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荒木宏文、坂元健児が見せた“凄み” 舞台「銀牙 -流れ星 銀-」~絆編~ビジュアル撮影レポート<後編>

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舞台化発表と共に、「あの物語をどうやって舞台に?」と多くの演劇ファンの間で話題となった舞台「銀牙 -流れ星 銀-」~絆編~。エンタステージでは、そのビジュアル撮影現場に密着し、役者陣とクリエイター陣の手で、キャラクターたちが動き出す瞬間に立ち会った。その模様をレポートする。今回はその後編。

関連記事:佐奈宏紀らとクリエイター陣の熱いセッションから生まれる『銀牙』の世界 舞台「銀牙 -流れ星 銀-」~絆編~ビジュアル撮影レポート<前編>

「銀牙 -流れ星 銀-」とは、30年以上前に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されていた高橋よしひろの人気漫画。熊と戦う犬たちの愛や勇気といった心を、ストレートに描いた作品で、今なお多くのファンに愛され続けている名作だ。強さと優しさと併せ持つ主人公・銀役は佐奈宏紀、銀をリーダーとして開花させる「奥羽の不動明王」ベン役は郷本直也、銀の良きライバルであり世界中で猛獣狩りをしてきたジョン役は安里勇哉が演じる。

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このレポート後編では、赤目役の荒木宏文と、リキ役の坂元健児をピックアップ。ビジュアル撮影における、二人の役との向き合い方に迫った。

荒木が演じる赤目は、原作でも屈指の人気キャラクター。紀州犬らしい真っ白な毛並みと、忍者のような衣裳で、伊賀忍犬総帥の姿を物語る。荒木のピンと伸びた背筋に釣られるように、撮影現場の空気も研ぎ澄まされていった。

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ポージングには、本作の振付を担当する辻本知彦が指導に入る。辻本は、シルク・ドゥ・ソレイユに日本人男性ダンサーとして初めて起用された人物だ。最近では、2018年末のNHK『第69回NHK紅白歌合戦』で米津玄師「Lemon』のパフォーマンスを手掛けた。ろうそくの灯りの中で幻想的に踊るダンサーの姿が、印象に残っている方も多いのではないだろうか。

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辻本は、人間の身体はそこまで可動するものなのだろうか・・・と思うような動きを作り出すのだが、荒木は顔色一つ変えずにそれを再現していく。体勢をキープし続けなくてもいいと声をかけられても「いつ撮られているか分からないから」と、プロフェッショナルな姿勢を貫く。「品が良すぎるので、凄みのあるオーラがほしい」というオーダーが飛べば、瞬間的に応えて見せていた。

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ビジュアル撮影は「作り手の“見せたい形”という願望が詰まったもの」と捉える荒木。まだ台本も完成していない、稽古も始まっていない今の段階で求められるものは、すでに作品の一部であり、遠い“理想”でもある。「静止画だからこそ成立するものは、舞台では表現しきれないこともあるので、歯がゆさを感じることも出てくると思います。しかし、目指すべきベクトルは同じはず。(ビジュアル撮影を)それはそれと流すのではなく、求められたこととしてきちんと身体に染み込ませておいた方が、稽古に入った時に理想を追い求め続けることができると思うので、この撮影を踏まえて本番でも役作りをしていきたいと思います」。

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荒木をはじめとする思いの詰まったビジュアルは、チラシなどの形で観客の手元に届く。「皆さんが最初に目にするこのビジュアルから、感じ取っていただいたことをちゃんと舞台上でお見せできるように、精一杯努力して参りますので、楽しみに待っていてほしいなと思います」。次々と出演作が待つ多忙な荒木だが、まとう空気は以前よりずっと澄んでいる。今の荒木が「赤目」をどう表現してくれるのか、期待せずにはいられない。

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最後は、リキ役を演じる坂元を紹介。発表時、ウィットとユーモアに富んだコメントで、期待値をさらに上げてくれた坂元が演じるのは、奥羽軍を率いる最強の熊犬であり、銀の父。リキは赤色の虎毛を持っているため、全体的に茶ベースで作られているが、ウィッグや衣裳のそこかしこに銀との親子関係がにじむ。そして、羽織ったコートはところどころ引き裂かれ、リキの戦いの日々を感じさせた。

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坂元に求められたのは、強さと優しさ、そして、他を圧倒するようなカリスマ性。「右足はもっと出していた方がいいの?」などと、ポーズを作る際も坂元は積極的に質問をしていた。もう一つ、クリエイター陣から度々発せられていたのは“守る”というキーワード。「一歩引きながらの攻撃」という意味を、動きの中に織り交ぜていく。写真チェックで、コマ送りのように撮影された写真を見ていくと、不思議なことに坂元はまるで歌っているように見える。短い時間の中にも、“表現力”を感じさせるビジュアル撮影だった。

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「銀牙」について、坂元は「僕も作品を愛する一人」なのだという。「舞台化するにあたっても、皆が愛してきた芯の部分はずれないはずなので、早く演じてみたい気持ちでいっぱいです」と撮影を振り返った。

“2.5次元”という言葉が隆盛する昨今。本作については「ミュージカルとしては脚本も音楽もオリジナルですよね。僕らが育つ中で接してきたキャラクターや物語にそういった新しい要素が加わることで、新たなエンターテインメントが生まれていくのだと思っています。今、いろんな漫画作品が舞台化されていますので、この『銀牙』もきっと安心して楽しんでいただける作品になるでしょう!必ずそうしますので、期待していただけたらなと思います」と、笑顔で語っていた。

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幼くして巨大な敵と戦う運命を背負った銀のもとに仲間が集うように、今夏、演劇という作品作りに役者たちが集ってくる。彼らが作り上げる物語に、注目していきたい。

舞台「銀牙 -流れ星 銀-」~絆編~は、7月6日(土)から7月15日(月・祝)まで東京・天王洲 銀河劇場にて、7月20日(土)・7月21日(日)に兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobeにて上演される。

【公式HP】https://www.ginga-stage.com/
【公式Twitter】@stage_ginga

※辻本知彦の「辻」は「一点しんにょう」が正式表記

(C)高橋よしひろ/集英社・舞台「銀牙 -流れ星 銀-」

 

(文/エンタステージ編集部)

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