『飛龍伝 2020』開幕!8代目・神林美智子役を菅井友香が熱演「世代を超えて届ける使命がある」


2010年にこの世を去ったつかこうへいの代表作『飛龍伝』が、没後10年に当たる2020年、キャストを一新して1月29日(水)より新国立劇場にて上演される。主演を務めるのは、欅坂46のキャプテンでもある菅井友香。初日の開幕直前には、公開ゲネプロと囲み会見が行われ、菅井に加え、石田明、味方良介が登壇した。

本作は、1973年に発表された「つかこうへい3部作」の中の一つで、学生運動の時代を舞台に、女性革命家の神林美智子が、革命の夢と現実、そして愛に翻弄されながら生きる姿を描く。美智子役は、これまで、富田靖子、牧瀬里穂、石田ひかり、内田有紀、広末涼子、黒木メイサ、桐谷美玲といったそうそうたる女優たちが演じてきた大役。今回、菅井は8代目・神林美智子として、同役に挑む。

『飛龍伝 2020』舞台写真

菅井は、本作の出演が決まった時のことを「本当に信じられなくて・・・」と振り返り「偉大なつかさんの作品にこのタイミングで挑戦させていただけることを誇りに思っています。つかさんが伝えたかったことを、舞台を通してしっかりと伝えられるように精一杯がんばりたい」と真摯に語った。

『飛龍伝 2020』舞台写真

そんな菅井の初座長姿を石田は「すごいです、成長が!」と感嘆の声をあげ「正直、最初はどうなるかと思ったんです。声がモスキートーンだったから、おじさんの自分には聞こえなかった(笑)。でも今は、飛行機が通ったのかなってくらい、声もよく出るようになって、感情の振れ幅もどんどん広がっている。公演が始まってからも、さらによくなると思います」と絶賛。

『飛龍伝 2020』舞台写真

味方もこれに「多くを語るわけではないですが、きちんと自分がやる姿を見せることで周りを引きつけて、神林美智子がそこにいるというのを見せてくれる素晴らしい女優さんになったと思います」と同意した。

菅井にとって本作の稽古場は、グループでの活動と違い、初めての男性ばかりの現場となったが「男性にワーッて言われることが今までなくて、皆さんの声量にも驚いたし、稽古が終わって家に帰って寝る時にも、皆さんの声やセリフが脳内から離れてなくて寝付けない日がありました」と戸惑いも大きかったようだ。

『飛龍伝 2020』舞台写真

しかしそれも「今ではそれが心地良いし、お稽古場でこんなに素晴らしい俳優の皆さんの芝居を間近で見られる贅沢すぎる環境に感謝しています」と笑顔を見せた。

最後に石田は「できる限りのことをやるだけです。つかさんにはお会いできませんでしたが、つかさんに届くようなお芝居をできたら。そして、お笑い芸人らしく、笑いを取れるところはどんどん取っておもしろいものにしたいと思います」とコメント。

『飛龍伝 2020』舞台写真

味方は「つかさんの作品は何作かやらせていただいているのですが、やはり、つかさんに会えなかった悔しさがあるので、それをバネに自分ができること以上のことをやって、この作品を後世に伝えていけるようにがんばります」と意気込む。

そして、菅井も「今回、新たな挑戦がたくさんある舞台ですが、この作品を通して、つかさんが伝えたかったことを世代を超えてお届けする使命があると思うので、精一杯務めたいと思います」と力を込めた。

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【あらすじ】
春、駿河台方向から聞こえてくるシュプレヒコールの中、一人の少女が進学のため愛と希望を胸にいだき上京した。四国高松から上京した神林美智子(菅井)である。

しかし、時代は学生運動の真っ只中。やがて美智子は、全共闘作戦参謀の桂木純一郎(味方)に出会い、その理想と革命に燃える姿に憧れ、恋に落ちる・・・。

『飛龍伝 2020』舞台写真

やがて、美智子は全共闘40万人を束ねる委員長に、まつり上げられてしまう。
11・26最終決戦を前に、作戦参謀部長の桂木の出した決断は、美智子を、女として機動隊員の部屋に潜入させることであった。

そして、その機動隊員とは、四機の狂犬病の山崎こと、山崎一平(石田)だった。革命の夢と現実と、美智子を愛する者達に翻弄されながら、11・26最終決戦の日は近づいてくる・・・。

『飛龍伝 2020』舞台写真

美智子は、全共闘40万人のリーダーとしてみんなに憧れられる“強い女性”だ。弱音を吐くことは許されず、革命に全てを賭けることを余儀なくされる。そんな美智子を、“強い女性”というイメージとはかけ離れた菅井が演じることで、美智子の隠された女性としての気持ちや悲しみ、やり切れなさが際立って見えた。

脇を固める、味方、石田といった「つか作品」常連組の安定感も抜群。時に笑わせ、時に泣かせ、観客を物語にガッチリと引き込む。まだまだフレッシュな菅井が浮いて見えないのは、彼らのどっしりした演技があってこそのことだろう。

『飛龍伝 2020』舞台写真

今回、菅井はキスシーンにも挑戦。さらに、涙を見せながら感情を露わにするシーンなど、体当たりでの熱演が印象的に残った。その姿からは、真摯に演技に向かっていることが伺え、今後の女優としての活動にも期待が高まる。

舞台『飛龍伝 2020』は1月29日(水)から2月12日(水)まで東京・新国立劇場 中劇場にて、2月22日(土)から2月24日(月・祝)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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