2020年7月8日(水)より東京・シアター1010にて舞台『剣が君-残桜の舞-』が開幕した。本作は、女性向けコンテンツ制作会社Rejetによるアドベンチャーゲームシリーズを原作とする作品。脚本・演出・音楽を浅井さやか(One on One)が手掛け、初舞台化する。初日前には公開ゲネプロが行われた。
(以下、物語のあらすじを紹介しています)
物語の舞台は、日出づる国、日の本。巡る輪廻の現世(うつしよ)と永遠の時を往く常世(とこよ)、二つのまったく異なる世界が表裏一体となって存在する世界。現世には、人、鬼族、そして妖怪が、常世にはマレビトと呼ばれる神が住む。現世と常世をつなぐ黄泉路は、日の本のどこかにあると言われている。
かつて、この日の本全土を襲った大飢饉をきっかけに、人と鬼の対立が始まる。その戦いに破れた鬼族はみな、刀を手放すこととなった。いわゆる、刀狩りである。それ以降、鬼族が刀を持つことは許されていなかった。
時は流れ、江戸の時代。各地では、鬼丸国綱、童子切、大典太、三日月宗近、数珠丸という「天下五剣」をかけて、剣取り御前試合が行われていた。同じ頃、幕府では新たに駿府城代の正妻に久姫を嫁がせる話が持ち上がる。町娘の香夜(田中れいな)は、久姫と顔が瓜二つということで、幕府の者から久姫の代わりに駿府までの花嫁行列をしてほしいと頼まれる。彼女につけられたのは、6人の護衛。
陸奥から江戸へ剣の修行にきた侍・九十九丸(つづらまる/矢部昌暉)、吉備から江戸へやってきた御用聞き・螢(けい/反橋宗一郎)、妖怪の少女・ハバキ憑き(佐竹宇綺)が憑依する刀「孫六兼元」を持つ黒羽実彰(くろばさねあき/秋沢健太朗)、お調子者の公儀隠密・縁(えにし/谷佳樹)、伏見藩の名家鷺原家の長男・鷺原左京(さぎはらさきょう/田中稔彦)、医術の心得を持つ鈴懸(すずかけ/杉江大志)。一人の少女と、彼らが紡ぐ“剣が君”の物語が、幕を開ける――。
和風伝奇アドベンチャーと銘打たれた本作の世界へ、香夜役を演じる田中の伸びやかな歌声が導いてくれる。ゲームではキャラクターごとにルートが分かれていくが、本作でも本編中に回替わりシーンが2ヶ所設けられている。組み合わせによって、キャラクターたちの見える側面の違いを楽しむことができる(ゲネプロは九十九、螢ルートで行われた)。
キャラクターそれぞれの、切なく、苦しい胸の内を、残桜が優しく包む。舞台美術・衣裳・ヘアメイク・小道具が世界観を作り、音楽・音響・照明が物語を彩り、殺陣が剣に想いを映し、振付・ステージングで心を動かし、役者たちは原作や舞台裏のすべてを背負って役に生き様を乗せる。それを受け取る人がいて、舞台はやっと完成するのだ。
公演中止が相次ぐ中、無事に幕を開けられたことについて、カーテンコールに立った一同は感無量といった表情だった。矢部は「本日よりがんばっていきます!よろしくお願いいたします!」と気合十分。反橋は「稽古の1日1日が本当に幸せで、当たり前だったことが当たり前じゃなかったんだと感じることができました。初日を迎えることができて本当に幸せです」と心境を語っていた。
舞台『剣が君-残桜の舞-』は、7月12日(日)まで東京・シアター1010にて上演。上演時間は約2時間を予定。
なお、本公演は新型コロナウィルス感染症予防対策を講じた上で開催されており、客席数を半数以下に減らして実施されている。
【回替わりシーンルート】
7月8日(水)19:00 九十九丸、螢
7月9日(木)14:00 鈴懸、縁
7月9日(木)19:00 黒羽実彰、螢
7月10日(金) 14:00 九十九丸、縁
7月10日(金) 19:00 鈴懸、鷺原左京
7月11日(土) 13:00 黒羽実彰、鷺原左京
7月11日(土) 18:00 鈴懸、螢
7月12日(日) 12:00 黒羽実彰、縁
7月12日(日) 16:00 九十九丸、鷺原左京
【公演情報】https://db.enterstage.jp/archives/2285
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