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小野田龍之介インタビュー『レ・ミゼラブル』アンジョルラス役にかける思いとミュージカル愛

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2019年4月、東京・帝国劇場を皮切りに、名古屋、大阪、福岡、そして29年ぶりとなる北海道公演の上演が決まったミュージカル『レ・ミゼラブル』。1987年の日本初演以来、3000回以上の上演回数を誇る本作をきっかけに「ミュージカルが好きになった」という人も少なくないだろう。

今回、プリンシパルとして『レ・ミゼラブル』(以下『レミゼ』)に初参加を果たすアンジョルラス役の小野田龍之介も、この名作を愛してやまない一人。『レミゼ』だけでなく、ミュージカルに並々ならぬ愛を傾ける小野田に、その愛をとことん語ってもらった。

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――小野田さんは、『レ・ミゼラブル』の新プリンシパル発表会見で「どの作品よりもレミゼを観てきたし、聞いている」とおっしゃっていましたね。『レミゼ』との出会いはいつだったのでしょう?

この作品と出会ったのは、ものすごく小さい頃、母に帝国劇場に連れて行ってもらって観たのが最初だったと思います。その時は自分の意志で観に行ったわけではなかったので、夢中になったのは、小学校の5、6年頃に『レミゼ』のCDを聞き始めてからだったんじゃないかな。CDというのは、いわゆる(ジャン・バルジャン役の)鹿賀さんと滝田さんの赤盤、青盤ですね。それまで、僕は踊りをメインにやっていたので、歌で物語をつむぐという知識があまりなかったんです。最初に観た時は、本当に何の前知識もなく観に行ったものですから、「ずっと歌っているけどいつしゃべるんだろう」って思っていたんですよ(笑)。

――台詞がない!と戸惑う人もいると聞きますが、小野田さんは?

もちろん戸惑いました。でも、それ以上に音楽の豊かさとか、パフォーマンスの素晴らしさに圧倒されました。ミュージカルって「全部歌なんだ!」と気づいた瞬間、一気に引き込まれましたね。物心ついてから改めてCDを聞いてみると、キャラクターの心の動きと音楽がすごくマッチしていることも分かりました。そんな『レミゼ』との出会いが、僕がミュージカルを好きになったきっかけですね。

――初めてオーディションを受けられたのは15歳だったとお聞きしました。それは、ご自分で受けると言ったのですか?

当時のマネージャーさんに、自分から「受けてみたい」って言ったんです。・・・言い方は悪いんですが、冗談半分で。そうしたら、書類選考に通ったんです。オーディションに行ったら、言わずもがなですが、受けているのはすごい方たちばかりで・・・。やばいなあと焦りはありましたが、緊張はしませんでした。開き直っていたんでしょうね(笑)。「あ、あの歌を歌えるんだ!」みたいな。それが最初のオーディションでした。

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――その時は、何役で挑戦したんですか?

確か、マリウスかアンサンブルだったと思うんですが・・・はっきり覚えていないんです。でも、このオーディションで、ありがたいことに最終まで通していただいたんです!大人のオーディションを受けること自体が初めてだったし、トントン拍子に進んでいくから、なんだか嬉しくって。最終審査にも呼んでいただいたのですが、、そこで「20歳を過ぎたらもう一度おいで」と言われたんです。良いものを持っていると言ってくださったのですが、まだ子どもでしたし、全編歌のロングラン公演となると、声変わりをしたばかりの中学3年生には負担が大きいだろうと・・・。

「またおいで」と言われたものの、なかなかオーディションを受けるタイミングがなかったのですが、『ミス・サイゴン』に出演したのをきっかけにお声がけいただいて、受けてみようと思いました。

――“大人になったらまた”というのは、子どもだった小野田さんにとって最高のメッセージですね。

本当にありがたかったです。でも、悔しい気持ちもありました。もちろん自分の実力がまだまだという部分も多かったけれど、年齢や変声期が理由というのは悔しいなあと・・・。オーディションに落ちたのも初めてだったんです。その悔しさは、今でも覚えていますね。帰り道、家族だったかマネージャーさんだったか忘れてしまったのですが、電話をしながら「こういう理由でダメでした」って報告した時は、悔しくて涙が出てきました。いつか、あの悔しさを晴らしたいと願っていたら、まさか、大好きなアンジョルラス役で出演できる日が来るとは・・・。

――時を経て、ついに!ですね。今回のオーディションは、振り返ってみていかがでしたか?

