ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2 開幕!鈴木勝吾&平野良のデュエットは胸躍る仕上がり


2020年7月31日(金)に東京・銀河劇場にてミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2 –大英帝国の醜聞-が開幕した。本作は、「ジャンプSQ.」(集英社)で2016年8月から連載されている人気漫画(構成:竹内良輔、漫画:三好輝)のミュージカル化作品。作・演出は西森英行が手掛け、ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役の鈴木勝吾、シャーロック・ホームズ役の平野良がW主演を務める。

第2弾となる今回は、「バスカヴィル家の狩り」「二人の探偵」「大英帝国の醜聞」の3章仕立て。初日前に行われたゲネプロより、オフィシャルレポートを紹介する。

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静かなピアノの音色に始まり、登場人物が歌い継いでいく力強いオープニング楽曲でミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2は幕を開けた。すべてを震わせるような歌声が劇場を包み込み、19世紀末のロンドンへ観客を導いていく。

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前作より大幅に曲数が増し、各キャラクターの見せ場も増えた印象。ピアノは境田桃子、ヴァイオリンは林周雅が続投しており、場面の情緒や緊迫感を盛り上げる。役者陣との呼吸もピッタリだ。

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第1楽章「バスカヴィル家の狩り」では、貧民街の子どもを狩りの獲物に使う悪の貴族たちを討伐する「モリアーティ・チーム」を描く。「犯罪卿」の頭脳であるウィリアム(鈴木)を中心として、彼に忠誠を誓うフレッド(赤澤遼太郎)とモラン(井澤勇貴)、そしてウィリアムの弟・ルイス(山本一慶)による華麗なアクションシーンが繰り広げられる。

前作では封じていたウィリアムの仕込み杖も登場。身のこなしや言動に各々の性格が滲む。 モリアーティ3兄弟とその仲間たちが歌い上げる哀しくも美しい楽曲が、後には引けない彼らの正義感を印象付けていた。

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一方、「ホームズ・チーム」の近況から始まるのが第2楽章「二人の探偵」。今や名探偵として知られるようになったシャーロック・ホームズ(平野)だが、「犯罪卿」に仕掛けられた事件の後は鬱々とした日々を過ごしていた。

前作で描かれた最初の事件(※原作「シャーロック・ホームズの研究」)を相棒・ワトソン(鎌苅健太)が解説する一節は、彼が「緋色の研究」を執筆した作者である、という設定を上手く引用している。西森の脚本・演出は細部まで抜かりない。

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第2楽章では、急行列車の中で再会したウィリアムとシャーロックが、車内で起こった殺人事件を解き明かす。登場人物を原作から増やし、ダンスとリズミカルな楽曲で賑やかなイメージに。レストレード警部(髙木俊)のコメディセンスも効いている。本来、敵同士である「犯罪卿」ウィリアムと「探偵」シャーロックのふたりが、目を輝かせてデュエットするシーンは胸躍る仕上がりだ。

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続く第3楽章と第4楽章は、公演サブタイトルでもある「大英帝国の醜聞」。 「The Woman」と呼ばれる美女、アイリーン・アドラー(大湖せしる)が、英国王室の秘密文書を盗み出したことに端を発する大騒動である。

秘密情報部・MI6を率いるモリアーティ家の長男・アルバート(久保田秀敏)と、陸軍情報部の長官であるマイクロ フト・ホームズ(根本正勝)の大人の色香が漂う駆け引き、兄・マイクロフトやアイリーンに振り回されるシャーロック、アイリーンと221Bの大家であるハドソン(七木奏音)が火花を散らすコミカルなバトルなど、見どころが盛りだくさん。

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「The Woman」が「犯罪卿」と「探偵」の双方を巻き込んでいく怒涛の展開から目が離せない。仮面舞踏会やオペラといった華やかな群舞や歌唱シーンは、まさに“ミュージカル”ならでは。犯罪を巡るダークな雰囲気と重厚な楽曲が混ざり合い、独特の魅力を放っている。

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主演の鈴木と平野の個性、歌唱力を生かした見せ場はもちろん、歌唱を“効かせる”、あるいは台詞で“聴かせる”場面がバランス良く織り交ぜられており、物語の行方に引き込まれていく。特に一幕ラスト、アンサンブルを含めたキャスト全員による楽曲の迫力は圧巻だ。

これは“Obvious(明白/明らかに)”、極上のミュージカルである。

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ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2 –大英帝国の醜聞-は、以下の日程で上演。上演時間は約3時間(途中休憩あり)を予定。

