2017年6月8日(木)に東京・CBGKシブゲキ‼にて『厨病激発ボーイ』が開幕した。本作は、小説化やコミックス化もされているニコニコ動画のカリスマプロデューサー・れるりりによる同タイトル楽曲を原案とする舞台作品。脚本・演出に演劇プロデュース・ユニット「空想組曲」のほさかようを迎え、舞台版のオリジナルストーリーを描く。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、こじらせ4人組を演じる大平峻也、金井成大、有澤樟太郎、野尻大介が登壇した。
物語は、厨二病をこじらせまくった男子高校生、ヒーローに憧れる野田大和(大平)、2次元しか愛せない残念イケメン高嶋智樹(金井)、天使か悪魔の生まれ変わりと信じている中村和博(有澤)、黒幕気取りの九十九零(野尻)という超クセ者たちが、転校してきたヒロイン聖瑞姫(田上真里奈)と出会ったことで巻き起こるドタバタコメディ。
とにかく動きまくる座長の大平は「小説やコミックもありますが、(舞台としてさらに)どう表現されるのか、果たして“サーチライト”や“エターナルフォースブリザード”はどこで出てくるのか?!ぜひ、楽しみにしていてください。コメディではありますが、その中の深い少年の心を感じていただけたら。全力でがんばります!」と意気込み、厨二病は素晴らしいものであると胸を張る。
熱血ヒーローレッドと思い込んでいる野田は、舞台をところせましと駆け回り、常に何かの攻撃から誰かを守るべく戦闘体制でいるため、愛らしくも暑苦しい。中でも、大平が研究し尽くしたというヒーローポーズは見逃せない。
照れながらも「細かな動きにも注目して」とアピールした金井は「本当におもしろい作品になっていると、自信があります。女性がたくさん来られると思いますが、ぜひ話題にしてもらって、男性の方にも観ていただきたいです。女性はもちろん、男性も共感して楽しめる作品になっています!」と力説。
“壁ドン”や“アゴクイ”などを繰り出しながら、2次元愛を炸裂させる高嶋。我が道を進み、野田や中村とは違う次元で生きている風の高嶋が、なぜか一番普通に見えてくるのが不思議だ。
有澤は、中村役が「ハマり役」だと感じているという。「とても良い雰囲気で稽古ができていたと思います。中村和博くんを演じることが、毎日が楽しくて(笑)。厨二病のすべての夢が詰まった作品だと思っています」と語り、詠唱を唱えることにも違和感がなかったとか。周囲も「めちゃくちゃ楽しそうだよね、いきいきしてる!」と突っ込んでいた。
秀才で一見クールな中村だが、あるリミッターが解除された妄想バトルシーンではイタさ全開!膨大で恥ずかしい呪文を高らかに唱え攻撃を発動させるシーンは、思わず声を出して笑ってしまうほど全力だ。
そして、今回オーディションで九十九零役を掴んだ野尻は「緊張しております。九十九くんが出す『皆とは違う』という雰囲気に、稽古の最初の頃は苦しみましたが、今では演じることが楽しくなりました。本番はもっと弾けていきたいと思います」と挨拶。それぞれの厨二病エピソードを共有しあったことで、自身の役作りに生かすことができたと明かした。
すべてを背負った黒幕風、男子の前ではハードボイルドをキメるが、好きな女の子の前では素直になれない九十九のギャップを、野尻は体当たりで好演していた。
さらに本編では、そのこじらせ厨病ボーイ4人に振り回されながらも健気に振る舞う瑞姫役の田上、クールな市ノ瀬役の月岡弘一、、嵐を呼ぶ教師・玲泉寺役の大内厚雄、そして安定の存在感をかもす神主・校長役の原川浩明など、脇を固める役者陣も熱い。作中の随所に散りばめられた、どこか覚えのあるような厨二病的言い回しに、心の奥底がざわつき、くすぐられることだろう。
『厨病激発ボーイ』は6月18日(日)まで東京・CBGKシブゲキ‼にて上演。
なお、本作のDVDが10月25日(水)に発売されることが決定した。公演期間中、劇場にて予約を受け付けている。詳細は、公式HP、Twitterにてご確認を。
(取材・文・撮影/谷中理音)