豊臣と徳川の最終決戦“大阪の陣”から約400年となる2014年に、「日本テレビ開局60年特別舞台」として大ヒットを記録した超大作『真田十勇士』が、“真田イヤー”と言われる今年、パワーアップして帰ってくる。同時期に映画公開と出版化も決定し、高い注目を集める本作の製作発表会見が2016年7月27日(水)に行われ、演出の堤幸彦、脚本のマキノノゾミ、主演を務める中村勘九郎をはじめ、加藤和樹、篠田麻里子、高橋光臣、村井良大、駿河太郎、荒井敦史、栗山航、望月歩、青木健、丸山敦史、石垣佑磨、山口馬木也、加藤雅也、浅野ゆう子が登壇した。
本作は、読売文学賞や鶴屋南北戯曲賞など数々の賞を受賞しているマキノのオリジナル戯曲。戦国時代の名将と讃えられている真田幸村は実は非力な人物で、数々の武功は十勇士の一人・猿飛佐助の作戦によるものだったという発想のもと、「嘘も突き通せば本当になる」と、佐助が世紀の大嘘をついて戦国の世を生き延びていく姿を痛快に描く。
2014年の初演に続き、演出を手掛ける堤は、「映画と相まって大ブームになると確信しています。(初演時から)いろいろなところに手を加えてやっていきたい」と挨拶すると、登壇した役者たちに向かって「一言で言うと(本作は)大変です。どうか覚悟の上、稽古にいらしていただきたい」と宣言し、役者たちを苦笑させた。その「大変さ」は、他の舞台に比べても群を抜いているようで、佐助役の勘九郎などは本作の再演のオファーを受けた際に「マジか!と思った(笑)」と明かしたほどだ。
その勘九郎は「(大変だという)堤さんのデジャヴのような言葉を聞いて凹んでいます(笑)。でも、キャスト、スタッフ一同が不可能に挑み、どうにかして成功させようという気持ちで溢れている舞台です。一緒の思いを持った(人たちが揃う)この空間にいられる幸せを噛みしめながら、大変な日々を送りたいと思います」と作品への思いを語った。そして、「大変だ、大変だとは言っていますが、正直楽しみなんです。その感情をお客様にも一緒に感じていただければ」とアピールした。
初演と映画版で由利鎌之助役を務めた加藤和樹は、本作では霧隠才蔵役を演じる。加藤は、「役が変わると聞いて、マジかと思いました(笑)。でも、自分にしかできない才蔵を演じたいです。新『真田十勇士』を作るべく、舞台上で精一杯生き抜いていきたいと思います!」と意気込んだ。
初演、映画版と同じく真田幸村役の加藤雅也は「(初演時に比べて)舞台が大きくなりまして、堤監督からどんどん走ってくださいと言われていますが・・・私も53歳なんです。これは大変なんです。ですから、修行僧のような生活を送って、必ず成功させたいと思います」と力強く話した。
AKB48卒業後、これが初舞台となる篠田は、佐助と才蔵の幼馴染みで女忍びとして二人を翻弄する火垂役に抜擢。篠田は、「(オファーを受けて)即決でやりたいと伝えました。期待に胸を膨らませて今日まで来たんですが、大変だと聞いて不安でたまらないです。でも、大変だと言われるほど燃えるので、これが最後のお仕事だと思うくらいの気持ちで臨みたいと思います」と熱い思いを覗かせた。
また篠田は、本作に向けてマラソンや体幹トレーニングなどを始めたというが、ワイヤーアクションは「ライブでやったことはあるんですが、お芝居をするのは初めてです」と話す。そこで、初演時に見事なワイヤーアクションを見せた勘九郎から、「恐怖心をなくすこと。それから、ワイヤーアクションは手動なので、操作してくれる人を信頼すること」というアドバイスをもらい、深く頷いていた。
新キャストとして参加する、豊臣秀吉の妻である淀殿役の浅野は、「堤監督が大好きで、お掃除のおばさんでもいいから出して、とささやき続けて淀殿をゲットしました」と笑顔で語ると、「ただ、この中で最高齢です。立ち回りはムリです。疲労骨折でもしたら大変なことになります(笑)。ですから大人しく、笑っていただけるパートを任せてもらおうと思います。監督、ぜひ立ち回りはナシでお願いします!」と堤に直訴した。
そしてマキノは、「初演の時に、堤監督からどんどん場数を書いてくれと言われました。こんなに場数の多い舞台の台本は書いたことがなくて、『知らないぞ』って内心思っていました。でも、実際に舞台を観たら『なるほど!』と、これは掛け値なしに、観る方にたっぷり楽しんでいただける名作になると思います」と語った。
スペクタクル時代劇『真田十勇士』は、9月11日(日)から10月3日(月)まで東京・新国立劇場 中劇場にて上演される。その後、神奈川、兵庫にて公演を行う。日程の詳細は、下記のとおり。
【東京公演】9月11日(日)~10月3日(月) 新国立劇場 中劇場
【神奈川公演】10月8日(土)~10月10日(月・祝) KAAT神奈川芸術劇場 ホール
【兵庫公演】10月14日(金)~10月23日(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
(取材・撮影/嶋田真己)