演劇界の問題児ならぬ”革命児”!舞台『宇宙戦艦ティラミスII』東京公演開幕


ギャグマンガ「宇宙戦艦ティラミス」の舞台化第2弾『宇宙戦艦ティラミスII』~蟹・自分でむけますか~東京公演が2020年1月8日(水)に東京・品川プリンスホテル クラブeXにて開幕した。

ゲネプロに先駆け、フォトセッションと囲み会見が行われ、スバル・イチノセ役の校條拳太朗、イスズ・イチノセ役の高本学、ヴォルガー・ハマー役の上田悠介、リージュ・ルロワ役の藤本かえでほか、伊藤孝太郎、正木航平、磯貝龍乎と、今作に初登場する新キャラクター、ダッジ・ナイトロ役の宮澤佑、生協の人役の三浦海里、そしてロメオ・アルファ役の佐藤信長の体調不良により急遽代役として参加が決まった堀田怜央が登壇。それぞれ東京公演初日に向けての意気込みや今作のストーリーの見どころについて語った。

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』舞台写真

囲み会見の開始時間が近づき、ステージ上に集まってきたキャストたち。スタッフの「皆さん揃いましたか?」の声に「イスズ(=高本学)がまだ来てません。兄さん! 兄さぁーん!」と、バックステージに向かってナチュラルに呼びかける校條に、会場から思わず笑いがおきた。

校條は「大阪で4公演をやって、みんなも身体にバッチリと馴染んで形になったかなというところですが、それから2週間ほど経ってちょっとセリフとかいろいろ忘れてきています(笑)。でも、どんなトラブルがあっても戦っていけるのが“ティラステ”の強みなので、東京公演ならではのものをしっかりと出していきたいと思います」と力強く宣言。

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』舞台写真

「役者が全員ここまで活き活きとしている舞台って他にあるのかなと思いますし、何度観ても新鮮な気持ちで見続けられる作品だと思うので、お客様もちょっとボルトがゆるんでいるジェットコースターに乗るような気持ちで、ハラハラドキドキと楽しんでいただけたら・・・」と、絶妙な例えでハプニングも全力で挑んでいく覚悟を語った。

高本は「前作では兄弟のストーリーが描かれていましたが、今作では父親を含めた家族3人のストーリーを軸にしつつ、そこに“余計な笑い”が入ってるSFギャグ大作となっています」と今作の見どころについて語り「毎公演、キャストたちが色んなおもしろいポイントを見つけながら、日替わりでどんどん成長していく舞台です。僕自身も1公演ごとにいろんな発見があり、色んな感情が生まれていますが、キャスト全員がきっとそうだと思います。最後まで全力で駆け抜けるので、皆様よろしくお願いします!」と言葉を続けた。

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』舞台写真

上田は「ここでしか見られない笑いと、ここでしか見られない推しの表情が楽しめる作品だと思います。ぜひ劇場に足を運んでいただけたら」とコメントし、カンパニーの紅一点である藤本も「東京公演は全15公演ありますが、二度と同じ公演はありません。話は同じでも毎回違ったものになると思いますし、全公演来てほしいぐらい楽しいと思います」とアピール。

佐藤の急病により、急遽代役を務める堀田は「僕の必死な姿もある意味見どころだと思うので、笑って見ていただけたら幸いです」と、ピンチもあえてネタにしてしまう度胸の良さで、体当たりで本作に挑む決意を表明。

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』舞台写真

宮澤も「この舞台は全編を通じて見どころばかりだと思うので、ぜひ劇場に見に来ていただいて、楽しんでいただけたらと思います」と語り、隣の堀田と顔を見合わせ力強くうなづいた。

「メトゥスの民」によって作られたスバルのコピー生命体の突然変異体で、スバルに対し異常なほどのライバル意識を燃やすスバル・ビヨンド役の伊藤は「新年ということで、初笑いにしてもらえればと思います!お正月なので、みんなでパーッと盛り上がりましょう!」と満面の笑顔を見せた。

