舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇 FINAL開幕レポート「ペダステって、ロードレースそのもの」


2020年2月21日(金)に東京・天王洲 銀河劇場にて舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇 FINAL~POWER OF BIKE~が開幕した。本作は、主人公・小野田坂道が2年生となった「新インターハイ篇」のラストを飾る作品。初日前日には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、出演者より糠信泰州、山崎晶吾、百瀬朔、河原田巧也、林野健志、栗原大河が初日への意気込みを語った。

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ペダステシリーズ14作目の幕が、ついに開いた。総北高校・小野田坂道役の糠信は、前作「~制・限・解・除~」に続いて走る。「この作品は、たくさんの方に支えられ、携わっていただき、多くの方に応援されてここまで続いてきました。いろんな思いを詰め込んだジャージを繋いで、座組みんなでゴールに届けられることを幸せに思います。今から公演が楽しみで仕方なくて。皆さんに、早くこの暑い舞台をお見せしたいです」と挨拶するその目は、坂道が誰かの背を追いかける時のようにきらめいていた。

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今泉俊輔役を演じる山崎は、本作がペダステ初参加。「一枚のジャージを届けるために走るレースですが、舞台袖にもチームワークがあります。僕は、この舞台を観ていて、誰かのために“何かする”“がんばる”ことが、すごく素敵なことなんだと改めて思いました。観に来てくださった方にも、そうした何か“意味”のある舞台にできたらと思います」と語った。

百瀬は、鳴子章吉役をこの「新インターハイ篇」を通して演じてきた。新インターハイ篇が始まった3年前から走り続けてきた。「その分、歳をとってきたんですが・・・(笑)」と少々茶化しつつも、「鳴子はハデな役なので音楽も照明も熱く作ってくださっていますし、全員に見どころがあります。僕らは6人で1チームです。お客様には楽しんでいただくことはもちろん、7人目の選手として、一緒に走るような気持ちで観ていただけたらなと!」とアピール。

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ライバル校・箱根学園を代表してコメントした泉田塔一郎役の河原田は、現座組の中で「新インターハイ篇」以前から走り続ける唯一の出演者だ。そんな彼が、本作の稽古中、観客として観ている瞬間、「何度も泣きそうになった」と口にした。「『新インターハイ篇』の最初からいたメンバーも、途中から入ってきたメンバーも、みんなすごく成長していて・・・。ここまですごくなったんだって、感動しました。アホみたいに気合いが入っていて、全員がエネルギーをぶつけまくっています。どう完成していくのか楽しみです」と、誇らしげな表情を見せた。

そして、「言葉にするには時間が足りない」と言った、京都伏見高校・御堂筋翔役の林野。舞台上では、総北と箱学の前に立ちはだかる存在だが、「限界を超えていくのがこの作品の魅力。この3年間、僕らが作ってきた『弱虫ペダル』を残したいと思います。ペダステを大好きな皆さんの気持ちを背負って、この作品を愛している方々の思いを舞台上から伝えますので、一緒にゴールを目指しましょう」と、熱さを覗かせる。

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インターハイ3日目をかき乱す、呉南高校・浦久保優策役として登場する栗原は、以前から同シリーズのファンだったことを明かし、「今回、たくさんのレースがありますが、呉南はその中でも最初の方に登場します。必死に、全力で走って走って、この作品に勢いをつけられるようにバトンを繋ぎたいと思います」とコメント。

最後に、糠信は「ペダステって、ロードレースそのものなんだなと感じています。自転車の楽しさや感動をちゃんと届けて楽しんでもらえるように、ケイデンスを高めていきますので、応援よろしくお願いいたします!」と締めくくった。

最後の「新インターハイ篇」がスタートを切るのは、ちょうど8年前、ペダステが始まった劇場だ。あの頃とは違うけれど、あの頃と変わらないものが、確かにそこに息づいていた。前作で初めて坂道役を担った糠信は、ペダステが舞台デビューという初々しい役者だった。そんな糠信が「劇場に入って、衣裳に袖を通して、舞台に立っただけで心臓が高鳴った」と目を輝かせていた。こんなに頼もしいことがあるだろうか。

(以下、物語の一部に触れています)

