2018年2月21日（水）に東京・新国立劇場 小劇場にてミュージカル『新☆雪のプリンセス』が開幕した。本作は、2016年に初演、翌年にはAKB48の高橋朱里を主演に迎え再演されたもので、今回は演出・衣裳・振付を一新しての再々演となる。初日前には、公開ゲネプロと囲み会見が行われ、再び主演を務める高橋と、米原幸佑、小笠原健、久保田未夢、木根尚登、一路真輝（特別出演）が登壇した。
ディズニー映画『アナと雪の女王』の「Let it go」をはじめとするすべての挿入歌の訳詞や、劇団四季『アラジン』の訳詞を手がけた高橋知伽江が、脚本を10年におよび温め作り上げたミュージカル。総合演出は田尾下哲、演出は家田淳が手掛け、季節が夏で止まったままの未来の日本を舞台に、季節の移ろいを取り戻すためある姉弟が「雪の女王」と出会い、その心を溶かすため奮闘する姿を描く。
会見では、雪をイメージさせる衣装に身を包んだプリンセス役の高橋が「稽古から初日まであっという間でしたが、こうしてまたプリンセスとしてステージに立たせていただけるのがすごく楽しみです」と胸いっぱいの様子を見せた。
また、今年成人を迎えた高橋は、子役からベテランまで集うこの公演で様々なことを学んでいるようで「木根さんからは、これからずっと胸に留めておこうと思った“1の成功は99の失敗から成る”という言葉を教えてもらいましたし、一路さんからはプリンセス役を演じる際に必要な、姿勢や声の出し方を教えてもらいました」と、勉強熱心な彼女らしいエピソードを明かした。
今回、サンタクロースの孫・クリス役として初参加となる米原は「衣裳や演出もガラッと変わっているということで、まさに“新”しい『雪のプリンセス』を皆様に届けられたらなと思います」とコメント。同じく初参加のコユキ役・久保田も「初めてはじめてのことがたくさんなんですが、精一杯楽しみながらがんばりたいと思います」と意気込んだ。
コガラシ隊長役の小笠原は、3度の上演すべてに出演。主演の高橋について「前回よりさらにたくましくなって戻ってきてくれました」と評し、初演からのカムバックとなる冬将軍役の木根は「子どもたちを含め、素晴らしい演者さんの中で楽しくやさせていただいてます」とにっこり。
そして「僕自身も、作品の曲がとても大好きなので、そこもご注目いただければ」と付け加えた。今回使用された楽曲は、歌詞などはそのままに、新たにアレンジを加えたものであり、今回の演出にぴったりとマッチしたクールな仕上がりになっていた。
そんな木根を「あたたかいお人柄で、カンパニーを包んでいらっしゃるのがとても素敵」と讃えたのは、雪女フブキ役の一路。今回、特別出演として参加する一路は「初めて共演する方ばかりなんですが、朱里ちゃんをはじめ、皆かわいくて、あっという間に仲良くなりました。気持ちも若返ってがんばっております（笑）」と気合十分だった。
今回は、ステージを客席が取り囲むセンターステージでの上演。新しい演出と舞台の効果により、これまでを上回る立体的な空間が生まれた。このことについて、高橋は「360度どこからも楽しめる作品になっています」と笑顔たっぷりに太鼓判を押している。
リニューアルにあたり、見どころの一つとなっている衣裳を手掛けたのは、NHK教育テレビ『にほんごであそぼ』の衣裳セットも担当した、ひびのこづえ。それぞれに個性的に仕立てられていたが、中でも目を引くのは赤色が印象的な米原の衣裳。前回はデザインが違う赤の衣装に、贈り物が入った大きな白い袋を持っていたクリスだが、今回その袋はなく、かわりにプレゼントを連想させる大きな帽子が追加された。
そんな赤いリボンのかかった帽子に対し、小笠原が「それは運動会の玉入れカゴなの？」と冗談を飛ばすと、米原は吹き出しながらも「帽子や帽子！子どもたちの夢と希望が詰まってんねんぞ?!」と関西弁でツッコミ。稽古場の和気あいあいとした空気がこちらまで伝わってくるようだった。
会見の最後には、高橋が「日頃感じている当たり前のことが、実はすごく大切なんだなってことが伝わる作品ですし、ファンタジーな面もありつつ、見ている方々が共感できる部分もたくさんあると思います。スタッフとキャスト一同、千秋楽までがんばりたいと思います」と改めて意気込みを語った。
心温まるミュージカル『新☆雪のプリンセス』は、2月21日（水）から2月25日（日）まで東京・新国立劇場 小劇場にて上演。
(C)2018 新・雪のプリンセス
（取材・文・撮影／エンタステージ編集部）