第1弾で「この作品は全員野球のつもりで挑まないと!」と語り言葉通りの大活躍を見せた正木は、今作では宇宙移民組織「メトゥスの民」を率いる最高司令官、エスカレド・キャデラックとしても登場。「何度観ていただいても、毎回違った感想が生まれる舞台だと思います。何度も劇場に足を運んでいただけたら、大変うれしく思います」と熱くコメントした。

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』舞台写真

原作でも読者の人気投票上位に食い込む“生協の人”役を演じる三浦は、カンパニーの印象について質問されると「ハプニングをハプニングとも思わない人たちばかりで(笑)、大阪公演中も舞台上で今までやっていないことをやったりして、皆さん楽しんでいるのが伝わってきました。僕自身も楽しくやらせてもらっています」とニッコリ。

スバルとイスズの父で、デュランダルの開発設計に携わる連邦軍の要人、ソウイチロウ・イチノセ役の磯貝は、「個人的に僕の注目キャラクターはスバル・ビヨンドです。冬なのに服が・・・(と、スバルB役の伊藤をチラ見)。僕の中ではお腹を冷やしちゃいけないというジンクスがあるので、あえて開けることで弱みを見せるという彼の生き方があるのかなと(苦笑)」と、冷静に分析しつつ「この作品の強みは、色んな人が多彩な役をやることです。全体的に注目していただけたらと思います」と、見どころを語った。

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』舞台写真

ゲネプロではオープニングからイチノセ兄弟への無茶ぶりが炸裂し、開始早々場内は爆笑の渦に包まれる!今回も大がかりなセットはないものの、キャスト自ら何役も演じる八面六臂の活躍と、映像や音楽を駆使した演出で物語が紡がれていく。

今作の見どころのひとつは、某舞台を彷彿とさせる“ラップ”バトルだろう。腰に装着したマイクを武器に、おもしろくも馬鹿馬鹿しい宇宙規模の兄弟ゲンカや親子ゲンカが描かれるのだが、キャストの歌の上手さが余計にシーンのおもしろさを際立たせ、かっこいいパフォーマンスとは対照的な脱力系の歌詞にカメラを構える手も思わず震える。

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』舞台写真

なお、ゲネプロ=初の通し稽古という難しい状況下での参加となったロメオ役の堀田だが、驚異の集中力とかねてよりささやかれていた天然系の魅力をいかんなく発揮!ピンチも笑いに変えるなど、本番に向けて不安を払拭する熱演を見せていたのが印象的だった。

会見で「どんなトラブルがあっても戦っていけるのが“ティラステ”の強み」とコメントしていた校條だが、共演者やスタッフに対する信頼感がそう言わせたのだろうと納得。“アドリブ・モンスター(笑)”磯貝が放つ予測不能な行動や発言は相変わらずだが、それにくらいついていく藤本の姿は成長目覚ましく頼もしく感じた。

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』舞台写真

また、1年半前には磯貝にロックオンされ震えている姿それ自体が笑いを誘っていた高本だったが、今作では笑いで共演者を引っ張る存在になっていたのには正直驚かされた。

キャラクターの個性と世界観を大切にしたうえでさらにその魅力を広げていく上田、伊藤の安定感のある芝居に基づいた遊びの部分、正木の原作に誠実な芝居が作品全体を引き締め、その間を初参加の三浦、堀田、宮澤が自由に飛び回る――。

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』舞台写真

「演劇界の問題児」と揶揄されているという自虐的なセリフも劇中に出てくるティラステだが、スタッフの原作愛とほかの2.5次元作品に対するリスペクト、キャストのチャレンジ精神と飽くなき笑いへの探求心を目の当たりにすると、問題児というよりは革命児と呼びたいと思うのだ。

ほかに類を見ない新感覚SFコメディー作品、舞台『宇宙戦艦ティラミスII』~蟹・自分でむけますか~東京公演は、2020年1月19日(日)まで品川プリンスホテル クラブeXにて上演。なお、ロメオ・アルファ役の変更による払い戻しは行わないが、1月13日までのチケットを持っている人で1月15日以降の公演に振替を希望する人には対応を行うとのこと。振替対象公演日や、その他公演に関する情報は、公式サイトにて確認を。

【公式サイト】http://tiramisu-stage.com/
【公式Twitter】https://twitter.com/tiramisu_stage

(取材・文・撮影/近藤明子)

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