2025年2月6日(木)に東京・サンシャイン劇場にて舞台『私立探偵 濱マイク-遥かな時代の階段を-』が開幕した。初日当日に開幕直前取材と公開ゲネプロが行われ、佐藤流司、長田光平、矢部昌暉(DISH//)、小泉萌香、七木奏音、井澤巧麻、八木ましろ、なだぎ武、大浦龍宇一、凰稀かなめ、西田大輔(脚本・演出)が登壇した。
『私立探偵 濱マイク』とは?
映画監督・林海象原作、永瀬正敏主演で人気を博したハードボイルド探偵シリーズである映画『私立探偵 濱マイク』シリーズを原作とし、2021年に朗読劇として初舞台化され、今回は第二弾として舞台版として上演する。
主人公・濱マイクは佐藤が朗読劇より続投。佐藤は、本作が30歳を迎えた1作目の出演舞台となり、映画も2025年に30周年を迎える。脚本・演出は西田、劇中曲は田井モトヨシが務める。
主演・濱マイク役の佐藤のほかに、相棒・星野役の矢部、濱マイクの妹・濱茜役の小泉、本作ではオリジナルストーリーとなり、第一弾でマイクの仲間になったワンバイラン役の七木が、第一弾から続投出演。また、新たなキャストとして、長田、井澤、八木、なだぎ、大浦、凰稀が出演する。
開幕直前取材レポート:「濱マイクがかっこよすぎる!」矢部昌暉も絶賛の佐藤流司はもんじゃ焼きに夢中?
まず、主人公・濱マイクを演じる佐藤は「アンサンブルの皆さん、キャストの皆さん、スタッフの皆さん、原作を作られた林海象監督、そして脚本・演出の西田さん、1か月弱の稽古期間中に、全部ひっくるめて私は6回もんじゃ焼きに行ってるんです。なので、実質もんじゃ焼きが作り上げたこのカンパニーの力、もんじゃ焼きとともに歩んできた1か月間、その集大成をカリッとこんがり焼いて皆さんにお見せしたいなという所存でございます」と茶目っ気たっぷりに挨拶を行い、登壇者たちを笑わせた。
続けて、30歳を迎えた1作目の出演舞台となる心境を問われると、佐藤は「本当に光栄に思います。ということは、30歳初めてのもんじゃもこの座組で頂いたということになりますね」と再びのもんじゃ焼きネタで笑いを誘うと、改めて「20代最後の舞台の時にもいろいろなところで言わせてもらったんですが、あまり気負いせずと言いますか、意識せず、いつも通り最高のお芝居を皆様にお見せすることが私の仕事かなと思っておりますので、いつもと変わらず最高のパフォーマンスで皆様をお迎えしたいと思います」と意気込みをあふれさせていた。
マイクの相棒・星野役の矢部は「前作から引き続き星野くんを演じさせていただくんですけども、本当に前作も素敵な作品だったんですが、それをまたパワーアップした素敵な作品になってると思いますので、それを全力で届けたいなと思います」と意気込みを披露。
さらに、矢部から見た本作の見どころについて、「本当に濱マイクがかっこよすぎる! 本当にそれだけです! だから、星野くんとしてはしっかりマイクを支えていきたいなと思いますし、見どころは流司くんの殺陣、芝居、そして歌と踊りと、もう全てです」と挙げた。
中山刑事役のなだぎは「濱マイク役のなだぎ武でございます」とボケると、登壇者たちからのツッコミに「すみません、間違えました。申し訳ございません」と頭を下げて笑いを誘った。改めての挨拶として、なだぎは「映画とドラマと人気シリーズの舞台化ということで、今回初めて中山刑事で参加させていただきます。映像の方では麿赤児さんがやっていた中山刑事ですけど、麿赤児さんのように渋く、そしてちょっと嫌味ったらしく、ねちっこいキャラクターになればなと思っております」と意気込みを語った。
黒狗会の山口を演じる井澤は「今回は舞台版ということで、舞台ならではの臨場感のある華やかなアクションや、あとは映画にないシーンもいくつか追加されています。この山口という役も映画にないシーンがこの舞台の中では描かれているので、そういうところを丁寧に描いて皆さんにお届けできたらと思っております」と見どころをアピール。
マイクの妹・濱茜役の小泉は「前作に引き続き妹役で出演させていただきますけども、今回も見に来てくださる皆さんと同じ目線でみんなのこと見守れたらいいなと思います」と期待を寄せた。
白い男の部下・杉本役の長田は「今回、初参加になるんですけれども、ちょっとまた新たな空気を作れるように頑張りたいと思います」と意気込んだ。
マイクの母親リリーを演じる凰稀は「西田さんの舞台は本当にすごいなと思いながら今回も作ってきました。歌あり、ダンスあり、殺陣あり、本当に盛りだくさんの舞台となっておりますので、体調や怪我などに気をつけて、大千秋楽までみんなで駆け抜けていきたいと思います」と力を込めた。
白い男役の大浦は「非常に要となるような役でして、これからゲネプロが始まります中でも役を作っている状態で、ちょっと不機嫌なわけではございません(笑)」と強面の役にすでに入りきっていることを明かしながら、「でも、きっと想像を超えたものが作られているかと思います。ぜひご期待ください」と呼びかけた。
ワンバイラン役の七木は「第1弾きりで終わると思っていたので、またこうして西田さんの作る濱マイクの世界に戻ってこられることができてとても幸せです。前作で椎名鯛造さんが演じた楊徳健(ヤン・トッケン)さんのことを大切に思いながら、また舞台の上で生きたいなと思っております」とコメント。
