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【劇場へ行きたい!】6月のおすすめ舞台ピックアップ

[河野桃子]

今月も、またおすすめの舞台をご紹介したいと思います。6月のラインナップを見ると、一つ一つの公演において、特定のジャンルに限らず、あえていろんな要素を含んだ作品を目指したものが多いかなと感じました。

その上で<ストレートプレイ><ミュージカル><2.5次元><劇団/小劇場><ダンス><古典><その他>それぞれから1作品ずつピックアップしています。

(ライター/河野桃子)

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ストレートプレイ

世田谷パブリックシアター+KERA・MAP #009

『キネマと恋人』

【東京公演】6月8日(土)~6月23日(日) 世田谷パブリックシアター
【北九州公演】6月28日(金)~6月30日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
【兵庫公演】7月3日(水)~7月7日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【名古屋公演】7月12日(金)~7月15日(月・祝) 名古屋市芸術創造センター
【盛岡公演】7月20日(土)・7月21日(日) 盛岡劇場 メインホール
【新潟公演】7月26日(金)~7月28日(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場

【公式HP】https://setagaya-pt.jp/performances/kinema2019.html

2016年初演で高評価を受け、満を持しての再演決定。待ってました!!2016年公演では、悲劇喜劇賞、読売文学賞、紀伊国屋演劇賞・個人賞を受賞した作品です。今回、妻夫木聡さん、緒川たまきさん、ともさかりえさんなど出演者も、スタッフも初演からの続投。見逃した人にも嬉しい上演です。

作品はそもそも、ウディ・アレン監督のロマンチック映画『カイロの紫のバラ』にインスパイアされたものだそうです。映画も、とてもおもしろい作品です。惨めな生活から逃避するように映画館に通う女性が、夢中になっている映画『カイロの紫のバラ』のスクリーンから飛び出してきた登場人物と出会う。モノクロの映像からカラフルな世界にやってくる、ファンタジーの人物との物語。84分の短い映画なので、とても見やすくおすすめです。

この映画を、ケラリーノ・サンドロヴィッチさん(KERAさん)が1930年代の日本に置き換え、新たな物語として舞台作品にしたのが『キネマと恋人』。映画が生き甲斐のハルコ(緒川さん)がいつものように映画を観ていると、銀幕から寅蔵(妻夫木さん)が話しかけてきて・・・という物語。KERAさんらしく、ファンタジックなコメディなんだけれど、泣けるしビターな味わいも楽しめます。振付は小野寺修二さん。繊細で美しい舞台を作るお二人のタッグだからこそ、幻想的で技術の高い上演を実現できます。約3年を経て、それぞれに味わいを増しただろう出演者・スタッフの皆さんの再集結が楽しみです。

ほか、ギリシャ悲劇を再構成した約4時間の大作、生田斗真さん主演の『オレステイア』(6月6日開幕)、河合雪之丞さんと篠井英介さん二代女形が共演する六月花形新派公演『夜の蝶』(6月6日開幕)。松下優也さんと平間壮一さんが対照的な兄弟を演じる『黒白珠』(6月7日開幕)、横山裕さんが葛飾北斎を演じる『北齋漫畫』(6月9日開幕)。市村正親さん、草笛光子さん、堀部圭亮さん出演の1987年度ピューリッツァー賞演劇部門受賞戯曲『ドライビング ミス デイジー』(6月22日開幕)。なども気になります。

ミュージカル

帝国劇場ミュージカル

エリザベート

6月7日(金)~8月26日(月) 東京・帝国劇場

【公式HP】https://www.tohostage.com/elisabeth/

世界中で愛され続けているミュージカルが、再び観られる・・・!この興奮で悶えている方は全国に数えきれないほどいるかと思います!!
今回のエリザベート役は、花總まりさんと愛希れいかさんのWキャスト。お二人とも宝塚時代からエリザベート役を演じられていますね。黄泉の帝王トート役には井上芳雄さんと古川雄大さん。お二人は、王子ルドルフを過去に演じていました。これには『エリザベート』という舞台が重ねてきた歴史と、若きミュージカル俳優が帝国劇場の大舞台に立ち、先輩からミュージカルの未来を受け取っていくような・・・ミュージカルの希望のようなものを感じてしまいます。

もちろん作品そのものが魅力的だからこそ何度も上演が繰り返されているので、初見の方や、この一作一瞬を楽しみたいんだ!という想いでも楽しめます。特に『エリザベート』は音楽がダイナミック。また、歴史、ファンタジー、国家、家族、恋愛、男女、親子、孤独、自立など、それぞれの立場での苦悩や、成長と破滅といった様々な要素が作品に厚みを出しているのも、広く愛される理由の一つでしょう。

ほか、なにわ男子/関西ジャニーズJr.の藤原丈一郎さんと大橋和也さんが出演するファンタジーオリジナルミュージカル『リューン ~風の魔法と滅びの剣~』の再演(東京公演6月5日スタート)。石井一孝さん、藤岡正明さん、彩吹真央さん出演の『SMOKE』再演(6月6日開幕)、城田優さんが悩める王子を演じるブロードウェイミュージカル『ピピン』(6月10日開幕)など、話題作が目白押し!

