小島聖、田代万里生らで『ラビット・ホール』悲しみから踏み出そうとする家族の物語


2022年2月から3月にかけて上演されるKAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』の出演者が発表された。小島聖田代万里生占部房子新原泰佑木野花という顔ぶれで、幸せな日常と未来を突然奪われながらも、深い悲しみから一歩を踏み出そうとする家族の物語を見せる。

本作は、2007年にアメリカのピューリッツァー賞戯曲部門を受賞したデヴィッド・リンゼイ=アベアーによる戯曲。2010年には、ニコール・キッドマン自らのプロデュース・主演により映画化もされた。

物語の舞台は、ニューヨーク郊外。閑静な住宅街に暮らすベッカ(小島)とハウイー(田代)夫妻は、彼らは8ヶ月前に4歳だった一人息子のダニーを交通事故で失った。ダニーとの思い出を大切にしながら前に進もうとする夫のハウイー。それに対し、妻のベッカは家の中にある亡き息子の面影に心乱される。

そのような時にベッカは、妹イジー(占部)から突然の妊娠報告を受け戸惑い、母のナット(木野)からは悲しみ方を窘められ、次第に周囲に強く当たっていく。お互いに感じている痛みは同じはずなのに、夫婦・家族の関係は少しずつ綻び始める。

ある日、夫妻の家にダニーを車で轢いたジェイソン(新原)から手紙と彼が書いたSF小説が届く。会いたいというジェイソンの行動に動揺を隠せないハウイーだが、ベッカは彼の描いた手紙や小説を読み、彼に会うことを決意し・・・。

演出を手掛けるのは、2017年『チック』(翻訳・演出)で第25回読売演劇大賞優秀演出家賞などを受賞した小山ゆうな。上演台本については、TVドラマ『クロサギ』『紙の月』や、連続テレビ小説『まれ』など映像作品の脚本家として活躍する篠﨑絵里子に依頼。翻訳劇を現代の日本人に響く活きた言葉に磨き上げることにより、リアルな会話で物語が語られることを目指す。

なお、本作はKAATの新芸術監督に就任した長塚圭史によって導入されたシーズン制、1年めのテーマ「冒」の最後を飾る作品として上演される。
KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』は、2022年2月から3月にかけてKAAT 神奈川芸術劇場 <大スタジオ>にて上演される。チケットは、12月より一般発売予定。兵庫・名古屋でツアー公演あり。

 

 

コメント紹介

◆篠﨑絵里子(上演台本)
十代の頃、失うのが怖いから人を本気で好きになるのはやめておこうと真剣に思っていました。貧しい考え方だと憐れみの目で見られたとしても、断固として嫌でした。けれど人生は否応なしに、大切な存在を連れてきます。気づけばかけがえのない人たちに囲まれて暮らしていたわたしはもう、ふとした弾みに思い出す「失う恐怖」に蓋をしてやり過ごすしかなく――、そして、この戯曲に出会いました。
幼い息子を失った絶望の中で、これからをどう生きていくのか、生きていけるのか、その答えを探してもがく夫婦の物語。心とは裏腹に傷つけ合い、責め合い、差し出された手に触れることもできず、暗闇にただ立ち尽くす。
その果てに彼らが得た再生へのかすかな光が、誰かを愛して生きずにはいられないわたしたちのささやかな救いにもなることを、祈らずにはいられません。

◆小山ゆうな(演出)
私が『ラビット・ホール』を知ったのは2010年、映画版でした。人間の悔い、その悔いにどう人は向き合っていくのかという問いが、美しい言葉と深い人物像で描かれていて、私自身自らの人生においても時折触れたくなる作品で何回も見返しており、長塚さんから本作での演出というお話を頂いた際、驚きと喜びと共に、身の引き締まる思いがいたしました。
この素晴らしい戯曲に、演劇的に自由で新しいこと/垣根を超えることを恐れず果敢にチャレンジされるKAAT、そして長塚芸術監督の新シーズンの作品として、【冒】険を恐れず取り組めればと思っております。
今回は、映像界で大活躍される篠﨑さんが上演台本を作成してくださいます。いきた日本語を生み出される篠﨑さんの手により、どのような日本語版が生まれるのか楽しみです。また、キャスト・ スタッフともに新鮮なチームとなっており、皆でこの作品を透明度高くお客様にお届けできるよう模索できればと思っております。

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』公演情報

上演スケジュール

【横浜公演】2022年2月~3月 KAAT 神奈川芸術劇場 <大スタジオ>
【兵庫公演】2022年3月 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【名古屋公演】2022年3月(予定)

スタッフ・キャスト

【作】デヴィッド・リンゼイ=アベアー
【上演台本】篠﨑絵里子
【演出】小山ゆうな
【翻訳】小田島創志

【出演】
小島聖 田代万里生 占部房子 新原泰佑 木野花

【公式サイト】https://www.kaat.jp



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