港のメリーを演じる八木は「メリーは私が今まで演じた役の中で1番大人な女性なので、少し私にとっては新たな挑戦になるなと思っているんですが、本当に素晴らしくて学ぶことばかりの素敵な皆さんとご一緒にこうやって舞台に立てることを、本当に嬉しく思っております」と喜びを露わにした。
そして、脚本・演出の西田は「本当に嘘偽りなく素晴らしいキャストのみんなに揃っていただいたなと改めて思っています。林海象監督が本当に魂を込めて作られた映画の3部作、今回は第2作になるんですけれども、やっぱり今の時代にも通ずる、何か美しい思いとか、真摯な思いとか、人が人を思うことがこの作品には込められているような気がして、それをリスペクトしながら、みんなと今の時代にあえて舞台にして届けようという作品になりました」と初日を迎えた心境を語った。
さらに「佐藤流司くんの濱マイクを見ていると、稽古で一緒に作りながら本当にワクワクするような気持ちになったというのをすごく覚えていることで、その息吹を観客の皆さんにもぜひ感じ取っていただけるなと思っています。1回目の舞台があって、2回目があるとは僕も思ってなかったんですけれども、奇跡のような、素晴らしいパワーアップしたチームでこの作品を届けられることをとても嬉しく思っています」と思いを明かした。
最後に、佐藤は「前作をご覧になった方も、今回初めてご覧になる方もいらっしゃると思いますが、お芝居はもちろん、歌とダンスと殺陣があって、アクションシーンがあり、笑い所もあり、涙ありと、舞台を観るべきポイントと言いますか、なんか自分が舞台を観たときに観たいポイントがたくさん詰まった、そんな舞台だと思っています。自分が初日を迎える前に、早く見せたくてしょうがないなって思える舞台って素晴らしい舞台だと思うんですけど、今回も本当にそんな感じに仕上がっておりますので、皆さん楽しみにしてご覧になっていただければと思います」と会見を締めた。
『私立探偵 濱マイク』の世界が舞台版として新たなる魅力を解き放つ【ゲネプロレポート】
物語の舞台は横浜・黄金町。とある映画館の二階に探偵・濱マイクの事務所はあるが、彼のところに来る依頼は冴えないものばかりだった。そんな折、幼いマイクと茜の兄妹を捨てた母親・リリーがこの町に戻って来たという噂をマイクは耳にする。
一方、町では“川”の利権を巡る抗争が勃発していた。川は警察もヤクザも手を出すことの出来ない“白い男”によって仕切られており、それを侵そうとする者はその一味によって消されてしまうのだった。
そして、また犠牲者が出てしまう。犯人が分かっていながら証拠が掴めない伊勢佐木署の中山は、マイクを威して事件を解決しようとするのだが……。
アンダーグラウンドな裏社会と日常が交差する黄金町を舞台とした本作。黄金町の雑多な街並みを想像させ、『私立探偵 濱マイク』の世界観らしさを彷彿させるステージ上で、マイクを筆頭とした個性あふれるキャラクターの生きざまと人間模様、そして家族愛が描かれていく。
本作は、ハードボイルドな雰囲気の中に、小気味よいユーモアや笑いなどを緩急さを盛り込み、殺陣やアクション、ブルースを筆頭とした歌唱にダンスといった要素で第一弾の朗読劇からさらにパワーアップしている。
マイクを演じる佐藤は、ハードボイルドさの中にも人情派な人間らしさあふれる役柄を熱演しながら、家族の中で揺れ動く複雑な心情を巧演。殺陣のシーンではワイルドさのあるアクションで観客の目を引きつける。一方で、ユーモラスなシーンでは佐藤が舞台上で本当に楽しんでいる姿が印象的で、さらに矢部が会見でも述べた歌唱シーンでは、佐藤の魂の熱唱も要注目の見どころとなっている。
星野を演じる矢部は、コメディーリリーフ的な立ち位置で佐藤との絡みを好演しつつ、情報屋らしくストーリーを牽引していく有能さも見せてくれる。マイクの妹・茜を演じる小泉は、親代わりでもあるマイクの人間味を引き出しながら、しっかり者でありつつキュートな姿で演じきる。さらに、七木が華麗で流れるようなアクションと魅惑的な歌唱とダンスで魅力を振りまく。
そこに、リリー役の凰稀が母であり、1人の女でもある女性としてアダルトな魅力と歌唱で存在感を放ち、大浦が舞台を引き締める重厚な演技を見せつけ、なだぎが清濁併せ呑むような刑事を演じながら、なだぎらしい笑いで盛り上げる。
遙かな時代の階段を駆け上がってきた男と邂逅するマイク。強大な闇に巻き込まれるマイクに待ち受けるものは何なのか。舞台版として新たなる魅力を解き放つ『私立探偵 濱マイク』シリーズの第二弾が幕を開ける。
(取材・文・撮影/櫻井宏充)
『私立探偵 濱マイク-遥かな時代の階段を-』はいつどこで上演される?
【東京公演】2025年2月6日(木)〜2月11日(火・祝) サンシャイン劇場
【大阪公演】2025年2月15日(土)〜2月16日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
【愛知公演】2025年2月22日(土)~2月23日(日) ウィンクあいち
【公式サイト】https://hamamike2-stage.com
【公式X(Twitter)】@hamamike_stage