2.5次元舞台

ミュージカル『少女革命ウテナ ~深く綻ぶ黒薔薇の~』

6月29日(土)~7月7日(日) 東京・シアターGロッソ

【公式HP】http://musical-utena.com/

2018年3月に上演された『少女革命ウテナ ~白き薔薇のつぼみ~』に続く第2弾。あまりにファンの多い作品なので、初演の前は舞台化どうなんだろう・・・?!とドキドキしていました。。しかし、ふたを開けてみると、アニメにかなり忠実!薔薇に縁取られた額縁、瞬間的に差し挟まれるベタな笑い、「かしらかしら?」影絵少女の演出、闘いに向かう背後に流れるJ.A.シーザーの「絶対運命黙示録」と、アニメの名シーンが走馬灯のように浮かぶ仕上がりに・・・!丁寧に舞台化しているため、アニメ版を観ていない方でも分かる構成でした。

そして、“舞台化”という意味で進化を感じたのが、ウテナ役に能條愛未さん(当時乃木坂46)という配役です。というのも、まずウテナ以外のキャラクターはアニメから出てきたような完成度の方が多かったです。声や仕草、存在の仕方、もちろん舞台という3次元で観るためのアレンジはされていますが、原作のイメージそのもの。しかし、男装の少女ウテナは、アニメのウテナと格好は同じにしても、声のトーンも体型も雰囲気も、男性性と女性性の両立のさせ方も違いました。それによって、3次元になるとわざとらしくなりがちなキャラクター性が減り、生々しさと人間らしさが出ていました。

2.5次元に何を求めるかで感想はかなり変わるでしょうが、ウテナを演じながらも能條愛未さん自身の魅力も感じられるという、“誰かがキャラクターを演じる”ことの一つの意義があった舞台だと思います。今回の「深く綻ぶ黒薔薇の」編では、何が描かれるのか楽しみです。

そして、佐藤大樹さん(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)と増田俊樹さんW主演の“逆2.5次元”作品「錆色のアーマ」-繋ぐ-(6月6日開幕)、つばきファクトリーの出演で期待される人気ゲームの舞台化、演劇女子部『遙かなる時空の中で6 外伝 ~黄昏ノ仮面~』(6月6日開幕)、岩手で初日を迎える『文豪ストレイドッグス 三社鼎立』(6月8日開幕)、太田基裕さん、前島亜美さんらが出演する恋愛ゲームのビハインドストーリー『囚われのパルマ -失われた記憶-』(6月22日大阪で開幕)。全世界で900万DLを突破したシミュレーションRPGの舞台化、誰ガ為のアルケミスト 舞台版『聖石の追憶』(6月26日開幕)など、シリーズものの続編から新作まで、様々な作品が並びます。

劇団/小劇場

モダンスイマーズ『ビューティフルワールド』

6月7日(金)~6月23日(日) 東京芸術劇場 シアターイースト

【公式HP】http://www.modernswimmers.com/nextstage/

近年、毎公演クオリティの高い作品で重い絶望と鋭い希望を差し込んでくるモダンスイマーズ。劇団結成20周年記念公演は、「中年オタクと愛されない主婦の純愛」。何をやっても冴えない人生を送ってきた40過ぎの男は、彼女も友達なく、仕事もできず、家でゲームとアニメ鑑賞の日々を送っています。一方、夫からDVを受けている女もまた「このまま人生が終わり死んでいくのだろう」と思っていました。職場が同じ二人は、少しずつ関係を深めていき、そうして男の部屋で住むようになります。セカイの端っこでお互いを必要とし合った二人の純愛。・・・公表されているあらすじから読み取れる物語は、こんな感じです。

ギリギリのところで、その人なりに踏ん張って立っている人たちが登場する蓬莱竜太さんの作・演出舞台。思いやりも悪意も混在していて、矛盾だらけで、観ている最中から胸の奥が痛くなります。その苦しさの中から希望を観た時には、救われたような、やりきれないような不思議な気持ちになるのだけど。

ほか、内野聖陽さん、有森也実さんらが出演するこまつ座『化粧二代』(6月3日開幕)、老舗劇団が2.5次元ミュージカルを上演しようとすることで巻き起こる喜劇!ラッパ屋『2.8次元』(6月9日開幕)、本多劇場でヘンテコに歌って踊る!?FUKAIPRODUCE羽衣『ピロートーキングブルース』(6月20日開幕)、女性の解放と社会進出について全男性キャストで上演する、温泉ドラゴン『渡りきらぬ橋』(6月21日開幕)。劇団ロロが結成10年目に力を入れて書く新作『はなればなれたち』(6月22日開幕)。世界中で愛される戯曲を新訳・新演出で上演する、文学座『ガラスの動物園』(6月28日開幕)なども楽しみです。

