全く新しい演劇の形!イマーシブシアター『サクラヒメ』製作発表レポート


京都にある日本最古の歴史を持つ歌舞伎の劇場・南座にて、2020年1月よりイマーシブシアター『サクラヒメ』 ~『桜姫東文章』より~が上演される。それに伴い12月19日(木)に同作の製作発表が行われ、出演する純矢ちとせ、川原一馬、荒木健太朗、世界(EXILE/FANTASTICS)、平野泰新(MAG!C☆PRINCE)、Toyotaka(Beat Buddy Boi)、高田秀文(DAZZLE)、新里宏太が登壇した。

本作は、日舞、剣舞、タップ、ストリートダンスなど、各ジャンルのトップクラスの技術を持つ出演者たちによるパフォーマンスで構成された、歌舞伎の「桜姫東文章」より材をとったオリジナルストーリー。5パターンの結末が用意され、観客の裁決(投票)によって結末が決まるマルチエンディング形式を取り入れる。

さらに、各階固有の体験が用意されているのも本作の特徴。都人(1階席の観客)はフロアを歩き回りながら自分の好きなシーンやパフォーマーを追いかける楽しみを味わえ、雲上人(2・3階席の観客)は、同時多発的に行われるパフォーマンスを俯瞰だからこそ見える物語を踏まえて、エンディングを選ぶことができる。2・3階の特設アクティングステージでしか観られないシーンもあり注目だ。

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脚本・演出を担当するDAZZLEの飯塚浩一郎代表は、「イマーシブシアター」について「(演者は)移動しながらパフォーマンスを行い、観客は自分の意思で何を見るのか選択しながら移動しているパフォーマンスを見る新しい演劇です。今、ニューヨークでは“イマーシブシアター”が非常に勢いを持っていて、『最も価値のある100ドルの使い道』というランキングで(イマーシブシアターの)『sleep no more』という作品が1位に選ばれたほど」と説明し「客観的に舞台上で行われている作品を観るのではなく、参加して自分たちの意思によって観たいものを決めていきます。南座という、素晴らしい空間でのイマーシブシアターは新鮮な体験になると思います」と力を込めた。

飯塚によると本作は、上演時間約70分を予定しており、全体の3/4ほどの時点で2、3階席の観客が5人の男性のうち、誰をラストに選びたいかを投票。投票は観客がその場で各キャストのイメージカラーの紙を掲げ、それを担当者が目視して男性一人を決定する。1階席には100名前後の観客動員を予定しており、ステージをフルフラット化した状態で上演される予定になっている。

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ヒロインの「サクラヒメ」を演じる純矢は「イマーシブシアターという、お客様を間近に感じながら舞台を勤めることができるのもとても楽しみにしております。5人の男性方に思いを寄せていただくという幸せな役で、毎回、結末が変わるという、何度でも楽しんでいただける作品だと思っています」と挨拶。

2019年7月に宝塚歌劇団退団後、初舞台出演となる純矢だが「新しい自分を見せていきたいとは思うんですが、どのようにしてというのは私自身も模索中ではございます。宝塚歌劇団に17年間在籍しておりましたので、そこで培ってきたものも含めて南座で発揮できたらいいなと思っています」と思いを寄せた。

劇中で、サクラヒメと巡り合う男性たちを演じるのは、川原、荒木、世界、平野、Toyotakaの5人。

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「サクラヒメに選ばれるか選ばれないかというドキドキがありますが、精一杯選ばれるようパフォーマンスしたい」と話す川原は、タップダンスのパフォーマンスを行う予定。荒木は「刀という日本独特の美しい武器の色気や美しさを伝えたい。世界中の方がいらっしゃると思うので、日本人がめちゃくちゃおもしろいことをやっているとアピールできたら」とコメントし、刀を使ったパフォーマンスを見せる。

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また、EXILEやFANTASTICS from EXILE TRIBEでも活動する世界はダンスが得意。「『Choo Choo TRAIN』を踊るわけにもいかないので、どんなダンスにしようかなというのは考え中」と冗談めかして、笑いを誘った。

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本作が初舞台出演となる平野は「男子新体操を10年間やってきたので、新体操で培った表現力やアクロバットを活かしていきたい」とアピール。ストリートダンス世界一の称号を持つToyotakaは「ストリートダンスは正面がないダンス。いろいろな方向に向けて踊ってきた経験を活かして、全方向に“爆発”させようと思っています」と意気込んだ。

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さらに、5人の男性に試練を与える役どころとなる高田はDAZZLEの一員として、これまで何度もイマーシブシアターを経験してきたゆえに「皆さんを引っ張ってやっていけたら。(投票外の役ではあるが)自分が選ばれるようにがんばる、という気持ちで演じていきます」と語る。

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2、3階でのパフォーマンスを中心にステージを盛り上げる予定の新里は「普段は歌手活動をさせていただいていますので、歌唱披露にも注目してもらいたいですね」とコメントを寄せた。

歌舞伎発祥の地でもあり、現在、日本でもっとも古い劇場である京都・南座。そんな重みのある劇場で上演される全く新しいパフォーマンスで見せる本作に、飯塚は「フルフラット化することで、観客が舞台に上がれ、舞台上から客席を見るという稀有な体験をしていただけると思います」と自信をのぞかせ、改めて「劇場が持つ機構をできる限り使い、南座でできる新しい演出を全て僕らが挑戦しようと思っています」と語って会見を締めくくった。

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イマーシブシアター『サクラヒメ』~『桜姫東文章』より~は、2020年1月24日(金)から2月4日(火)まで京都・南座にて上演される。

【あらすじ】
意に添わぬ縁談から逃れるため、心中によって成就させた一組の男女の恋・・・

転生し花魁となったサクラヒメ(純矢ちとせ)。前世の記憶を頼りに運命の相手との再会を望んでいた。
そこで出会う5人の男性。

木々の声を聴き、星の行方を読み、術を操る神秘的な陰陽師(川原一馬)、孤高の気高さと圧倒的な剣術の強さを持つ浪人(荒木健太朗)、弱者の味方、優しさとユーモアを併せ持ち自由に生きる義賊(世界)、一本気で仲間思いの男気に溢れ火事場でのアクロバティックな活躍を見せる鳶(平野泰新)、医は仁術の精神で、貧しい者には無料で治療を施す心優しき町医者(Toyotaka)。

それぞれの思いが交錯する中、 都で噂の盗賊(高田秀文)による不可解な行動が始まる。
雲上の導者(新里宏太)の歌唱に導かれ、雲上人(2・3階エリアのお客様)はいよいよ運命の相手を裁決(投票)する時が訪れ、運命の男の記憶が蘇る―――

【公式サイト】https://kyoto-sakurahime.com

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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