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『春のめざめ』『恐るべき子供たち』製作発表レポート 白井晃が若き俳優たちと見直す現代戯曲

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KAAT神奈川芸術劇場にて4月から6月にかけて『春のめざめ』『恐るべき子供たち』が2作連続上演される。その製作発表が、2019年2月5日(水)に行われ、出演者らが登壇した。KAATの芸術監督を務める演出家の白井晃は、2016年の就任以来、「この劇場で、近代、現代戯曲を現代の視点で見直してみたい」と「近現代シリーズ」と銘打った作品を創ってきた。

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今年は、4月に『春のめざめ』を再演、5月から6月にかけて『恐るべき子供たち』を上演する。白井は「大人社会との対峙の中で、子どもたちがいかに戦っていくか、どうやって自分たちの“性”と“生”の道を見つけていくか。若き日の葛藤を描く作品を連続で上演しようという試みに挑戦します」と語った。

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フランク・ヴェデキントの『春のめざめ』は、2017年に志尊淳と大野いとを迎えて上演された。ミュージカルとしても有名な作品だが、白井は「もともとはストレートプレイだぞ」という気概をこめて向き合ったという。結果、好評を得て今回の再演に繋がった。前回出演の栗原類は続投し、主演に伊藤健太郎、岡本夏美が加わる。神奈川公演後、広島、兵庫で上演を予定。以下、白井と出演者のコメントを紹介。

◆白井晃(演出)
基本的に、流れは変わりません。2017年の「少年少女たちが社会と隔絶された形で、まるで実験のプラスチックのボックスに閉じ込められたような窮屈さで青春を送っていく」というコンセプトが充足していたので、変えるつもりはありません。
舞台というのは、俳優と一緒に創っていく中で変わっていくものです。キャストが変わるので、二人の関係自体は前回と変わっていくだろうし、私の中でも発見があるでしょう。

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◆伊藤健太郎(メルヒオール役)
僕は、これが2度目の舞台です。まだまだ素人のようなものなので、白井さんや共演者の皆さんの胸をかりるつもりで演じていきたいと思います。
初主演というお話をいただいた時は、すごく嬉しかったです。初めて舞台に立たせていただいた時、舞台の魅力というものをすごく感じました。直にお芝居したことに、直に反応をいただくこと、お客さんやキャストやスタッフさん皆で作っている空間がとても居心地がよく、舞台が大好きになりました。二回目で主演をいただけたのはすごく嬉しいことですし、がんばらいないといけないなと・・・。
でも最初に台本を読んだ時は、よく分からなかったんです。何回か読んでいるうちに、時代を超えて、思春期に考えていることや感じていることは、それぞれ社会や宗教など違いがあっても今と通じることがあるんだなと思いました。今思春期を迎えている子たち、これから迎える子たち、過去に迎えた方たちと、足並みをそろえて全身全霊で演じる、そんな姿をお見せできたらなと思いました。

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◆岡本夏美(ベントラ役)
前回の『春のめざめ』を客席で観劇したその日の日記に「ベントラ役がやりたかった」と書いていたので、今回オーディションを受けさせていただけたのは奇跡のようなご縁でした。真っ直ぐ清潔な心を持った女の子の、身体と心が少し行き違う繊細な気持ちをしっかりと演じていきたいです。
私自身、子どもの頃に「大人っぽい」と言われることが多く、心が追いつかない状態を感じました。背伸びしなければいけないという窮屈な気持ちになることがあったので、それはベントラと似ているかも。中学生の頃って、いろんなことに興味があり、いろんなことやりたかったし、大人の世界も覗いてみたかったなと思い出しました。共感し、寄り添いながら演じられたらと思います。

