俳優×声優!音楽と青春が協演する新世代プロジェクト『絶響MUSICA THE STAGE』レポート


2020年7月8日(水)に東京・俳優座劇場にて『絶響MUSICA THE STAGE』が開幕した。『絶響MUSICA』は舞台を原作とする新世代クロスメディアプロジェクト「ゲキ×メン」シリーズの第一弾作品。黒田昊夢、林勇輝などの舞台俳優と、谷山紀章、花江夏樹をはじめとする豪華声優の演技が舞台上で融合し、新たな世界を作り上げる。

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脚本・構成は金春智子(『うたの☆プリンスさまっ♪」』TVシリーズ、『Dance with Devils』など)、ビジュアルデザインを川村敏江(『B-PROJECT~鼓動*アンビシャス~』や『プリキュア』シリーズなど)が担当。舞台ファンだけではなく、アニメファンにも注目のキャスティングである。

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ストーリーには音楽、バディ、青春などいくつもの要素が組み合わさり、特撮ものにも負けないほどの熱い展開が魅力的。かつてない『音楽の力を駆使したバトルシーン』も見どころの一つだ。

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主人公の内海ヒビキ(黒田昊夢)、室月ミキ(林勇輝)のほか、キャラクタービジュアルがそのまま飛び出してきたかのような、魅力ある登場人物たち。ヒビキは歌うことが大好きだったが、突如問題を抱えてしまう。葛藤しながらも前に進んでいく彼を演じるのは、本作で初めて舞台に立つ、黒田。フレッシュで澄んだ演技が光る黒田ともに、樋口裕太、太田将熙、安井一真といった、経験と実力を併せ持つ俳優陣が、共に作り上げていく。

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今回は一人、映像のみの出演となる輝馬は、「悪」の使者を率いる謎多き人物・モーヴェ役。画面越しにもかかわらず、溢れ出る存在感と、美声、耽美な演技に魅了されること間違いなし。

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モーヴェたち「悪」の使者と、ヒビキたち高校生が“陰と陽”となり、対象的な存在として表現されており、それぞれに緻密なバックグラウンドがあるということも本作の重要ポイントだ。

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作中で披露される楽曲の中にも、そんなバックグラウンドが垣間見られる詩や、物語が進むうえで鍵となるフレーズが潜んでいたりと、繊細な仕掛けが多数。台詞の中だけでなく歌詞の中にも、友情と成長、音楽へ対する熱い想いが金春により込められている。

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また、今回“新感覚”といえる要素の一つが、人間とソノーという、種族を超え音楽を愛する者同士が惹かれあってつながる、『バディ』という存在。舞台が進むにつれ、次々と登場するソノーたちを谷山、花江、斉藤、江口、森久保、小野といった豪華声優陣が息を吹き込み、ときにコミカルにときに諭すように舞台上にはっきりと存在感を示し物語に動きを加える。

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そんな多彩なキャラクターが登場する本作だが、今回の第一弾で語られるのは『絶響MUSICA』のプロローグ部分。三部作としての上演を予定しており、今後さまざまなキャラクターに焦点が当たっていくこととなる。ほかにもCD、ゲームなど幅広い展開を視野に入れており、この後の展開から目や耳が離せない。

『絶響MUSICA THE STAGE』は劇パートとライブパートの二部構成。セットリストは日替わりで、公式サイトにて確認できる。なお、新型コロナウイルス感染予防のために、開場で観劇する際はライブ中の発声を禁止するなど、観客とキャストの安全面を考えた注意事項が設けられている。同時に全公演LIVE配信も行っているため自宅でも楽しむことができ、こちらは上演後から1週間2,800円(税込)で、アーカイブを視聴することが可能だ。

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本作は、当初4月に公演を予定していたが、新型コロナウイルス流行の影響により延期になっていた。劇場の変更など感染症防止策を徹底した上で、7月8日(水)から7月13日(月)までの日程で公演を再開した。会場入り口では手指の消毒と検温を実施。現在、スタッフはフェイスシールドと手袋を着用し、チケットなどに直接触れないよう、対策をとっている。

