三谷幸喜の書き下ろし最新作となる舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』が、2019年９月に上演されることが決定した。大のシャーロック・ホームズファンを公言している三谷が描くのは、若き日の彼の姿。19世紀末のロンドン、ベーカー街221bで、シャーロック・ホームズがいかにして偉大な名探偵になったのかを追う。
熱烈なシャーロッキアン（ホームズ研究家）の間では、彼と親友のワトソンがベーカー街221bで同居を始めたのは、1881年の1月と言われている。そしてこの名コンビが最初に解決した「緋色の研究」と呼ばれる事件が発生したのが、同年の３月。今回は、この1月から3月の間の出来事――二人が出会ってから最初の事件に遭遇するまでに起こった“語られざる物語”。登場するホームズはまだ20代の若者。人間としても探偵としても未完成のシャーロックが直面する、人生最初で最大の試練とは？
三谷版シャーロック・ホームズ役には柿澤勇人、相棒となるワトソンには佐藤二朗が決定。そして事件の依頼人ヴァイオレット役は2度目の舞台出演となる広瀬アリスが演じる。3人とも、三谷作品へは初参加。
このほか、ミセス・ワトソン役として八木亜希子、マイクロフト・ホームズ役として横田栄司、ハドソン夫人役としてはいだしょうこ、レストレイド警部役として迫田孝也が出演する。
上演発表にあたり、作・演出の三谷、出演者より柿澤、佐藤、広瀬よりコメントが届いた。
◆三谷幸喜（作・演出）
小学生の頃、初めてシャーロック・ホームズに出会い、それからずっと彼のファンです。5年前、ホームズの世界を全寮制の学校に置き換えた連続人形劇を作った時、原作をすべて読み返しました。そしてこの作品のおもしろさ、深さに改めて気づかされました。
関係書籍を買い漁り、手に入るホームズ物のDVDはすべて手に入れました。日本の脚本家・劇作家の中でもっともホームズに詳しいのは僕だと思います（もっと詳しい人がいたら名乗り出てください、友達になりましょう）。
今回、世界でもっとも有名なこの名探偵を主人公に新しい冒険物語を作ることになりました。ホリプロさんには深く感謝します。テーマは「シャーロック・ホームズは如何にして、僕らの知っている偉大なる名探偵になったのか？」舞台はもちろん十九世紀末のロンドンです。
――出演者へ
柿澤勇人さん：ある舞台で柿澤さんの姿を初めて観た時、僕のシャーロック・ホームズがここにいる、と思いました。風変わりで、天真爛漫で、天才肌で、自己中心的で、尊大で、ナイーブで、心に闇を秘めている、若き名探偵。そんな人物を演じられるのは、若い頃のレオナルド・ディカプリオか、今の柿澤さん以外には考えられません。
佐藤二朗さん：ふざけた佐藤さんもいいですが、僕はふざけてない佐藤さんが好きです。今回のワトソンはホームズよりもかなり年上に設定してあります。ホームズは生真面目なワトソンをからかいながらも、父親のように慕っています。そして佐藤ワトソンは圧倒的な父性で、ホームズを見守り続ける。ところがそんな彼にも、実は誰にも見せたことのない深い闇があって･･･。かなり真面目な役です。そんな佐藤さんが僕は観たいのです。
広瀬アリスさん：今回の舞台は19世紀末のロンドンです。華やかさと暗さが同居した時代。広瀬さんが演じるのは事件の依頼人。とある富豪の令嬢です。当時の上流階級のドレスを着せたい、と思ったのがキャスティングの理由。似合うのは分かっています。知性溢れる額、神秘的な眼差し、芸術的に美しい横顔、そして別人じゃないかと思うくらいの無防備な笑顔。そのミステリアスな個性は、ホームズ物には欠かせないキャラクターです。
◆柿澤勇人（シャーロック・ホームズ役）
（出演が決まった時）本当ですか？何度か聞き返しました。その後数日間信じてなかったのですが、三谷さんと直接お話しさせていただいたことでようやく実感が湧きました。その後は嬉しさと高揚感が爆発しました。
三谷さんはとにかく人を良く見ているんだと感じています。着眼点が深く、的確で、僕自身も初めて言われたコトバもあり、それがズバリ僕の本性だったりしたので、三谷さんにはすでに見透かされてるんだと思います。三谷さんに配役理由を伺った時、「君はとても孤独で寂しそうに見えたから、それがホームズにハマる」と仰ってました。三谷さんの目から僕がどのように映り、役に反映されるのか楽しみで仕方ありません。一方でとにかくディレクションに対応できるように果敢に、懸命に挑まなければと思ってます。
（佐藤）二朗さんとはプライベートでも仲良くさせていただいており、芝居の話ばかりします。この配役はある意味運命的だと共に興奮しております。広瀬さんは画面を通して拝見してます。透明感があってとても美しいです。ご一緒させていただくのがとても嬉しいです。
◆佐藤二朗（ジョン・H・ワトソン役）
そりゃ、ぶっちゃけ、憧れの存在ですよ三谷さんは。しかし憧れてポカ～ンとしてたら双方の、何より作品のためになりませんので、ここはひとつ、憧れを一切忘れ、なんなら「三谷さん」とは呼ばず、「三谷ちゃん」とか「幸喜ちゃん」と呼び、共演者やスタッフと共に、手を携えて良い作品にしたいと思っとります。
共演者の方々でいうと、柿澤とはよく呑みます。僕も柿澤も、酔うとダメ人間になるので、わりと救いようのない二人です。愛すべき阿呆である柿澤と芝居をするのを至極、楽しみにしております。
広瀬アリスさんとはまだお目にかかっておりませんが、色んな作品を拝見して、とても素直で聡明な印象があります。
そして我らがアイドル八木亜希子さんを最終的には「やぎちゃん」と呼べるほどお近づきになることを本公演の最大の目標とするものであります。
余力があれば、1回くらいは「三谷ちゃん」と呼んでみたいと思います。
◆広瀬アリス（事件の依頼人・ヴァイオレット役）
このお話をいただいた時、正直「え?!私?!?!」と思いましたが、誰もが知る三谷さんの舞台に、新作書き下ろしで出演できることは、とても嬉しかったですし、今でもワクワクが止まりません。
三谷さんとはこのお仕事が決まってお会いさせていただいたのですが、その時は距離感がまだ少しあったので（笑）。これから色々お話しができたら嬉しいです。三谷さんの演出でお芝居が出来ることは自分の役者人生において、とても大きなことだと思っています。舞台は2度目なのでまだまだ経験値としては低いです。柿澤さんや佐藤さん、皆さんからたくさんお勉強したいと思っています。刺激のある数ヶ月になると思うので今からとても楽しみです。
柿澤さんはまだお会いしていないのですが、舞台をたくさんやられていますので、いっぱい甘えて助けていただきたいです（笑）。佐藤二朗さんは、とにかくコメディー色の強いイメージです。一度は絶対にご一緒したい方だったので、とても楽しみです。
舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』は、9月1日（日）から9月29日（日）まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。チケットは、6月29日（土）より一般発売開始。大阪ほか、地方公演の予定あり。
【公演HP】http://hpot.jp/stage/sherlockholmes2019
