたちは意外にも稽古中はあまり話をすることがなかったという。「ご本人も落ち込む暇がなかったと言っていましたが、そういうスキのない毎日だったので、『好きな食べ物は?』みたいな和む会話はできていなかったんですよね」と中山。これに対し、「稽古で毎日お会いしていたんですけど、僕自身に余裕がなくて、台本と向き合うばかりだったので。ちなみに、好きな食べ物はカレーです(笑)」と答え、笑いを誘った。

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最後、神宮寺は「初めて読んだ時は難しい作品だなと思ったんですが、読めば読むほど、演じれば演じるほど、三島さんの作品に興味を惹かれていったんです。観に来てくださる方はその三島さんの世界観をこの機会に知っていただけたらと思いますし、残念ながら来れない方は、小説を読んで『神宮寺くんが演じる光はこんなかな、俊徳はこんなかな』と妄想して楽しんでもらえたらと思います。がんばります!」と意気込みを語っていた。

『葵上』『弱法師』-「近代能楽集」より-は、11月8日(月)から11月28日(日)まで東京・東京グローブ座、12月1日(水)から12月5日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。上演時間は、第一幕40分、休憩20分、第二幕50分の計1時間50分を予定。

『葵上』『弱法師』-「近代能楽集」より-公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2021年11月8日(月)~11月28日(日) 東京グローブ座
【大阪公演】2021年12月1日(水)~12月5日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

スタッフ・キャスト

【作】三島由紀夫
【演出】宮田慶子

【出演】
神宮寺勇太(King & Prince) 中山美穂
篠塚勝 木村靖司 加藤忍 渋谷はるか 佐藤みゆき 金井菜々

【公式サイト】https://www.aoinoue-yoroboshi.com



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