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会場内もまた、間隔を十分にとるため観客数を劇場収容可能人数の3分の1程度に制限。上演中は換気を徹底し、空気の流れが悪くならないように配慮、上演後の消毒強化、劇場のガイドラインなどを準拠している。

コメント紹介

金春智子(シリーズ構成・脚本)
公演延期期間に脚本をブラッシュアップし、とくにヒビキとミキの関係性を掘り下げました。脚本を書いていると、たまにキャラクターが勝手に動き出して、知らなかったことを教えてくれるのですが、今回はまさにその通り。ヒビキとミキの幼なじみならではの距離感が際立ち、ほかのキャラクターもより生き生きと動き出しました。敵役のクストーとストラは彼らなりの正義や誇りを訴え、モーヴェさまの闇もさらに広がりました。俳優の皆さんが彼らをどんなふうに成長させてくださるのか・・・舞台の脚本は初めてということもあり、本当に楽しみです。

◆川村敏江(ビジュアルデザイン)
舞台原作のキャラクターデザインは初めての経験でしたが、俳優のイメージや、役作りの中でできあがっていく個性を取り入れながらビジュアルを固めていきました。一方ソノーたちは声優のイメージを考慮しつつ、脚本の内容から想像して中学生くらいの少し幼い外見にしています。別の星から来たことがわかるよう、妖精のような要素も加えました。舞台作品としてどう仕上がっているのか私自身も楽しみです。

◆黒田昊夢(内海ヒビキ役)
初舞台ですが、初めてだと思われないように情熱をぶつけて演技をしています。人のカッコよさは、強さをひけらかしているときではなく弱さに直面したときにこそ現れるものではないかと思うので、ヒビキがもがき苦しみながらも成長していく、カッコいい姿を伝えたいです。ヒビキの気持ちになって舞台を見ていただけると、きっと、より楽しんでいただけると思います。

◆林勇輝(室月ミキ役)
ミキはヒビキのマネージャーのような、支える立場の存在です。ご観劇いただく皆さんと一番視点が近いのではないかな、とも思います。ヒビキとミキは、お互いの中で誰よりも優先順位が高い、大切な存在だと脚本の金春さんからうかがったので、ヒビキ役の昊夢と何度も何度も話し合って役を作り上げました。本作は音が鳴っていたらついリズムをとってしまうような、人間の根底にある音楽を描いています。そんな音楽のすばらしさにも気づいていただけたら嬉しいです。個人的な見どころは、昊夢と構想を重ねた秘密基地のシーンと、ぬいぐるみのクマノスケを抱きしめるシーンです!

◆一色湊(北条シンイチロウ役)
シンイチロウは作中唯一のスポーティーなキャラクターで、僕もスポーツが好きなので親近感を抱いています。延期になった間も、ドラムやシンイチロウと向き合って過ごしていました。今回は舞台が原作となるので、演出の末原拓馬さんと話し合いながらキャラクターに肉付けしていきました。一見、性格が相反しているように感じるバディ・シエンとの、相性抜群な掛け合いにも注目してください。熱いパッションを持って作り上げた舞台を、ぜひ多くの方に見てほしいです!

◆平賀勇成(シャルル・茉莉・アントルモン役)
ハーフ役を演じるのは初めてで、セリフにフランス語があって驚きました。今回は自分の演技がシャルルの原作となるので、心にゆとりをもとうと意識しました。本作はキャスト一同力を入れて作り上げていますし、声優陣もとても豪華です。「MUSICAって何?」と最初は思うかもしれませんが、舞台を見ればきっと引き込まれると思います。シャルルのカーテンコールは尺も長めで一番カッコつけている(笑)ので、お見逃しなく。

