舞台『神の子』開幕!長澤まさみをヒロインに迎え、田中哲司&大森南朋&赤堀雅秋の演劇ユニット4年ぶりの公演


2019年12月15日(日)にコムレイドプロデュース『神の子』が東京・本多劇場にて開幕。初日前にはゲネプロと囲み会見が行われ、大森南朋、長澤まさみ、でんでん、江口のりこ、石橋静河、赤堀雅秋、田中哲司が登壇した。

かねてから親交を深めてきた田中、大森、赤堀の3人が、しがらみにとらわれず、俳優たちが真摯に物作りに打ち込める環境の中で舞台を創り上げたいという想いから、キャスティングも俳優同士で声を掛け合い、2016年2月に舞台『同じ夢』の上演を実現。そして『同じ夢』の公演後もそれぞれの熱や想いは冷めやらず、約4年ぶりとなる、第二弾公演『神の子』の上演が実現することとなった。

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今作では、大森、でんでん、田中が演じる、警備員のバイトをして暮らしているパチンコが趣味の男3人、長澤、石橋らが演じるボランティアの人、江口演じる行きつけのスナックのママ、赤堀演じるニート、それぞれの日常が少しずつ交差しながらも、それほど変わらず流れていく日々の中で、何気ない日常の愛しさに気づかされる物語が描かれる。

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囲み会見では、最初に作・演出を務めながらニート役としても出演する赤堀が「この大好きな劇場で、すてきなキャストと公演を打てるということに関して、贅沢だなという気持ちとこの上ない幸せを痛感しております」と喜びを露わにすると「作品に関しては終始、些末なエピソードの連続なんですけど、その中で世の中に漂っているような虚無感や、やるせなさみたいな空気感がにじみ出てきたら嬉しいです」と期待を寄せた。

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池田守役で主演を務める大森は「警備員をやっていて、どうしようもなく人として情けない男を演じております。初日を迎えて妙な緊張感を持ちながら、今日一日を過ごすのかと思うとソワソワしております。がんばりますのでよろしくお願いいたします」と意気込みを披露。

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ヒロイン・田畑美咲役の長澤は「今自分がいる場所で、ここにいていいのか迷っている女性です。池田さんと出会うことで、自分の求めているものに出会えるのかというところが、見どころです。楽しく、稽古で積み重ねてきた物を丁寧に演じられたらと思っています」と自身の見どころを挙げた。

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池田の同僚警備員の五十嵐健を演じる田中は「でんでんさんと大森くんと警備員仲間です。おそらく僕の役がこの登場人物の中で、一番最低な人間なのではと思っています(笑)。初日をずっと待っていたので、今日は本当に楽しみで、赤堀くんの世界を思う存分にやろうと思います」と意気込んだ。

同じく池田の同僚警備員・土井春彦役のでんでんは、警備員の格好で登壇していることについて「こんな格好していますが、でんでんです」と挨拶して笑いを誘うと「僕の役も最低の人間なんです。自分が自分であるというものを、何となく自分で支えているような弱い人間なので、そういうのが上手く演じられればいいなと思っております」と期待を募らせた。

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スナックのママである林田美保を演じる江口は「私は主に警備員の3人組と一緒に芝居をすることがほとんどなんですけど、先輩たちが頼もしいので、そういう安心感もありつつ、初日の不安もありつつ、今日は楽しもうと思っております」と意気込みを語った。

田畑とボランティア活動をする斎藤真理子役の石橋は「長澤さん演じる田畑さんと似たような境遇で、田畑さんに憧れを抱いている女の子です。こんな先輩方と舞台に立てることは、なかなかないと思います」と心境を明かすと「昨日の稽古でも自分が出ていないシーンを客席で見ていて、こんなにおもしろい芝居の中で自分も一緒にやらせてもらえるんだと改めて楽しみになりました。すごく幸せです」と出演への喜びを噛み締めていた。

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長澤の出演経緯の話となると、大森が「僕がラブコールを送りました。ファンだったので(笑)」と思わずポロリ。改めて「まさか出てくれるとは思わなかったんです。赤堀さんの作品に意外と興味を持たれていたようなので、これはいいんじゃないかなと思いまして、そんなにゴリゴリとは押さないで、ジワジワと行きました(笑)」と振り返ると、田中も「3人で飲みながらメールを送っていたんですけど、僕は無理だと思っていました(笑)」と当時を思い返していた。

そんなラブコールを受けた時の心境を長澤は「大先輩で、15歳ぐらいからかわいがってもらっていましたし、なかなか一緒にお芝居する機会がなかったので、すごくうれしかったです」と明かし「赤堀さんの作品に出てみたいという思いがあったので、ラッキーという感じでした」とニッコリ。

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念願の出演となった赤堀作品で受ける演出について、長澤は「その時その時の空気を感じてお芝居をするというのは言われました。毎日変わるものだと思うし、そういうのは決めていくんじゃなく、ちゃんと感じてその時の感情で演じろというのは稽古で言われました」と稽古を振り返った。

続けて、舞台に立つことについて、長澤は「すごく緊張するし、難しいものだなと毎回舞台に立つたびに思っています。ただ、楽しちゃいけないなという時が多いので、楽しむために楽をしないで、こういう生の舞台で生の温度を感じて、自分も苦しみながら楽しくお芝居ができたらといつも思っています」と語った。

「最低の人間」と役柄紹介をされていた警備員3人にちなんで、稽古中に最低と思った出来事を尋ねられたでんでんは「なんか知らないけど、パニクったりするんですよ。こういう若い人のパワーの中に入った老人がもがいているという感じです」とはにかむと、そんなでんでんを見た長澤は「かわいくて笑っちゃいます。でんでんさんの魅力にみんながメロメロという感じです」と笑顔を見せた。

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また、12月の公演ということで今年1年を振り返る質問が飛ぶと、2018年に双子が誕生した田中は「子守の合間に仕事をさせていただいているという、そんな幸せな1年でした(笑)」とデレデレ。2019年に第1子が誕生した大森は「僕もそれが大きな出来事でした。そういう幸せとは真逆の作品なので、少し気持ちのブレがまとまらずにいることが俳優としてはふがいないところではあります」と苦笑い。長澤は「撮影をたくさんやったなと。自分で決めたことだからがんばらなきゃと思いながら、いろんな役を演じられて、いい1年でした」と満足げな表情を見せた。

最後に、大森は「キャスト全員と赤堀くんもがんばってここまで来て初日を迎えられました。最後まで年内、そして年を明けて地方公演もあるので、最後まで突っ走れたらと思っております。興味を持たれた方は、ぜひ観に来ていただきたいです」と呼びかけた。

コムレイドプロデュース『神の子』は、以下の日程で上演される。

【東京公演】2019年12月15日(日)~12月30日(月) 本多劇場
【名古屋公演】2020年1月7日(火)~1月9日(木) ウインクあいち
【福岡公演】2020年1月13日(月・祝) 福岡国際会議場 メインホール
【広島公演】2020年1月16日(木) JMSアステールプラザ 大ホール(アステールプラザ芸術劇場シリーズ)
【大阪公演】2020年1月18日(土)・1月19日(日) サンケイホールブリーゼ
【長野公演】2020年1月23日(木) サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール
【静岡公演】2020年1月25日(土)・1月26日(日) 浜松市浜北文化センター 大ホール

【公式サイト】https://www.comrade.jpn.com/kaminoko/
【公式Twitter】@comrade5

(取材・文・撮影/櫻井宏充 舞台写真/引地信彦)

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