個人的なことを言うと、すごく忙しい時期にオーディションがあって、結構バタバタしていて。下準備をしていくことができなかったものですから、不安は大きかったです。でも、とにかく自分の知識やこの作品に対する情熱だけを信じました。
オーディションを見守ってくださる方々が、日本スタッフの東宝さんをはじめ、音楽監督のビリーさん(山口琇也)など信頼をしている方々ばかりだったので、与えられたことを一個ずつ自分の中でクリアしていくことしか頭になかったです。

新キャストの発表時にもお話したのですが、オーディションでは「ABCカフェ」の後半部分しか、事前に楽譜が渡されていなかったんです。でも、当日オーディションに行ったら「皆さんには『ABCカフェ』の楽譜が全部渡っていると思います」という話になっていて。「あれ?もらってないぞ?」と思いながら・・・(笑)。

――それは、ものすごく動揺しませんか?

動揺しました(笑)。でも、不安になる間もなく、ビリーさんに「いけるよな?」と言われたので、「はい」と答えました。そう言われたら、僕は「はい」しか言えません(笑)。

でも、僕は『レミゼ』の大ファンですから。口から(歌詞が)出る出る(笑)。例えば♪こいつはまるでオペラ♪からと言われて、直後は、「なんだっけ、なんだっけ・・・!」と焦って考えていたんですが、いざ音楽が鳴れば♪今が決断を~♪ってすぐに出てきたんですよ!

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――『レミゼ』を聴き続けてきた小野田さんの本領が発揮されましたね!

周りの皆さんがこそこそっと「今が・・・」「決断を・・・」って、教えてくれたりもしていたんですけどね(笑)。でも、すぐに反応できたのは、今までアンジョルラスを演じてこられた方々のおかげだと思いました。皆様の歌をずっと聴かせていただいてきたので、すぐに歌詞が出てきたんだなと。

もう、イントロ、ドン!みたいですよね。言われたフレーズをすぐに歌わなきゃいけなかったから、僕のオーディションはまるで百人一首のようでした(笑)。

――会見で『レミゼ』の中ではアンジョルラスが一番好きだとおっしゃられていましたが、何故でしょう?

子どもって、『スーパー戦隊』とか『仮面ライダー』に憧れるじゃないですか。僕にとっては、それがミュージカルで、赤いベストを着て、バーンと目立っていたアンジョルラスに憧れたんだと思います。

――これまで様々な方が演じられてきたのを観て、どなたのアンジョルラスが印象に残っていますか?

すべてですね~。もちろん、『レミゼ』に出てくるどのキャラクターも好きですけれど、どの回も、アンジョルラスを演じられていた方の印象が強かったです。中でも、オリジナル演出版の最後で、特別メンバーの上演があったじゃないですか。その時、岡幸二郎さんが演じられていたアンジョルラスの印象は、やはり強いですね。

岡さん以外にも、僕が一番『レミゼ』を観ていた時期にアンジョルラスを演じられていた、今拓哉さんもすごく印象に残っていて。皆さん長身で、声も太くて力強い。僕自身、非常に影響を受けていますね。

――いざ、ご自身が出演することになりましたが、現時点で小野田さんは『レミゼ』という作品をどのようにとらえていますか?

ヴィクトル・ユゴーの本って、生命や生きることを非常に大きく取り上げているんですよね。『レミゼ』は、貧富の差がある混沌とした時代を描いていて、この時代、最もフラストレーションをためていたのは平民や若者たちだと思います。そういう中で、リーダーシップをとるということは、口でいろいろ言うものではなく、背中や行動力を示すことだと思います。お客様にも、僕が客席から観ていた時にアンジョルラスに感じた情熱を、エネルギッシュに伝えていきたいと思います。

それから、『レミゼ』は言語という観点でも難しいところがあるんですよ。「民衆の歌」は、英語であれば♪Do you hear the people sing?♪と弾むようなリズムですが、日本語だと♪戦うものの~♪と単音になっています。そこを、ビリーさんやスタッフさんと一緒に、自分の今持っている技術を駆使して、頑張っていきたいと思っています。

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――今、お話をしていても言葉の端々に小野田さんのミュージカル愛がにじみ出ていると感じます。

ミュージカルは、僕の人生そのものなんです。ミュージカルがなければ今の僕はいないわけですし、何よりも今僕を支えてくださっている方々、応援してくださっている方々、この取材の時間もそうですが、出会うことができなかった人たちですから。僕、ミュージカルがなかったらすごく暗い人間だったと思うし、人前でこんなに大きな声で歌ったりしゃべったりすることはなかったと思うので(笑)。これからも、こういう出会いを一つ一つ大事にしていきたいですね。

――小野田さんのこれまでのミュージカル人生に“影響を受けた方”というと、どのような方になりますか?

