おバカな水産系男子5人組が海の神々と対決?!舞台『ポセイドンの牙』ゲネプロレポート

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舞台芸術集団地下空港の新作公演『ポセイドンの牙』が6月1日(水)に東京・紀伊國屋ホールにて幕を開けた。本作の作・演出はオリジナリティー溢れる寓話的世界観で演劇の新たなスタイルを確立した同劇団主宰の伊藤靖朗。出演には地下空港所属俳優のほか、若手人気俳優が多く集結。水産高校に通う陽気なバカ男子たちが海の神・ポセイドン(?)と「黄金の釣針」を求めて海底を旅する異色の冒険譚が仕上がった。初日前に行われた公開ゲネプロと終了後の会見と合わせ紹介しよう。

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舞台はまず、ナカツ県の乙亀(オトガメ)市にある水産高校から始まる。おバカでモテない元気だけが取り柄の男子5人組“スイサンズ”(藤原薫、原嶋元久、猪野広樹、平田雄也、佐野勇斗(M!LK))は、教師の豊玉エリー(田代絵麻)から資金難により母校が防衛人材育成高校(男子校)へ変わる計画を聞く。

『ポセイドンの牙』公開ゲネプロ_3

戦いを嫌い、女子が大好きなスイサンズは、学校の経営再建に知恵をしぼるが、すぐになす術がなくなり、途方に暮れていた。そんな折、須永宇宙期は癌で入院生活を余儀なくされる母(野々目良子)から、スニオ岬の海底に沈むと言い伝えられる「黄金の釣竿」の噂を聞く。

『ポセイドンの牙』公開ゲネプロ_6

偶然にもスニオ岬で海洋実習を控えていたスイサンズは、教師の目を盗んで「黄金の釣竿」の捜索に。しかし、そこで出会ったのは昆布を幾重にも巻いたお調子者のポセイドン(滝川英治)であった。一見、“厄介な人”に見えるポセイドンに不信感を募らせるスイサンズ。

『ポセイドンの牙』公開ゲネプロ_7

一方、度重なる浮気で妻・アムピトリテ(西丸優子)の怒りを買い「黄金の釣竿」が眠る海底の宮(通称:ウツノミヤ)に出禁となっていたポセイドンは、スイサンズをポセイドンの5人の息子に見立てて中に侵入することを企む。「黄金の釣竿」を探すスイサンズの一行は後を追ってきたエリーと共に、ポセイドンに導かれてウツノミヤへ向かうのだった。その頃、海底では古代の戦士カルナ(兼崎健太郎)と深海の使者ドローナ(中村龍介)が怪しい動きを・・・。

『ポセイドンの牙』公開ゲネプロ_5

本作の見どころは、スケールの大きなモチーフをあくまで日常の延長で語る伊藤独自のドラマツルギーだろう。神々を巻き込む大きな物語を踏襲しつつも、日常のリアリティーから逸脱しない絶妙なバランス感覚を保っている。中でも、スイサンズ5人の既視感に溢れる等身大の男子高校生像が作品のリアリティーを支える大きな要となっている。

『ポセイドンの牙』公開ゲネプロ_4

会見で、スイサンズのリーダー格・須永宇宙期(すなが・そらき)役の藤原は「伊藤さんのイメージしているものを作り上げるのは独特の難しさがありましたが、台本がとても面白く、稽古はさらに楽しかったです」と稽古を振り返る。そして、恋に悶絶する道井磨多井(みちい・またい)役の原嶋は「スイサンズ、チーム一丸となって作品に取り組み、千秋楽まで最強のチームでいたいと思います!」と、スイサンズの結束力をアピール。

孤高の貝類オタク・葛先賢人(くずさきけんじん)役の狩野は「スイサンズが先輩たちに勝てるのは熱量とパワー。そこだけは負けないようにして7公演を乗り切っていきたいと思います。みなさん劇場でお待ちしています」と呼びかけた。

『ポセイドンの牙』公開ゲネプロ_10

エッチなことでいつも頭が一杯・生方英(なめかた・すぐる)役の平田は「スイサンズは一人一人の個性がすごく強いのですが、全員がまとまった時のグルーヴ感はすごいんです」と、見どころを紹介。

スイサンズのバカ筆頭・萩原安打尊(はぎわら・あんだそん)役の佐野は「僕はこの座組みのなかで最年少なのですが、一ヶ月間の稽古のなかで先輩方から多くのことを教わりました。その成果を発表できるように自分なりにがんばります」と、緊張感あふれる面持ちで語った。

海の神・ポセイドンという難役に挑む滝川は「この作品はテーマが深く、地球温暖化や水質汚染、生命の絶滅など深いテーマが掲げられています。そういう深いところまで理解してお客さんにお渡しできるように、一言一句心がけて挑んでいきたいと思います」とストイックな姿勢を伺わせた。

『ポセイドンの牙』公開ゲネプロ_8

『ポセイドンの牙』公開ゲネプロ_9

深海の戦士・カルナ役の兼崎は「僕らなりの正義はあるのですが・・・」と前置きした上で、「カルナは悪役なので、良い意味でこの作品をかき乱して周りに影響を与えていきたいと思います!」と、堂々とした悪役振りを宣言。深海の使者・ドローナ役の中村も「お客さんが設定してくるハードルを楽々越えられるような作品をお届けしたいです」と並々ならぬ熱意をあらわにしていた。

『ポセイドンの牙』公開ゲネプロ_2

舞台『ポセイドンの牙』は6月1日(水)から5日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演。

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