シアタートラムネクスト・ジェネレーション悪い芝居『ミー・アット・ザ・ズー』は“人面獣心再生劇”


世田谷パブリックシアターによる、若い才能の発掘と育成のための事業「シアタートラムネクスト・ジェネレーション」では、1年に一度、公募により選ばれた団体にシアタートラムでの上演機会を提供し、劇場がサポートを行っている。第12回目となる2019年は、関西を拠点に創作を開始し、2017年にOMS戯曲賞大賞を受賞するなど、劇作家・演出家・俳優として活動する山崎彬率いる「悪い芝居」をピックアップ。12月に『ミー・アット・ザ・ズー』を上演する。

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「悪い芝居」は、2004年12月24日に路上パフォーマンスで旗揚げ。作・演出の山崎を中心に、京都を拠点に活動を開始し、現在では拠点を東京に移し創作を行っている。ぼんやりとした鬱憤から始まる発想を、刺激的な言葉と狂信めいた身体、幻惑かつ耳鳴りじみた心地よい音楽に乗せて勢いよく噴出し、劇世界と現実世界の距離を自在に操作する、観客の想像力を信じ切った作風が特徴。団体名の由来は「悪いけど、芝居させてください」の略。

『ミー・アット・ザ・ズー』は、2012年の第56回岸田國士戯曲賞最終選考にノミネートされた『駄々の塊です』を元にした作品。ある夜に起こった、動物園の動物がすべていなくなってしまうという事件から、当事者ではないすべての中途半端な人間たちの個人的な軋轢や欲望が爆発を描く。『駄々の塊です』では、孤島のような盆舞台の上で、時に静かに、時にめまぐるしく同時多発的に、関西訛りのポップで荒涼とした会話劇が展開され、天井より吊られたマイクへの独白や、耳を劈くようなノイズ交じりのバンドサウンド、不穏なほど薄暗く、あるいはカラフルに舞台を彩った裸電球による照明演出などが随所に盛り込まれ、作品の持つ茫漠とした不安感や一種異様な興奮状態を高める異化効果を強く発揮。

今回の『ミー・アット・ザ・ズー』においても、上記の様な演出手法や、作品世界の不条理さ・不可解さを踏襲しつつ、『駄々の塊です』にセルフインスパイアされた、絶望と希望を生演奏で彩る“人面獣心再生劇”に仕上げるという。

出演者には、悪い芝居メンバー(中西柚貴、潮みか、東直輝、畑中華香、植田順平、山崎彬)のほか、TVドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ)で注目を集めた日比美思をはじめ、藤原祐規、田中怜子、久保貫太郎(クロムモリブデン)が客演として参加する。

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以下、作・演出・出演を務める山崎より届いたコメントを紹介。

◆山崎彬
シアタートラムネクスト・ジェネレーションに選出していただいたこと、心から光栄に思っています。
初めてYouTubeにアップロードされた動画のタイトル『Me at the zoo』は、象の檻の前に立つ青年が象の鼻の長いところが好きだと言うだけのものでした。そのシンプルな原風景をモチーフに、獣の心を人間の面でひた隠したヤツら、つまりは僕と僕以外全員の物語を作ろうと思っています。
そんな物語に、これまで挑戦してきたバンド演劇の経験を生かした生演奏の音楽を混ぜ合わせた演劇をひっさげて、悪い芝居メンバーと一癖も二癖もある客演陣とでシアタートラムに挑みます。
重厚で見ごたえのある作品が多く上演されてきたこの劇場の歴史の中で、軽やかで毒々しい異物になりたい。期待をねじ曲げ裏切りながら飛び越えてゆきたい。一生懸命、愚直にがんばります。
劇場でお待ちしております。

シアタートラムネクスト・ジェンレーションvol.12 悪い芝居vol.25『ミー・アット・ザ・ズー』は、12月4日(水)から12月8日(日)まで東京・シアタートラムにて上演される。チケットは、10月12日(土)より一般発売開始。

【世田谷パブリックシアター公式サイト】https://setagaya-pt.jp
【悪い芝居公式サイト】http://waruishibai.jp/

 

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