『月の獣』開幕!栗山民也、眞島秀和と岸井ゆきのと共に迫る人間の“本質”


2019年12月7日(土)に、東京・紀伊國屋ホールにて舞台『月の獣』が開幕した。本作は、アメリカ・ウィスコンシン州出身のリチャード・カリノスキーが、第一次世界大戦中に起きたアルメニア人迫害の実話に基づいて描いた物語(原題:Beast on the Moon)。日本での初演は2015年。その際にも演出を手掛けた栗山民也が、眞島秀和と岸井ゆきのと共に、人間の“本質”に演劇で迫る。以下、開幕にあたり届いた栗山、眞島、岸井のコメントを紹介。

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◆栗山民也(演出)
自分で決めたことなのでしょうがないのですが、毎日の生活のほとんどが稽古場か劇場なのです。でもそれは演劇のために生きているというわけじゃなく、昨日よりも少しでもよく生きるために演劇は必要なんだ、と思っていたいからなのです。この作品の稽古をしながら、なぜかそんなことばかり考えていました。それほどに、この劇からは人間の命や感情や運命、そして人々の「信じること」について、極めてシリアスにいろんな声が聴こえてくるのです。誰もが世界から必要とされているということを、この劇から知るのです。人としっかりと向き合いぶつかり、どこまでも触れあい話し合うということ。歴史を簡単に消し去ってしまうこの呆れた嘘ばかりの時代の中で、この物語が少しでも私たちのこれからの魂の栄養になればと願っています。

◆眞島秀和
無事に初日を迎えることができて感謝しております。
時代や歴史的な事件が背景にある中でも社会の基本にあるのは家族であり、夫婦であり、その中でぶつかり合ってそれぞれの形になっていく、というのがこの作品の魅力のひとつだと思います。4 人の演者で作る、ある家族の限られた世界観の話ですが、そこにある普遍的なところをお客様に感じていただきたいです。

◆岸井ゆきの
歴史ある紀伊國屋ホールの力を借り、『月の獣』の世界観も、稽古場の時より数段、濃いものになっていると思います。寒い日が続きますが、劇場は暖かくて、なんだか炬燵の似合うような匂いがします。家族とは何か・・・圧倒的な答えがないのはどの世界でも同じだと思います。この年の瀬『月の獣』を観て、自分の中の家族の在り方をぜひ、探してみてください。

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【あらすじ】
第一次世界大戦の終戦から3年が経った1921年、アメリカ・ミルウォーキー。
生まれ育ったオスマン帝国(現・トルコ)の迫害により家族を失い、一人アメリカへと亡命した青年・アラムは、写真だけで選んだ同じアルメニア人の孤児の少女・セタを妻として自分の元に呼び寄せる。
新たな生活を始めるため、理想の家族を強制するアラム。
だが、まだ幼く、心に深い闇を抱えるセタは期待に応えることができなかった・・・。
二人の間に新しい家族ができぬまま年月が経ったある日、彼らの前に孤児の少年が現れる。
少年との出会いにより、少しずつ変わっていくアラム。
やがて彼が大切に飾る穴の開いた家族写真に対する思いが明らかになっていく――。

『月の獣』は、以下の日程で上演。

【東京公演】12月7日(土)~12月23日(月) 紀伊國屋ホール
【新潟公演】12月25日(水) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場
【兵庫公演】12月28日(土)・12月29日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

【公式サイト】https://www.tsukinokemono.com/

(写真/矢野智美)

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