滝川英治、エッセイ本お渡し会で語った「今の自分だからできること」


俳優の滝川英治が、自身初のエッセイ本「歩―僕の足はありますか?」を出版した。これを記念したお渡し会を、2020年1月11日(土)には東京・八重洲ブックセンター 本店 8階ギャラリーにて開催。イベント前には、囲み会見が行われ、滝川が自身の言葉で今の心境を率直に語った。

2017年9月15日、ドラマ『弱虫ペダル Season2』(BSスカパー!)の撮影中に起きた自転車からの落車事故を起こし、脊髄損傷と診断された滝川が、ファンや報道陣の前に姿を立つのは久しぶりのこと。

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出版に対して、滝川は「この本には、僕が怪我をしてから約2年半の間に僕が経験したこと、葛藤、家族の支えなど、ありのままが書いてあります。そして、怪我をした期間だけでなく、今40歳の僕が培ってきた役者人生を含む、滝川英治の半生を綴った1冊となりました。こうして形にすることができて、本当に嬉しく思います」と、感慨深げな表情を見せた。

エッセイ出版の打診を受けたのは、怪我をしてから1年が経った頃だったという。家族や看護師の力を借りながらも毎日日記を書いていた滝川は、怪我をしてから3日が過ぎた頃には、すでに「ある程度自分の身体が回復したら、この思いを形に残したい」という考えを持っていた。

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かなり早い段階から、その思いを持った理由については、「明るい未来のことを考えていないと、やっていけなかった」と、率直な思いも明かした。「今、できることも絶対ある。それを自分の中で追求していくことは、活力になる。賛否両論あると思うれけど、否定的な意見も含めて、僕を通して何か感じてもらえるんじゃないかと思って」日記を書いていく中で気づいた、毎日変化する自分の思い。

しかし、すべてをありのまま書くことについてはいろんな意見もあった。「家族の中でも、特に姉は、僕がブログや仕事復帰することに対してあまり前向きではなかったんです。それは、唯一の弟である僕のことを考えてくれてのことで。僕が、今の状態で活動をしていくことは体力的に大丈夫なのか、家族内でもたくさん話し合いました」

「母親にも、もっと身体がよくなってからでもいいんじゃないかと言われました。でも“よくなる”の基準って何でしょう?車椅子に乗ることができる、これまでのように俳優として動くことができる。僕は、今の自分でもできること、今のこの瞬間だからやれることが必ずあると思ったんです。10年後、20年後どうなるかわからないけど、今だからできることを形にしたかったんです」

身体の状態は、四肢麻痺。胸から下の感覚はないが、肩や左腕は動かすことができる。リハビリ続けながら、滝川は現在エンタメニュースショー『PARASPORTS NEWS アスリートプライド』(BSスカパー!/毎月最終金曜日22:00~22:30放送)にて、番組MCを務めている。

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今後については、「2020年になったので、まずはパラリンピックに、関わるお仕事をさせていただきたい、というのを目標に掲げています。番組で、パラアスリートの方々とお話をさせていただいていると、共通する部分がたくさんあって、その方の背景が見えるんですよ。たくさんの仲間がいて、支えがあって、皆さん大きな一歩を踏み出しているんだと感じます。そういう人のつながりを、もっともっと伝えていけたら、パラスポーツの見方も変わってくるんじゃないかと思うんです。パラス―ポーツは知れば知るほど奥深いので、その醍醐味をお伝えしたいです」。

また、「まだ何も決まってはいないんですけど」と前置きをしつつ、「今、絵本を描いているんですよ。僕は口で文字を書いたり、絵を描いたりするんですけど。これからの明るい未来を担う子どもたちに向けて、今の自分が伝えたいこと、それを絵にしたり、ストーリーを考えたりしています」と、新たな夢も掲げた。

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お渡し会では、久しぶりにファンと対面する。「SNSなどを通して、たくさんの勇気をいただきました。でも、楽しみ99%、一抹の不安1%で、どういった顔で皆さんの前に出たらいいのか、まだ分からないんですけど。心配をかけてしまったので、感謝の気持ちを伝えたいです」と語っていた。

お渡し会で渡される本には、滝川が口を使い、心を込めて書いた「感謝」の文字。会場の傍らには、他界してしまった愛犬パールの写真も。お渡し会で久しぶりにファンと対面した滝川は、一人一人の目をまっすぐに見つめていた。

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◆滝川英治「歩―僕の足はありますか?」
【著者】滝川英治
【定価】1,300 円+税
【出版元】主婦と生活社
【発売日】2019年12月20日
【ISBN】978-4-391-15356-9
【判型】四六判、160ページ

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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