今回のインターハイ3日目は、数多くの名勝負が描かれる。そして、レース最後の宿命でもある脱落者も・・・。「スタートを切る!耳元を風がかすめてゆく」という群唱も、いつもよりケイデンスが高い。鼓動が高鳴る。ペダステが、始まる。

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手嶋純太(鯨井康介)と青八木一(八島諒)の“チーム2人”、オレンジビーナの神に導かれた鏑木一差(原嶋元久)、そして「3人で肩組んで、トップでゴール出来たら最高に気持ちいい」と夢を語り合った2年生トリオ・・・切れそうな細い糸を、様々な絆で繋いできた総北。

キャプテン泉田を中心に、エースの葦木場拓斗(富永勇也)、猫足の黒田雪成(伊藤澄也)、何度も入退部を繰り返した銅橋正清(岸本卓也)、天才的な兄へのコンプレックスを持ち続けていた新開悠人(飯山裕太)は、ここまでのレースを経て変わってきた。そして、真波山岳(杉山真宏)と坂道の“再戦の約束”・・・ついに、その時が。

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レースを先行する二校に、御堂筋、水田伸行(阿部大地)、岸神小鞠(天羽尚吾)、山口紀之(一瀬悠)を擁する京都伏見、そして、1年前のインターハイでも波乱を呼んだ呉南が、それぞれの信念を掲げ、勝利を求め、ぶつかってくる。補給部隊の古賀公貴(本川翔太)や杉元照文、卒業生である東堂尽八(秋葉友佑)らに見守られ、パズルライダー(河野智平、伊藤玄紀、村上渉)に支えられながら、雌雄を決する――。

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今回も山崎のほか、銅橋役の岸本が新キャストとして加わっているが、振り返れば数多くの俳優たちがこの2年間の物語を繋いできた。若かった後輩が先輩の立場になり、新キャストを支え、切り開いた道をいく者の背を追う。特に、この新インターハイ篇3日目のレースは前年のレースを彷彿とさせる構成になっており、ペダステを観続けてきた方には熱い感情が去来するのではないだろうか。特に、ペダステを最も長く支えてきた河原田の台詞一つ一つに、目頭を熱くさせられた。

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傍から見て、ペダステは大変だ(たぶん経験したら大変どころの話ではない)。そんな過酷さも、困難も、失敗も、すべてを乗り越え踏ん張って、作・演出の西田シャトナーと共に作品を愛し、笑う俳優たち。その姿には、表現することの純粋な楽しさ、自由さが満ちていて、自分と仲間たちを信じて走り抜けた者にしか見られない景色を映している。

「新インターハイ篇」として3年かけて描いてきた、たった3日の出来事。長い人生の中で見れば、一瞬の出来事なのかもしれない。数多の演劇がある中で、この観劇経験はその一つにすぎないのかもしれない。でもきっと、何年経ってもこの瞬間に焦がれてしまうだろう。

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舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇 FINAL~POWER OF BIKE~は、以下の日程で上演。上演時間は、約2時間50分(休憩15分含)を予定。なお、本作のBlu-ray&DVDが、6月17日(水)に発売されることが決定している。

【東京公演】2月21日(金)~2月23日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪公演】2月27日(木)~2月29日(土) メルパルクホール大阪

◆舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇 FINAL~POWER OF BIKE~Blu-ray&DVD
【発売日】6月17日(水)
【価格】Blu-ray:9,800円+税、DVD:8,800円+税
【仕様】ディスク2枚組(Disc1:本編/Disc2:ボーナスディスク)
【封入特典】ブックレット
【特典映像】メイキング映像(稽古場、バックステージなど)

なお、アニメイト(5店舗限定/渋谷店、名古屋店、梅田店、仙台店、広島店)では、本作の上演を記念し旧譜フェアを開催。対象商品を購入すると、ペダステの軌跡を辿る全14作のジャケットビジュアル(POBのみメインビジュアル)を使用した「A4スペシャルポスター2種セット」(全7セット/ランダム)がプレゼントされる。さらに、3月1日(日)よりU-NET、アニメ放題、dアニメストアで過去13作の見放題配信が始まるとのこと。

【公式サイト】http://www.marv.jp/special/pedal/
【公式ブログ】http://ameblo.jp/y-pedalstage/
【公式Twitter】@y_pedalstage

※山崎晶吾の「崎」は「たつさき」が正式表記

(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル04製作委員会
(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/マーベラス、 東宝

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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