たくさんいらっしゃるのですが・・・『レ・ミゼラブル』のアラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルクさんやキャメロン・マッキントッシュさん、『ラブ・ネバ―・ダイ』のアンドリュー・ロイド=ウェバーさんの力は非常に大きいと思っています。

――『レミゼ』の前には、『ラブ・ネバ―・ダイ』という大作にもご出演されていますね。

僕は本当に幸せですよ・・・。アンドリュー・ロイド=ウェバーさんが作り上げたファントムの世界はミュージカル界において格式が高いですし、キャメロン・マッキントッシュさんが作った『レ・ミゼラブル』と共に、ミュージカルのツートップだと言っていいぐらいの偉大な作品です。そのような作品に、次々と関わらせていただけるなんて、こんなに光栄なことはないです。

――演じていらっしゃるラウルは、またアンジョルラスとはがらっと違うイメージの役ですが・・・。

『オペラ座の怪人』を熟知されている市村さん、そして石丸さんとご一緒できるのは、とても幸せです。でも、『ラブ・ネバ―・ダイ』の裏では、極力ファントムのお二人(市村正親・石丸幹二)とは会わないようにしているんですよ。

――それは何故ですか?

ラウルが最後にファントムと会ったのはオペラ座の地下室で、再会するのがバーなんです。酔っ払って飲んでいる時に、振り向いたらファントムがいる。その時の恐怖心と衝撃は、足がすくむどころの騒ぎじゃないと思うんですよ。歌わなきゃいけないから、舞台の上ではすくんでいる場合ではないのですが(笑)。歌がなかったら、腰が抜けて動けない状態になっているんじゃないかと思うんです。

ファントムの仮面に、それぐらい衝撃を受けるわけです。僕は、その衝撃を舞台の上で、生で受けたい。ですから、極力仮面をつけたお二人とは舞台裏で会わないようにしています。

――役の背景や心情を追求しているからこその考えと役作りですね。

ミュージカルファンとして『オペラ座の怪人』は何度も観ていますし、僕はラウルを演じるのは初めてですが、すでに演じたことがある気になっているぐらい、熟知しているつもりなんです。でも、僕は不器用なものですから・・・。細かいことまで考えながら、徹底していこうと思っています。

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――小野田さんがどんなアンジョルラスを観せてくださるのか、楽しみにしております。最後に、公演に向けて意気込みをお聞かせください。

僕は『レミゼ』を観てとても興奮をしたことを今でも覚えていますし、当時の気持ちが新鮮によみがえってきます。大好きな作品の演じる側になるということは、もちろん苦しみ、悩むこともあると思いますが、なにせアンジョルラスですから!この物語に出てくる皆さんの光に、そしてお客様にとっても光になれるように、情熱的にいきたいと思います。ぜひともごひいきによろしくお願いいたします!

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◆公演情報
ミュージカル『レ・ミゼラブル』

【東京公演】4月19日(金)~5月28日(火) 帝国劇場
※4月15日(月)~4月18日(木)までプレビュー公演あり
【名古屋公演】6月7日(金)~6月25日(火)  御園座
【大阪公演】7月3日(水)~7月20日(土)  梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】7月29日(月)~8月26日(月)  博多座
【北海道公演】9月10日(火)~9月17日(火)   札幌文化芸術劇場hitaru

【作】アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
【原作】ヴィクトル・ユゴー
【作詞】ハーバート・クレッツマー
【オリジナル・プロダクション製作】キャメロン・マッキントッシュ
【演出】ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
【翻訳】酒井洋子 
【訳詞】岩谷時子

【出演】
ジャン・バルジャン:福井晶一、吉原光夫、佐藤隆紀
ジャベール:川口竜也、上原理生、伊礼彼方
ファンテーヌ:知念里奈、濱田めぐみ、二宮愛
エポニーヌ:昆夏美、唯月ふうか、屋比久知奈
マリウス:海宝直人、内藤大希、三浦宏規
コゼット:生田絵梨花、小南満佑子、熊谷彩春
テナルディエ:駒田一、橋本じゅん、KENTARO、斎藤司
マダム・テナルディエ:森公美子、鈴木ほのか、朴ろ美
アンジョルラス:相葉裕樹、上山竜治、小野田龍之介
ほか

※朴ろ美の「ろ」は王へんに路が正式表記

(撮影/咲田真菜)

            

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