『ラ・マンチャの男』東京公演開幕!松本白鸚「(この舞台も)僕にとっては夢のひとつ」


1969年の日本初演以来、主演・松本白鸚が“見果てぬ夢”を追い続けているミュージカル『ラ・マンチャの男』。昭和、平成、令和を駆け抜け50年目の記念すべき公演は2019年9月に大阪で開幕。宮城、愛知と巡り、10月4日(金)、ついに50年の歴史の出発点である東京・帝国劇場での公演が始まる。初日の幕を開ける直前、帝国劇場で行われた囲み取材に白鸚、瀬奈じゅん、駒田一が登壇し、これまでを振り返っての感想や白鸚が抱く夢などについて語った。

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本作は、聖書に次いで世界的に読まれているスペインの国民的小説「ドン・キホーテ」を原作としたミュージカルで、1965年にブロードウェイ初演。翌年のトニー賞ではミュージカル作品賞を含む計5部門を受賞した。日本では1969年の初演から松本白鸚が主演し、翌70年にはブロードウェイからの招待を受けて、マーチンベック劇場にて全編英語で現地の役者と渡り合い、計60ステージに立った。

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今回、白鸚演じるドン・キホーテが想い姫と慕うアルドンザ役で元宝塚歌劇団月組トップスターの瀬奈じゅんが出演するほか、新たなキャストを迎えて2019年版『ラ・マンチャの男』の物語を紡いでいる。現時点で上演回数は1280回を超えており、10月19日(土)の夜の部で1300回に到達する予定だ。

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囲み取材に登場した白鸚は、「50年前にここで初日を開けたんですよね。夢のようです」と笑みを浮かべてしみじみ語り、「本当に多くの皆さまに感謝です。ありがとうございます。こうやってご一緒に出てくださる方々、裏方さん、表方さん、それから家族や友人、先輩、今は亡き方々。そして何より、劇場に足を運んでくださったお客様に感謝です」と深い感謝の気持ちを言葉にした。

昭和、平成、令和と時代を超えて歴史を重ねている本作だが、白鸚は「僕が一番大事にしているのは今です。瀬奈さんや駒田さんたちとご一緒している、今の『ラ・マンチャの男』が一番愛おしいです」と語り、同じ役を50年続けてきていることに「苦しみや悲しみもありましたけど苦しみを苦しみのままにするんじゃなくて、苦しみを勇気に、悲しみをなんとか希望に変えて頑張って、それが自分の俳優としての仕事だなと思ってやってまいりました」と振り返った。

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また、床屋やサンチョ役で長年本作に出演している駒田は「旦那様(白鸚)とやらせていただいてもう24年。サンチョが10年目、長いですけど、まだ修行です」と語り、「旦那様もさっき仰ってましたけど、『今が一番大事』というのは僕も痛感しておりまして、今日何ができるか、そして今日やれたことをどう明日に繋げていくのかというのをこの『ラ・マンチャの男』で学んだ気がします」としみじみ語った。

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一方、今回が初の本作出演となる瀬奈は、「毎日、あり得ないほどの緊張感で。でも、終演後はとても悲しいはずなのに幸せな気持ちと勇気をもらって、『あぁ、明日も頑張ろう』と思える、今までにない充実感を日々感じながら演じています」と明かした。また、「お2人のおかげで舞台上でもとても安心感がある中、自由に演じさせていただいているなと。とにかく50年の歴史があるこの舞台、私が足を引っ張てはいけないという日々の緊張感の元、それを温かく見守ってくださっている皆さまに本当に感謝です」と柔らかな笑みを携えて感謝した。

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本作では、“夢”が大きなテーマになっているが、白鸚は「夢といえば、私の子供たちのことです。長男(現・松本幸四郎)は高麗屋である歌舞伎の道を、長女(松本紀保)は、シアターナインスで手掛けてきた小劇場の道を、次女(松たか子)は、ミュージカルや映像の道を、それぞれ進み、そういう意味では『夢』は叶ったとも言えます」とコメント。

喜寿になった今も夢は抱き続けており、「(この舞台も)夢のひとつ。僕にとっては夢。人生にとってこんな幸せというか、喜びはないと思います。今日初日が開きますが、出演者の皆さんと一緒に『ラ・マンチャの男』をやり遂げたいと思います」と意気込んで囲み取材の場を締めくくった。

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ミュージカル『ラ・マンチャの男』全国ツアー最後の地である東京・帝国劇場での公演は10月27日(日)まで。上演時間は約2時間5分。

(舞台写真提供/東宝演劇部)
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)

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