2018年5月10日(木)、舞台『大人のけんかが終わるまで』の製作発表が行われた。本作は、フランスの劇作家であり世界的人気を誇るヤスミナ・レザの最新作で、2015年にドイツで初演された作品。待望の日本初演版となる今回の公演では、上演台本を岩松了、演出を上村聡史が担当する。製作発表には、主演の鈴木京香をはじめ、北村有起哉、板谷由夏、藤井隆、麻実れいが登壇し、作品の魅力や意気込みを語った。
「喧嘩上等、鈴木アンドレア京香です」と挨拶して笑いを誘った主演の鈴木は、ボリス(北村)と不倫関係にありながら破局寸前のシングルマザーという役どころ。すでに上演台本を読み終えたそうで、「ハチャメチャに楽しいお話だと思います。大人って切ないなぁと胸がキュンとして、笑えて、でもそれぞれの大人が抱える事情が理解できる。ぜひすべての大人の人に観ていただきたいです」と自身の感想を交えてアピールした。
「天罰がくだるボリス役の北村です」と自虐気味に挨拶した北村は、鈴木演じるアンドレアの不倫相手であり、自ら経営する会社が破産寸前という崖っぷち状態の役。そんなボリスの妻の友人であり、エリック(藤井)の内縁の妻でもあるフランソワーズ役の板谷は、今回が2回目の舞台出演。板谷は「このカンパニーに参加させていただけることが嬉しい。挑戦の年として駆け抜けたいです」と抱負を語った。
板谷演じるフランソワーズの内縁の夫で、母のイヴォンヌ(麻実)に対してマザコン気味の・エリック役を演じる藤井は、「今回はいろんな場所に行かせていただくので、それも楽しみの一つです」と全国巡演に期待を寄せる。エリックの母であり認知症の疑いがあるイヴォンヌ・ブルム役の麻実は、「あなたは何も役作りしなくてもそのままで大丈夫、と仲間たちに言われました。現実、生まれてこのかたずっと今日までボケて生きてます」と挨拶して笑いを誘った。
この物語に登場する人物は5人。破局寸前の不倫カップルや、思いがけず居合わせることになった夫妻とその母親という、さまざまな事情を持った大人たちが喧嘩を繰り広げる。鈴木は、相手役の北村を「ひょうひょうとしながらも本当は気遣いのある素敵な方」と表現。一方、北村も「(アンドレアは)京香さんとはまるで違う。僕自身も違うと感じる役どころですが、その距離をどんどん縮めていきたい」と、役柄を比較しながら鈴木に対する印象を語った。
板谷は、義理の母親役である麻実について「私の憧れの人。そんな方がお母さん役で嬉しいです」と告白。これに対し、麻実が「今はまだ何もしてないから良く言っていただいてるけれど、大丈夫。もうすぐ本当の私のことを理解できます(笑)」と返し、一同を笑わせた。
また、この日の会見では公演タイトルにちなんだ「喧嘩力診断」コーナーも設けられた。会見の前にキャスト陣があらかじめ心理テストを受けていたそうで、その答えによって喧嘩上級者・中級者・初級者・初心者の4タイプの中から自分の属するタイプが分かるという。その結果が発表されると、鈴木、板谷、藤井、麻実の4人は中級者タイプ、北村だけが初心者タイプであることが判明した。
診断後、鈴木は「喧嘩が得意かどうかは人間観察の問題かも。(役作りとして)なるべく意地悪な目で人を見ながら、自分にも厳しくしたいです」と冷静に自己分析。一方、藤井による「大事な人であれば喧嘩しないように心掛けるけれど、僕はそんなに出来た人間じゃないのでどうでもいい人にはガンガン喧嘩越しになります」との回答で一同大笑い。このメンバーで唯一の初心者タイプであり、中級者の4人に囲まれる形となった北村は「自分の役にとってはこれが合っているのかな(笑)」と納得した様子だった。
最後は、鈴木が代表して挨拶。「この5人で日本初上演の舞台に取り組めることが楽しみです。一人一人が強調し合っているようでしていない、不思議な大人の話をしっかりと作り上げて皆様の元にお届けしたいと思いますので、観にいらしていただければ幸いです」と呼びかけた。
舞台『大人のけんかが終わるまで』は、6月30日(土)より2日間のプレビュー公演を経て、7月4日(水)の愛知公演を皮切りに全国9都市を巡演する。詳細は以下の通り。
【東京プレビュー公演】6月30日(土)・6月31日(日) シアター1010
【愛知公演】7月4日(水)・7月5日(木) 日本特殊陶業市民会館 中ホール
【静岡公演】7月7日(土) 静岡市清水文化会館(マリナート)大ホール
【岩手公演】7月10日(火) 岩手県民会館 大ホール
【東京公演】7月14日(土)~7月29日(日) シアタークリエ
【大阪公演】8月1日(水) 岸和田市立浪切ホール 大ホール
【広島公演】8月3日(金) 上野学園ホール
【福岡公演】8月5日(日) 博多座
【愛媛公演】8月8日(水) 松山市総合コミュニティセンター キャメリアホール
【兵庫公演】8日10(金)~8月12日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
(取材・文・撮影/堀江有希)