2年ぶりの再演に向け、ブラッシュアップ!ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~顔合わせレポート


2019年秋、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~が再び始動――。全世界で熱狂的な人気を誇る岸本斉史の漫画『NARUTO-ナルト-』(集英社)を原作とし、“歌”という要素を加えてより壮大な世界観を生み出したシリーズ第2弾作品が再演を果たす。うずまきナルト役の松岡広大、うちはサスケ役の佐藤流司、うちはイタチ役の良知真次を筆頭に、新キャストを加えながら一つ一つ積み重ねてきたキャストたちの結束は固い。その模様をレポートする。

ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~の初演は、2017年5月に上演された。出演者の大半は続投だが、サイ役の定本楓馬、ペイン役の輝馬が新キャストとして初参加となっている。

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顔合わせの場は、そこはかとなく緊張感が漂っている場合が多いが、再演の本作ではすでに座組の空気が出来上がっている気がした。しかし、馴れ合っているわけではない。きりっと前を見据える役者陣の顔には、自信と信頼と、再演への期待がみなぎっていた。

この日は、原作関係者も激励に訪れていた。集英社 週刊『少年ジャンプ』副編集長・川島直樹は、「暁の調べ」初演が久しぶりに観た2.5次元作品だったそうで「今の舞台ってこんなにすごいんだと感動した思い出があります。ジャンプの人間ながら『NARUTO-ナルト-』ってこんなにおもしろい作品なんだと、改めて思ってしまいました」と、挨拶の中で振り返っていた。

また、原作者の岸本も再演を楽しみにしているそうで、編集部からは「今朝の打ち合わせで『舞台もう一度見られることがすごく嬉しいです、めちゃめちゃ楽しみにしていますと、皆さんにお伝ください』とおっしゃっていました」という言葉が届けられた。

気になるのは「再演ならではの“変化”はあるのか?」。脚本・演出を手掛ける児玉明子からは、この再演を「新キャストの方もいるので、新鮮な気持ちを持って、ブラッシュアップしたいと思います」という指針が示されていた。顔合わせの後に行われた本読みでは、初演を踏襲しながらも、冒頭からより観客を『NARUTO-ナルト-』の世界にいざなう演出が導入されるという話もちらり。なお、本作には殺陣として清家利一、振付として西川卓が新たに参加しており、ステージングに大きな変化が起きることが予想される。

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初演から、うずまきナルト役として座組を引っ張ってきた松岡は「暁の調べ」初演後、劇団☆新感線の公演(『髑髏城の七人 Season月』下弦の月)や、白井晃演出の海外戯曲(『恐るべき子供たち』)など、様々な経験を積んできた。2年前のインタビューでは「一言言える自信が持てた」と語っていたが、挨拶では「2年ぶりの再演ということで、非常に嬉しく思っています。こうしてまた皆さんに会えたこと、新しいキャストの皆さんが新しい風を吹き込んでくださることに期待を膨らませています。長丁場の公演となりますが、皆さんにお力添えいただきながら、大千秋楽までがんばっていきたいと思います。よろしくお願いします」と、周囲への感謝をしっかりと言葉にしていた。

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うちはサスケ役の佐藤は「サスケを演じさせていただくのも、もう5年近くになりまして。ということは、もう芸歴の半分、人生の約1/5。この喜びを改めて感じながら、気を引き締めていこうと思います」と、ひょうひょうとしながらも役への愛を隠さない。さらに、前髪の下からキラリと光る目をのぞかせながら「皆さん、“蛇”に食われないように気をつけてくださいね」と加えた。

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春野サクラ役として、松岡、佐藤と共に作品を引っ張ってきた伊藤優衣は、今年6月に上演された新作歌舞伎『NARUTO -ナルト-』を観て、ライバル心を燃やしていたそうで「2年ぶりのこの再演をとても楽しみにしていました。きっと、お客様も同じ気持ちでいてくださると思っていますので、いい意味で期待を裏切れるようにがんばります」と気合十分。

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はたけカカシ役の君沢ユウキも「今回の『NARUTO -ナルト-』が一番すごいぜって言われる稽古をしたい」、ヤマト役の藤田 玲も「楽しかった思い出しかない座組でまたこの舞台に立てるということは、楽しみでしかありません。新しいキャストの方も交えて、よりパワーアップしたものをみんなで作れたら」と続く。

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新キャストとしてサイ役を演じる定本は「新キャストという言葉がすごくプレッシャーなんですけれども・・・(笑)」と苦笑いしつつ、「『NARUTO -ナルト-』という作品は、小学生の頃から大好きでした。改めて、参加できることを嬉しく思います。再演を楽しみにしていただいていると思うので、お客様の期待にちゃんと応えられるよう、全力でがんばりたいと思います」と力強く意思表明していた。