【東京公演】7月31日(金)~8月10日(月・祝) 天王洲 銀河劇場
【京都公演】8月14日(金)~8月16日(日) 京都劇場

なお、本作のBlu-ray&DVDが12月23日(水)に発売されることが決定している(Blu-ray:9,800円+税/DVD:8,800円+税)。また、東京千秋楽(昼夜公演)と京都千秋楽(昼夜公演)でDMM.comで配信あり。

【公式サイト】https://www.marv.jp/special/moriarty/
【公式Twitter】@mu_moriarty

【公演詳細】https://db.enterstage.jp/archives/2281

以下、出演者のコメントを紹介。

◆鈴木勝吾(ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役)
何より劇場でまたお客様と一緒に舞台を共有できるという喜びに尽きます。ここまで作品作りとはまた別に、このご時世独特の対応を全員が真摯に取り組み今日まで歩んできました。生の空間で仲間とお客様と演劇をすることができる感謝しかありません。
見どころは難しいですが、演出・脚本の西森英行さんの頭の中にあるのだと思います。お客様が観たい見方で各シーン、この作品を楽しんで頂けたら幸いです。
“憂国”のモリアーティ。サブタイトルが大英帝国の“醜聞”ということで、今このご時世とも不思議とつながる無視できないテーマがたくさん織り込まれています。演劇という小さな革命をこの場所から感じとってもらえたら幸いです。そして「今この瞬間」を楽しむという演劇ならではの空間にどっぷりと浸かってください。

◆平野良(シャーロック・ホームズ役)
約半年ぶりにステージ上でお芝居することに奇跡と感謝を感じています。私もエンタメに救われた1人の人間として、大切に愛しく毎公演を生きたいと思います。前作を超える歌唱パートは見どころの一つです。そして新しいキャラクターであるマイクロフトとアイリーン、この二人が新しく勢いのある風を持ち込んでくれています。何よりキャスト、スタッフ全員の演劇への情熱が、そこかしこに散らばっていますのでお楽しみに。
信じて待っていてくれたファンの皆様、まずは心より感謝申し上げます。私自身、またシャーロックとして生きられることがたまらなく嬉しいです。「この時代にやる意義」をみんなで話し合って大切に大胆に作品作りしました。ピアノとヴァイオリンの旋律と我々のパッションとのセッションを楽しんでいただけたら幸いです。

◆久保田秀敏(アルバート・ジェームズ・モリアーティ役)
こういうご時世ではありますが、舞台を上演できるありがたさと幸せを噛み締めています。キャスト・スタッフ含め、引き続き感染症拡大防止対策に万全を期して最後まで極上の謎をお届けしたいと思います。前回にも増してウィリアムとシャーロックの駆け引き合戦が繰り広げられる今作。僕が演じるアルバートも最大の駆け引きに打って出ます。「モリアーティ陣営」と「ホームズ陣営」のスピード感溢れる謎解き合戦は、心地良ささえ感じます。お楽しみに。
不安な気持ちが渦巻く中ですが、こうして皆様に作品をお届けすることができて本当に嬉しいです。 “モリミュ”の何重にも折り重なる音と謎の共鳴をぜひその身で体感してください。

◆大湖せしる(アイリーン・アドラー役)
舞台に立てることのありがたさを噛み締めています。今まで当たり前のように迎えていた初日も“奇跡”な のだなとあらためて感じております。この作品ではセットや照明や音響、ウィッグやお衣裳なども隈無く見ていただきたいのですが、その中でも「ミュージカルの素晴らしさ」を感じていただけたらと。歌とお芝居の融合により奏でる美しさ。一番の見どころだと思います。
このような状況の中でもエンターテイメントを必要とし、観てくださる皆様方の熱い想いがあるからこそ私たちは存在できるのだなと強く感じています。皆様の心に焼きつくような作品としてお届けできるよう、 努めて参りたいと思っております。

◆根本正勝(マイクロフト・ホームズ役)
このような状況の中、開幕まで来ることができたこと、今まで以上に特別な気持ちです。舞台の素晴らしさを感じつつ、最後まで生きていこうと思います。 歌にアクション、華やかさと残酷さ、腹の探り合い、各人物の背負っているものにご注目ください。
今日まで真摯に作品と向き合ってきました。このような状況でも劇場へ足を運んでくださる皆様に心より感謝です。最後まで『憂国のモリアーティ』の世界をお楽しみください。

(C)竹内良輔・三好 輝/集英社 (C)ミュージカル『憂国のモリアーティ』プロジェクト

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