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◆栗原類(モーリッツ役)
舞台の前に一度、朗読劇をやったのですが、その時に、どんなに時代が進んでも思春期の身体の異変や身体と脳の違いは、誰もが体験する苦痛や葛藤なのだと感じました。前回すごく楽しく白井さんとやることができたので、再演が決まった時は純粋に嬉しかったです。キャストが変われば完全に新作だと思うので、また一から創っていきたいです。
とはいえ、僕は前回の稽古をまだ覚えています。白井さんの具体的な説明や動き、白井さんのロジックを分かっているので、気持ちとしては再構築しなければと思うのですが、初演をひきずりそうです。でも、リフレッシュして、今回どういう方向性にするかを突き詰めて、違う作品にしたいです。

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ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』は、白井が若い頃から愛読していた小説の一つだという。今回の上演にあたっては、ノゾエ征爾が小説の書き起こしから担当する。ノゾエに依頼した意図について、白井には「ノゾエさんならではのおもしろい視点で再構築してほしい」という気持ちがあったそうだ。

姉と弟の関係を中心に、子どもたちの繊細な心情を描いた本作。出演は、南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大ら。以下、コメントを紹介。

◆白井晃(演出)
ノゾエさんは演劇的な仕掛けを必ず入れてくる方なので、この作品をどういう風にやるのか興味がありました。僕はいつも、戯曲をどう演劇的に仕掛けるかがポイントだと思っているので、ノゾエさんにどうアプローチしていただけるかを楽しみにしてお願いしました。
そして、若き俳優の皆さんと創造できたら。姉と弟の関係は、非常に微妙でスリリングな関係です。何やら、南沢さんと柾木さんはドラマで姉弟役をやったと(出演が決まった)後で聞きまして「そうだったの!?」と(笑)。この二人がどんな姉弟として、姉弟だからこそ葛藤する様子を見せられたらと思います。友人・ジェラール役の松岡さんには、それを俯瞰して、もしかしたら物語を語り部的に語っていただく役になるかと思います。それぞれの関係を色濃くさせていただければ。新たに手をつける作品なので、新たにアイデアを込めながらやっていきたいです。

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◆南沢奈央(姉・エリザベート役)
白井さんの演出を受けるのは初めてですが、周りの役者さんから「白井さんの演出は本当に勉強になった。いろんな気づきがあった」とお聞きすることが多く、ずっとご一緒したいと思っていました。
原作も読んだのですが、とても難しいなという印象です。30代に近づいてきて「大人っぽくなったね」と言われるようになってきたところでの子ども役。子どもらしい、理性では動かない複雑な心境などを演じていきたいです。白井さんからも「覚悟してください」と言われたので、心して挑みたいと思います。

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◆柾木玲弥(弟・ポール役)
僕は、3年前が最後の舞台出演でした。舞台の経験は浅いので、ポールという繊細な役を一生懸命演じ、素敵な作品の一員になれたらいいなと思います。稽古に入るまでに、あと500回くらいは台本を読み返す予定です。

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◆松岡広大(ポールの友人・ジェラール役)
白井さんのワークショップを一度受けさせていただいたり、KAATにもお客さんとして足を運んだりしていたので、今回、芝居をさせていただけることを光栄に思っています。そして、白井さんの演出を受けられるということに、役者として喜びを感じています。すごく緊張しているのですが・・・(笑)。南沢さんや柾木さんとご一緒できることもすごく嬉しいです。
戯曲というものに挑戦するのは初めて。(柾木のコメントを受けて)僕もあと500回は読んで・・・今は小説を、3周目で読み込んでいるところです。

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『春のめざめ』『恐るべき子供たち』は、それぞれ以下の日程で上演される。

◆KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『春のめざめ』
【神奈川公演】4月13日(土)~4月29日(月・祝) KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
【広島公演】5月6日(月・振休) 東広島芸術文化ホール くらら大ホール
【兵庫公演】5月11日(土)・5月12日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

◆KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『恐るべき子供たち』
5月18日(土)~6月2日(日) KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

(取材・文・撮影/河野桃子)

 

(文/エンタステージ編集部)

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