本多劇場に再開の“灯”――ひとり芝居・無観客生配信公演『DISTANCE』が開幕


新型コロナウイルス感染拡大防止のために、2020年4月7日(火)よりすべての劇場を自主的に休館した本多劇場グループが、6月1日(月)に営業を再開した。その再開第1弾として、6月7日(日)までひとり芝居・無観客配信公演『DISTANCE』を毎日日替わりで上演する。

コロナウイルス感染の危険性が未だある中、劇場再開をどのように行うべきか。関係各所と協議を重ね、安全を第一にようやく一歩目にたどり着いた。

014747_10.jpg

今回の企画は、脚本家・演出家の川尻恵太と御笠ノ忠次が発起人となり、「無観客生配信」となった。演目は出演者によって異なり、11人の俳優が、11演目を本多劇場から届ける。開幕初日には、永島敬三(劇団柿喰う客)、井上小百合、入江雅人が出演し、3演目を連続上演した。

014747_5.jpg

オープニングは、永島による『ときめきラビリンス』。マイク一本、体一つで場所、時間、深層心理まで垣根を飛び越え自由に演じあげる“躍動する妄想”で、劇場再開の狼煙を上げた。

014747_7.jpg

続く井上が演じたのは、井上小百合さんによる『齷齪とaccept』は、当企画の発起人でもある川尻の脚本。登場人物全員を一人で演じきる、まさにひとり芝居の醍醐味を体感できる快作。ひとり芝居初挑戦だった井上だが、短い準備期間を感じさせず、抜群の集中力と鮮度で、文字通り劇場に新しい風を吹き込んだ。

014747_3.jpg

そしてトリを飾ったのは、入江による『500』。友人と二人で飲んでいたはずが、いつの間にか500人に膨れ上がった仲間を連れて東京を練り歩くことに・・・。そして、解散を命じるはずが、その男の拡声器からは今の時代に対する吐露が少しずつ溢れ始め、その言葉は大きなうねりとなっていく。いずれの作品も、演劇人の矜恃が溢れ出た、「劇場」という空間ならではの表現に溢れた作品となった。

014747_2.jpg

本企画には、このあと小沢道成、清水宏、小林顕作、近藤芳正、鈴村健一、伊礼彼方、片桐仁、柄本時生(出演日順)が登場する。また、このたった一度のステージに立つ11人を写した公式ビジュアルブックの発売も決定した(特設サイトにて受付)。

014747_9.jpg

以下、本多劇場グループ・総支配人である本田慎一郎氏と、発起人2名のコメントを紹介。

◆本多愼一郎(本多劇場グループ・総支配人)

4月7日の休館から約2か月の長い休館期間中、
多くの方からの温かいお言葉やご協力をいただき、
再開できることとなりました。
皆さんが本当に支えてくださり、感謝しております。

劇場でお客様に安心して来ていただけるように、
少しずつでも本来の劇場のあるべき姿に戻るまで、
安全対策を常に考えながら公演を行っていきます。

◆川尻恵太
思えば表現活動を始めてから、こんなに長い間、
劇場という空間に足を踏み入れなかった事はなかったかもしれません。
僕の表現活動は間違いなく劇場と共にありました。
演劇でもお笑いでもイベントでも、僕は劇場に行き、
スタッフさんや演者さんと共に、その日しかない空間を作ってきました。

そんな劇場が、ある日突然閉鎖しました。
表現方法の中から劇場という選択肢が消えたのです。

色々な事を模索しました。
そしてたどり着いたのが「劇場で表現を作る」という、
今までと変わらない結論でした。

まだ様々な危険は過ぎ去っていません。
そんな状態でも、共に表現活動をしてくれる
たくさんの演者さん、たくさんのスタッフさん、そして劇場があることに、
いつもと変わらない感謝を。

ただいま、劇場。おかえり、劇場。

◆御笠ノ忠次
抗うよりも受け入れようかなと。
コロナがやって来てからの自分自身のスタンスはそれでした。
それはそのまま僕自身の演劇スタンス。
命以上に価値のあるものには今のところ出会えてないですし。
演劇は僕にとっては生活。
コロナじゃなくても何かを受け入れたら生活は変わる。
そんなもんです。
緊急事態宣言を受け入れて一ヶ月くらい経った頃に今回の企画が思い浮かびました。
不思議なもので似たようなタイミングで本多さんと川尻君も似たようなことを考えてました。

「じゃあやってみましょう」

そんなもんだった気がします。
今出来る演劇をやればいい。
ただし劇場で。
はい。

「この指とーまれ」って感じで仲間を集めました。
多くの人がとまってくれました。
なんだか懐かしい感じです。
演劇を始めた頃はこんなだった気がします。
なので正直楽しいんです。
今回はネット上にはなりますけど、多くのお客様がこの指とまってくれたら嬉しく思います。
はい。

014747_8.jpg

『DISTANCE』は、6月7日まで毎日配信。上演時間は、35~45分を予定(演目によって前後あり)。配信は「Streaming+」にて(オンタイムのライブ配信のみ)。

<タイムスケジュール>
6月1日(月)19:00 永島敬三、井上小百合、入江雅人
6月2日(火)20:00 小沢道成
6月3日(水)20:00 清水宏
6月4日(木)20:00 小林顕作
6月5日(金)20:00 近藤芳正
6月6日(土)14:00 鈴村健一
6月6日(土)19:00 伊礼彼方
6月7日(日)12:00 片桐仁
6月7日(日)17:00 柄本時生

【『DISTANCE』特設サイト】http://distance.mystrikingly.com

チケットぴあ
最新情報をチェックしよう!
テキストのコピーはできません。