◆前嶋曜(雨乃トウヤ役)
公演再開をずっと待ち続けていました。役や作品と向き合う時間が長くなった分、より洗練された演技になったと思います。楽屋は男子校のような雰囲気で、ワイワイ楽しく、みんなで一つの目標に向かって進んでいます。キャラクターのソロ曲に込められた想いが歌やダンス、表情に反映されているので、ぜひ目で追ってみてください。

◆樋口裕太(明神伊織役)
数ヶ月ぶりの舞台なので、俳優としてもさまざまな想いをこめてステージに立ちました。伊織の中にある闇は自分でも親近感を覚えていて、今後の展開がとても気になります。ベースを刀のように扱ったりと彼らしさを随所に意識した動きも見どころです。また、これまでも2.5次元舞台でポニーテールのキャラクターを演じてきたので、実はポニテさばきには自信があります(笑)。毛先の動きまで注目して見ていただけると嬉しいです。

◆太田将熙(クストー役)
延期期間中に筋トレをしたおかげで腕回りがたくましくなりました(笑)。クストーはまっすぐな男で、熱い部分があって、恩人であるモーヴェ様を一心に信じています。彼なりの正義を貫いているので、完全な悪にならないように意識して演じています。ソロ曲をもらえてとても嬉しかったのですが、これまで歌ったことのない曲調だったのでリズムを掴むのに苦労しました。歌詞は脚本の金春さんが書いてくださったので、作品の世界観を背負いつつ、一つ一つの言葉を大切にしようと思って歌いました。急な公演再開となったので、足を運べない方もいらっしゃると思います。配信もあるので、無理のない形で楽しんでいただけると嬉しいです。絶対に満足してもらえる舞台にするので、『MUSICA』の芽吹きを目撃してください。

◆安井一真(ストラ役)
ストラはモーヴェ様に恋のような、心酔のような・・・そんな気持ちを抱いていて。延期期間を経て演出が変わった部分もありますが、根本にあるモーヴェ様へのリスペクトは変わりません。僕自身はダンスがあまり得意ではないので、クストーとのダンスシーンはかなり練習を重ねました。衣装も相まって、見栄えのするステージになるのではと期待をしています。音楽で戦うという新感覚なおもしろさを伝えられるよう、役者一同がんばります!

◆寺山武志(ヒビキの母役)
ヒビキの悩みをお母さんらしくやさしく見守れるよう役作りをしました。日替わりゲストとのアドリブコーナーは毎回相手が変わるので、すべて1から作っています。新人俳優も参加していて、フレッシュさがある座組です。昔の経験を思い出してなつかしくなることもありました。これまでは舞台に立つのが当たり前でしたが、新型コロナウイルスの影響でたくさんの舞台が中止になり、今回久しぶりにステージに立ちます。板の上に立った時、胸にこみあげてくる特別な感情がありました。本作は青春を過ごす若者が抱える悩みや輝きが詰まったさわやかな物語だと思います。懐かしさを覚えるシーンや、人によっては母性がくすぐられる場面もあるはずです。日替わりゲストとのコーナーは毎回変わるので、そちらもあわせてぜひ楽しんでいただけると嬉しいです。

◆小沼将太(日替わりゲスト・7月8日)
前日からの参加でしたが、包容力の高い現場に助けられました。僕が演じた語り手は舞台の最初と最後を担う役なので、お客様を物語にいざなえるよう意識しました。配信もあるので、会場に足を運べない方にも見ていただけると嬉しいです。

◆糠信泰州(日替わりゲスト・7月8日)
自由度が高い現場だったので、作品の雰囲気を崩さないように心がけました。日替わりパートは、まずは自分たちが楽しんでお客さんも笑顔にしたいと思っています。舞台に立つのは久しぶりなので、ステージに立つ幸せを改めて感じました。公演ごとに変わる日替わりゲストコーナーもぜひ楽しんでください!

【公演詳細】https://db.enterstage.jp/archives/3856

(C)「絶響MUSICA THE STAGE」2020製作委員会

(文/ハシビロコ、撮影/金子一基、編集/ナスエリカ)

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