佐藤隆太×谷賢一で特殊でユニークな上演形態の一人芝居『エブリ・ブリリアント・シング』日本初上演


2020年1月から2月にかけて、『エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~』の上演が決定した。本作は、2013年にイギリスで初演された一人芝居(作:ダンカン・マクミラン、ジョニー・ドナヒュー)。、翌年にはエディンバラ国際演劇祭に参加し、その後3年連続して同演劇祭で上演されるという快挙を成し遂げた。2014年以降はニューヨークをはじめ世界中で翻訳上演されており、今回、谷賢一の翻訳・演出、佐藤隆太の出演で日本語初上演を果たす。

本作の大きな特徴は、特殊かつユニークな上演形態。登場人物は一人のみで、開演前から出演者が観客に話しかけたり、番号のついた小さなカードを渡したりしていく。観客が全員着席すると、リストを手にした青年が、自分の子ども時代の話を語り始める。そのリストは、この世界にある「ありとあらゆるステキなこと」を書き連ねたリストで・・・。

まるでトークショーのように、開演前に出演者から渡されたカードにある自分の番号が呼ばれたら、そこに書かれている言葉を読み上げたり、出演者によって促されて参加したり、観客も物語が進行に関わっていく。観客と出演者のやりとりは、アドリブのようだが、実は戯曲の段階でかなり計算されつくしたやりとりになっており、やがて観客にとっても青年と共に人生で「ステキなもの、ステキなこと」を探る旅が始まる・・・という内容になっている。

日本語初演の翻訳・演出を手掛ける谷は、ルーマニアのシビウ演劇祭で本作を観劇して以来、今までにない上演形態に心惹かれ、日本語上演を切に希望し原作の英語台本の翻訳にとりかかったという。

そして、たった一人の出演者となる佐藤は、今年がデビュー20周年。取り囲む観客を「自分が語る物語」に引き込むという難役に、役者としてさらなる高みを目指して挑戦する。

以下、発表と共に届いた谷と佐藤のコメントを紹介。

◆谷賢一(翻訳・演出)
この本は、演劇とショーの中間にあるような、魔法のような作品です。演劇かしらと思って観に行くと、キャストがラフに観客に話しかけてきて、なるほどこれはトークショーなのだなと思って油断して観ていると、いつの間にか主人公の濃厚なドラマに引き込まれていて「これはドラマだ!演劇だ!」と思わされる。アドリブのようにしか見えない箇所が何箇所もあるのに、すべての台詞と行動は戯曲中で指示されている。舞台と観客の関係、フィクションとノンフィクションの境界を揺さぶってくる野心作なのです。日本国内でこれに似た演劇が行われた試しはなく、上演されればまさに本邦初、日本の演劇界にとっても衝撃となるでしょう。
昨今、日本においても世界においても、演劇やその他の芸術において「観客の参加」が大きなテーマになっています。日本では映画の発声可能上映や応援上映の人気、ハロウィン・イベントへの参加やコスプレイベントの隆盛などにとどまっていますが、欧米では「イマージブ・シアター」すなわち「没入する演劇」として観客がフロアを移動したり俳優と会話したりする演劇が人気を博しています。この作品もその一種ですが、この戯曲の優れているところはハプニングやアドリブに見えるイベントのすべてが戯曲段階で計算され尽くしているという点にあります。これによりどんなハプニングが起きても物語の強さは損なわれず、おかしな客いじりで空気が乱されることもなく、アドリブに見えるのにシナリオ通りという不思議な雰囲気が醸し出されるのです。
主人公の男は・・・、賢くユーモアに富み、音楽を愛し、文学を愛しているけれど、心に深い傷を負っています。幼少期の彼を襲った母の自殺未遂という悲劇が、彼の人生に大きな影を落としてしまった。自殺あるいは自殺未遂を行った家族のいる人の自殺率は、そうではない人の何倍も高いそうです。主人公の男はその孤独を癒やしてくれる女性と出会いますが、彼女ともうつ病が原因で別れてしまう。うつや自殺が欧米以上に社会問題になっている日本で上演するに相応しい作品です。

◆佐藤隆太
今回のお話をいただき、台本を拝読して、すぐに「やらせてください!」とお答えしました。初めての一人芝居、ユニークな上演形態など、経験のないことへの好奇心が湧きました。しかし何よりも、この作品が持っている力に心を動かされたのです。
ただこの作品は、自分自身の人間性をさらけ出し、人としての度量も試されるので、毎公演、覚悟を決めなければならない。冷静に考えたら怖さもあります。普段やっている演技とは少し違いますが、だからこそ、日々の変化を楽しみ、濃密な時間をお客様と共有できたらと思っております。
ここで本番中にどんなことを行うか少し説明させていただきます。登場人物は僕一人だけ。観客の皆さんには、僕を取り囲む形で座っていただき、僕はその舞台の真ん中で、ある男性の物語を語っていきます。折角、取り囲んでお話を聞いてもらうので、お客様にも物語に参加してもらうことになります。「えっ、観客参加型なの」と一瞬たじろいだ方、安心してください。物語を語るお手伝いをお願いするだけです。僕が語る「ある男性の物語」を聴いて、一緒に物語を紡いでくだされば、きっと「明日も元気に生きて行こう」と前向きな気持ちになれるはずです。「ブリリアントなこと」「ステキなこと」を探す旅にご一緒しましょう!

【東京公演】1月25日(土)~2月5日(水) 東京芸術劇場 シアターイースト
※1月25日・1月26日はプレビュー公演
【新潟公演】2月8日(土)・2月9日(日)・2月11日(火・祝) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
【松本公演】2月15日(土)・2月16日(日) まつもと市民芸術館 特設会場
【名古屋公演】2月18日(火)・2月19日(水) 名古屋市千種文化小劇場
【大阪公演】2月22日(土)・2月23日(日) 茨木市市民総合センター(クリエイトセンター)センターホール 舞台上特設劇場
【高知公演】2月29日(土)・3月1日(日) 高知市文化プラザかるぽーと 大ホール

【公式サイト】https://www.ebt-stage.com/

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