「なぜ僕らは出会ったのか?」時を超え、新たな意味を持ったCONVOYの『ATOM』レポート


2020年8月14日(金)に東京・こくみん共済coopホール(全労済ホール)/スペース・ゼロにて開幕したTHE CONVOY SHOW vol.39『ATOM』THE CONVOY SHOW vol.39『ATOM』。1996年の初演以来、3度の再演を果たし、2006年には現地キャストによる韓国公演も行われたTHE CONVOY SHOWの代表作『ATOM』が、新キャストを迎えてブラッシュアップ。その模様をお届けする。

物語の舞台は、都会に埋もれた雑居ビルの倉庫。「WHY?の会」と書かれた立て看板のある、 ガラクタ置き場に、7人の男たちが集まっていた。哲学者を名乗る彼らは、様々な「なぜ?」を語り合う。そこへ、突然デリバリーバッグを背負った男が現れ、「ご注文の品を届けに参りました」と告げる。何も頼んでいないと戸惑う7人に、男は「あの日、ここにいた僕に頼まれたんです」と告げた・・・。

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「なぜ僕らは出会ったのか?」という物語のテーマはそのままに、新キャストの魅力を織り交ぜながらブラッシュアップされた、令和初の『ATOM』。最大の特徴は、キャストの顔ぶれだ。コンボイといえば、主宰であり、全作品の作・構成・演出を担当している今村ねずみを中心とした、結成当時からのオリジナルメンバーによる息の合ったパフォーマンスが見どころ。近年は、オーディションで選ばれた若手キャストを起用し、「オヤジvs若者」というギャップバトルも注目を集めていた。

しかし今回の『ATOM』キャスト、オリジナルメンバーは今村のみ。コンボイ出演経験の多い本田礼生、荒田至法、伊藤壮太郎、去年から参加のバーンズ勇気、高橋俊一、帯金遼太、初参加となる新人・山野光という新世代メンバーを中心とした座組になっている。

飛び交う言葉遊びや、お約束の愛あるキャライジりは軽快に。ダンスは各自の得意技を活かしつつ、ジャズ、コンテンポラリー、タップ、ブレイキンなどが、ノンストップでドラマチックに展開されていく。荒削りだがエネルギッシュな若手メンバーと、彼らを見守りながら凛としたオーラを放つ今村。8人が横一列に並んだその時、「なぜ僕らは出会ったのか?」という『ATOM』のテーマが、時を超え、新たな意味を持ったことを感じた。

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開幕初日、ソーシャルディスタンスが徹底された劇場は、何が起こるか分からない初日特有の期待に満ちた高揚感よりも、何事もなく幕が上がることを祈る緊張感が張り詰めていた。何かが変わってしまった日常。しかし、エンターテインメントの世界を唯一無二の“コンボイスタイル”で走り続けてきたTHE CONVOY SHOWは、いつもと変わらない勇気と感動を与えてくれた。

『ATOM』は、 何があっても失われることのない原風景であり、「また会おう」と未来への約束をくれる希望でもあるのだ。この夏、彼らが見せてくれた笑顔は、一生忘れないだろう。

THE CONVOY SHOW vol.39『ATOM』は、以下の日程で上演。若干数の当日券あり。

【東京公演】8月14日(金)~8月23日(日) こくみん共済coopホール(全労済ホール)/スペース・ゼロ
【大阪公演】8月29日(土)・8月30日(日) 松下IMPホール

【公演情報】https://db.enterstage.jp/archives/3474

(取材・文・写真/オフィシャル提供)

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