ダンス/舞踏

NDT/ネザーランド・ダンス・シアター 4作上演

【愛知公演】6月28日(金)・6月29日(土) 愛知県芸術劇場 大ホール
【神奈川公演】7月5日(金)・7月6日(土) 神奈川県民ホール 大ホール

【公式HP】http://taci.dance/ndt/

13年ぶりの来日公演。「もし今年、舞台を一つ観るとしたら、NDTは外せない選択肢だ」とニューヨーク・タイムズで評されたほど世界が注目するカンパニーの公演を日本で観られるチャンスです。

このNDT(ネザーランド・ダンス・シアター)はオランダで設立された世界的なコンテンポラリーバレエカンパニーで、70年代にチェコの振付家イリ・キリアンが芸術監督に就任すると世界屈指のカンパニーとなりました。各国から一流のダンサー達が集まり、日本人でも中村恩恵さん、渡辺レイさん、小㞍健太さん、湯浅永麻さん、金森穣さん、大植真太郎さん、井関佐和子さんなどが活躍されていました。

今回、4作品が観られるというのも楽しみなポイント。2名の専任振付家による共作2作と、ほかアソシエイトコレオグラファー(提携振付家)2名がNDTのために制作した各作品が上演されます。違う振付家が同じカンパニーのために創った作品を同時に観られる豪華な企画です。

また、キリアン退団後にNDTを率いてきた現芸術監督のポール・ライトフットが、今シーズンでその座を退くことが発表されています。ライトフットが牽引する最初で最後の来日公演でもあります。上演時間は、4作品で約2時間30分(休憩込)とのこと。

ほか、ディミトリス・パパイオアヌー演出『THE GREAT TAMER ザ・グレート・テイマー』(6月29日開幕)にも注目したいです。アテネオリンピック(2004)開閉会式の芸術監督を務め、ピナ・バウシュ亡き後のヴッパタール舞踊団から初のゲスト振付家として使命されるなど、様々なアートシーンに求められるディミトリス・パパイオアヌー。ダンスのみならず、美術家、画家、分野をまたぐパフォーマーとしてその創作に世界中が注目している彼の代表作が、初来日します!

古典

日本舞踊未来座“彩”

『檜男=ぴのきお=』『春夏秋冬』二本立て

6月21日(金)~6月23日(日) 国立劇場 小劇場

【公式HP】http://nihonbuyou.or.jp/Performances/detail/343

日本舞踊の二本立て公演です。
ピノキオをモチーフにした『檜男=ぴのきお=』は、日本舞踊をご覧になったことのない方や、子どもにもおすすめ。語り(録音)は歌舞伎や映画でも活躍する坂東巳之助さん。出演はWキャストで、檜男役は、花柳大日翠さんと藤間爽子さん。花柳さんは学生時代から数々の賞も受賞されている注目の若手で、藤間さんは昨年中屋敷法仁さんが演出した『半神』や阿佐ヶ谷スパイダースの作品にも出演し独自の存在感を放っています。彼ら若手花形の出演者から、熟練のベテランが揃う一作です。

もう一つの『春夏秋冬』は、日本舞踊の魅力をたっぷりと感じられる作品。日本古来の四季の移ろいを、舞と踊りで綴ります。桜舞い散る華やかな春、躍動感溢れる夏祭り、月明かりのした風が野を奔る静謐な秋、雪の舞う銀世界に覆われた冬。今回、人間国宝・井上八千代さんも初めて出演します。

長く受け継がれてきた表現は、まるでその身体の向こうに果てしない情景を見せてくれます。どんな四季折々を感じられるのか、また、どんなファンタジーの世界に誘ってくれるのか・・・受け継がれてきた時代と共に体験したいです。

その他

アピチャッポン・ウィーラセタクン

FEVER ROOM フィーバー・ルーム

6月30日(日)~7月3日(水) 東京芸術劇場 プレイハウス

【公式HP】https://jfac.jp/culture/events/e-asia2019-fever-room/

2017年に日本の「TPAM in 横浜」で上演し、大変話題になった作品が再び観られることになりました!これを“上演”と表現していいものか・・・。上映=パフォーマンス、と銘打たれた今作は、タイの映画作家・美術家のアピチャッポン・ウィーラセタクンさんによるものです。『フィーバー・ルーム』を発表するまでは舞台作品に取り組んだことはなく、カンヌ国際映画祭パルムドールや、オランダ、イギリスなどでも映像で高く評価されてきました。

それが、独自の映像の手法で劇場に現れたことで、演劇好きな人たちに大きな衝撃を与える劇場体験を提供したのです。俳優二人と共に映画と演劇の枠組みを超え、演劇の可能性を広げた今作。同じく、日本と東南アジアの文化交流事業を紹介する「響きあうアジア 2019」の企画として、27日から上演される『プラータナー:憑依のポートレート』と共に注目したい公演です。

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雨の多いの季節になっていきますが、劇場という室内では外の世界から一時離れて楽しい時間を過ごせますように。

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