山本裕典、富田翔らが“事件”の真相を追うミステリー『カレイドスコープ』稽古場レポート


2020年2月20日(木)に開幕する舞台『カレイドスコープ-私を殺した人は無罪のまま-』。本作は、劇団時間制作の谷碧仁と、演出の吉谷光太郎がミュージカル『王室教師ハイネ -THE MUSICAL Ⅱ-』以来2回目のタッグを組んで仕掛けるオリジナルのミステリー作品だ。開幕を目前に控えた本作の、稽古場のレポートをお届けする。

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緊張感が漂う稽古場には、そこには白熱した芝居をみせる、山本裕典、富田翔、君沢ユウキらの姿があった。物語は、タイトルにある強烈な言葉通り、「ひとりの少女の死」を巡って、事件の関係者が森田凌平(富田)の別荘に集められたところから始まる。

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この日は娘のかすみ(木村心静)を亡くした親友・凌平のために事件の真相を解き明かそうと奮闘する伊藤健一(山本)を中心に、かすみの死が“他殺”なのか、それとも“自殺”なのかを議論する重要なシーンの稽古が行われていた。

被害者を支援する男・五十嵐智久(磯貝龍乎)が「自殺説」を支持すると、凌平の姉である鯨井祥子(西丸優子)も「自殺説」に賛同する。祥子は娘の久美(大島涼花)が事件当日に首を吊って亡くなった、かすみの姿を目撃してしまったことに心を痛めており、とにかく早くこの一件を忘れたいと考えていた。

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一方、娘は夏樹陸(桑野晃輔)に殺されたと考えている凌平は二人の言葉を聞き、激昂。一触即発の空気が流れる。そんな中、中立的な立場を貫く健一が「一度、皆さんの決をとりましょう」と場を収めようとするが、「おもしろそうだから」という理由で記者の浅井幸助(君沢)が火に油を注ぐように「自殺説」に賛同。

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その言葉に感情を抑えられず声を荒げて反論する検事の馬場貴明(輝馬)が加わり、もはや収束不可能な模様をみせる。しかし、ずっと沈黙を保っていた教師の影山雄太(山田ジェームス武)が関を切ったように新事実を告げると場は一気に静寂と混乱に包まれる。果たして、事件の真実とは一体何なのか――。

演出の吉谷は「この作品は演劇に対する挑戦だと思っている」と語った。「自殺説」を唱える者、「他殺」を訴える者、「とにかくおもしろいこと」を求める者、「罪悪感」を抱える者など様々な人間模様が次から次へと展開されていく。登場人物の主観で語らせることによって「ひとりの少女の死」を多角的な視点でみせていく構成だ。

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さらにステージは別荘のリビングに見立てた空間をぐるりと客席が囲む仕様となっており、ワンシチュエーションの特性を最大に活かした演出が目をひく。劇場の四隅に加えて客席の一部をステージとして使用しており、どの場面においても役者と客席の距離が非常に近いのだ。静寂の場面では役者の鼓動が聞こえてきそうである。

白熱した稽古が終わると一転、和やかな空気が広がりカンパニーの仲の良さが伝わる。全編に渡って息の合った台詞が飛び交うため、10人全員が信頼で結ばれていなければ成立が難しい作品となっているが、演出の吉谷光太郎や山本裕典ら役者陣、皆が同じゴールを目指して一丸となっている印象を強く受けた。

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舞台『カレイドスコープ-私を殺した人は無罪のまま-』は、2月20日(木)から3月1日(日)まで東京・新宿FACEにて上演される。

(取材・文・撮影/オフィシャル提供)

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