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薬師カブト役の岡田亮輔は「またこの舞台に立てることに感謝の気持ちしかありません。再演というよりも新しいものに」、鬼灯水月役の萩尾圭志は「ここでまた皆様と顔を合わせられたことは当たり前じゃない。キャラの魅力をさらに引き上げたいです」、香燐役の七木奏音は「また、香燐ちゃんの変態さをたくさん研究して、作品を盛り上げる一員となれるよう、精一杯努めます」、重吾役の山口智也は「こうしてまた出演できることを嬉しく思い、最後まで全力でがんばります」とそれぞれコメント。

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そしてもう一人の初参加、ペイン役の輝馬からは「参加させていただき、とても光栄です。自分にできること、そして、自分にしかできないことを模索しつつ、一生懸命がんばりたいと思います」と、意欲をみなぎらせる。

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「どうも、干柿鬼鮫役の、干柿鬼鮫です。今回もライブ・スペクタクル、心に刻め!でございます!!」と、韻まで踏んだ林野健志の一言には、一同笑いをこらえきれず。続くデイダラ役の辻 諒は「皆さんと気持ちは一緒だと思いますが、大好きな『NARUTO -ナルト-』の世界を、もっともっと大好きな皆さんの元へ一生懸命届けたいと思います」、トビ役の片山浩憲は「仮面をつけた状態で、トビの二面性、三面性をどれだけ深く演じられるか、苦しみながら、楽しみながら作っていきたいと思います」と語っていた。

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綱手役の大湖せしるは「再び綱手としてお声がけいただけたこと、心より嬉しく思っております。再演という枠に囚われず、よりよいものを作っていけるように務めてまいります」、大蛇丸役の悠未ひろは「この2年、それぞれが歳を重ね、人生を重ね、いろんな経験をしてきたことが、表現を広げていくんじゃないかと楽しみです。それが、生身の人間が演じる醍醐味だと思いますので」と一言。

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そして、うちはイタチ役の良知は「前回ですべてを出し切ったので、悔いを残したことがあるかな?と考えたんです。ここへ向かう途中、それが分かりました。『あ、再演をすることだ』と。それが叶うということを、本当に幸せに思います」と、良知らしく切り出す。

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初演時、「暁の調べ」はシンガポール、上海でも公演が行われた。良知はそれが初めての海外公演だったと言い、「オープニングで、イタチが振り返った瞬間、客席から『自分、もしかして人気なのかな?』と勘違いしてしまうほどのキャーッ!という歓声が上がりました(笑)。今回も中国公演がありますので、そのプレッシャーとまた戦いながら、最後まで愛されるイタチを演じていきたいと思います」と茶目っ気たっぷりに、座組を盛り上げていた。

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アンサンブルキャストを含めた顔合わせが終了した後は、本読みが行われた。続投キャストからは、身体の中に染み込んだキャラクターの素地が呼び起こされていく。松岡は、少し椅子を引いて台本に没頭していく。伊藤は、サイとサクラの出会いのシーンで新キャストの定本にバッチリ合わせてくる。

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そして、目を合わせることもなく、歌の掛け合いをする佐藤と良知。すでに音楽もあり、本読みでも一同歌う。先行して歌稽古が始まっていたそうで、新キャストの輝馬もすでに歌いこなし始めていた。輝馬の存在は、作品の中における“歌”の力を一層引き出してくれそうだ。

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歌のシーンが始まると、改めて音楽が持つ力を思い知らされた。場面場面の興奮を身体が覚えているようで、座っているキャストたちが今にも動き出しそうに見えてくる。本を読む役者たちの声も、どんどんと熱を帯びていった。

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演出の児玉が掲げた「ブラッシュアップ」が、どのような形になっていくのか。再演最初の幕は、大阪で開けることとなる。その日が待ち遠しい。

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ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~は、以下の日程で上演される。

【大阪公演】10月25日(金)~11月4日(月・休) 大阪メルパルクホール
【東京公演】11月8日(金)~11月10日(日) TOKYO DOME CITY HALL
【東京公演】11月15日(金)~12月1日(日) 天王洲 銀河劇場
【深セン公演】12月6日(金)~12月8日(日) 深セン保利劇院
【上海公演】12月14日(土)~12月22日(日) 虹橋芸術センター

【公式サイト】http://naruto-stage.jp/
【公式 LINE@】@naruto-stage
【公式Twitter】@naruto_stage

(C)岸本斉史 スコット/集英社
(C)ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会2019

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

 

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