リーディングシアター『RAMPO in the DARK』視聴レポート!江戸川乱歩の世界観を自在に広げる俳優・声優の力


2020年7月10日(金)より、リーディングシアターVol.1『RAMPO in the DARK』の配信が始まる。本作は、6月に予定していた公演を中止し、無観客・有料配信で行うもの。“演じる”という表現の分野で活躍する俳優・声優の19名が、江戸川乱歩の世界へと誘う。その模様を舞台写真と共に紹介する。

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出演するのは、阿澄佳奈、石川由依、井上麻里奈、大須賀純、大西沙織、小野友樹、折井あゆみ、桑野晃輔、沢城千春、下地紫野、谷佳樹、長谷川里桃、羽多野渉、平野良、藤原祐規、室元気、山本和臣、吉野裕行(50音順)。

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公演ごとに、男性2名・女性1名 合計3名が出演する。組み合わせはAからIまでの全部で9通り。取材では、平野・沢城・石川による「C」と、吉野・波多野・阿澄による「F」の2組を鑑賞した。

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3名の役者は、舞台上に設置された3つの革の椅子に深く座り、乱歩の編み出した物語へと向き合う。モボ、モガ、そして和服の装いが、乱歩が生きた時代を彷彿とさせる。3人が読み上げるのは、江戸川乱歩の短編小説3編。

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晩春に耳を傾けたおそろしい演説「白昼夢」、ある閨秀(けいしゅう)作家に宛てた手紙の告白がしのびよる「人間椅子」、退屈な日々に飽きて集った者たちの前で自らが犯してきた“プロバビリティーの犯罪”を朗々と語りだす「赤い椅子」。

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朗読劇というと役者同士の掛け合う作品が多いが、本作は取り上げた3編が“独白”であることから、それぞれの物語における読み手は一人だ。三者三様に、作品として継いでいく。おもしろいのが、組み合わせによって全体の“色”がまったく異なること。作品全体を包む空気感がまったく違う。

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収録だが、どれも観客有りと同じくやり直しのきかない一発撮りのため、ごくりと唾を飲み下すのもためらわれるような緊張感が画面越しまで伝わってくる。“朗読”というあえての枷が、誰かの“語り”に捕らわれて逃れられない画面のこちら側と感覚を共有するためのバイパスとなっているようだ。

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そして、組み合わせの妙が生み出す“幅”。9通りの組み合わせには「声優×3」「声優×声優×俳優」「声優×俳優×俳優」「俳優×3」のパターンがある。声優を主に活動する者の朗読は、“深さ”という縦方向の感覚が強い。一方、舞台俳優として活躍する者の朗読は感覚の“幅”を広げる。同じ役者でも、読み手の持つ特性によって主軸が変化していく。四角い画面が想像の力を得て透明な立方体となり、その中を突き動かされるような、そんな感覚。これもまた、“聴き比べ”ができるからこそ味わえる楽しさなのかもしれない。

どの組み合わせを選ぶのかは、貴方次第。表現者たちを共に、乱歩の世界に浸ってみてはいかがだろうか。配信の詳細は、以下のとおり。

◆配信情報

リーディングシアターVol.1『RAMPO in the DARK』(無観客収録・有料配信)
【配信日程】2020年7月10日(金)〜24日(金)
【配信先】イープラス「Streaming+」
【視聴券】3,300円
※配信期間内はチケット購入した公演は何度でも視聴可能

【原作】江戸川乱歩
【脚本・演出】野坂実

【出演者組み合わせ】
A:大須賀純、室元気、長谷川里桃
B:藤原祐規、桑野晃輔、下地紫野
C:平野良、沢城千春、石川由依
D:小野友樹、山本和臣、日笠陽子
E:平野良、藤原祐規、折井あゆみ
F:吉野裕行、羽多野渉、阿澄佳奈
G:大須賀純、山本和臣、石川由依
H:沢城千春、谷佳樹、井上麻里奈
I:小野友樹、羽多野渉、大西沙織

【公式サイト】https://www.cccreation.co.jp/stage/rampo-in-the-dark/
【公式Twitter】@CCC201911

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(取材・文/エンタステージ編集部 1号、写真/オフィシャル提供)

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