『THE BLANK!~近松門左衛門 空白の十年~』主演・浜中文一がスペイン語で歌舞伎に挑戦


2019年9月14日(土)に開幕する舞台『THE BLANK!~近松門左衛門 空白の十年~』の囲み取材と公開ゲネプロが、初日前日となる13日(金)に東京・よみうり大手町ホールで行われた。囲み取材には主演の浜中文一、江田剛(宇宙Six/ジャニーズJr.)、内藤大希、ラサール石井、そして演出を担当する鈴木勝秀が登壇し、意気込みなどを語った。

本作では、近松洋男が著した「口伝解禁 近松門左衛門の真実」(中央公論新社)をもとに、戯作者として大成する前の20代の若い近松門左衛門が描いていく。近松門左衛門(浜中)は後の大石内蔵助である良雄(江田)と切磋琢磨し、秘密の任務である貿易「塩の道」と呼ばれる航路を開拓。この「塩の道」の中にこそ、近松が後に戯作者となる出逢いがあった・・・という、歴史の渦に隠された秘密を波乱万丈な青春時代劇に仕上げる。

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物語は江戸時代の天皇御所、近松門左衛門と後水尾天皇の会話から始まる。後水尾天皇の堂々とした立ち居振る舞いと門左衛門の誠実さ溢れる接し方からは確かな信頼関係が見えた。その後、良雄らと共に事業を始めた塩の道塾の面々は世界を見据え、トニ・エリアス老師(陰山泰)からスペイン語を学び始めた塩の道塾の面々。門左衛門はスペイン語で歌舞伎などに触れていく中で、浄瑠璃、歌舞伎の名作者になる将来の片鱗を感じさせた。

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劇中では、門左衛門がスペイン語での歌舞伎の他、門左衛門がイメネオ、平馬がフェベア、良雄がフェベアの兄を演じる劇中劇「騎士イメネオ物語」も披露。内藤が女形をしなやかに美しく演じ、これまた見応えのある仕上がりになっている。ほとんど知られることがなかった近松門左衛門の20代を本に忠実に追いながらも、仲の良い塩の道塾の関係性やポップ楽曲、コミカルな演出で見やすくなっている。さらに、現代パートとして学者の寺田(細見大輔)、雑誌編集者の長岡(小林且弥)が登場し、近松門左衛門の歴史を分かりやすく説明してくれることで、より物語の世界観に引き込まれていく演出となっている。

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囲み取材に登壇した主演・浜中は「初めて実在の人を演じるのでどうしようかなと思ってたんですけど、すごい楽しいです」と語り、見どころを「今回、初めて歌舞伎を・・・。先生にも教えてもらって。スペイン語を話しながら歌舞伎をやって、見得も切ってます。あと、獅子もやっています。先生にめちゃめちゃ褒められたので、獅子は絶対見てください!」とアピール。

一方、後の大石内蔵助である良雄役の江田は過去に舞台で近松門左衛門役を演じていたこともあり、「ご縁と言うか・・・近松さんが呼んでくれたのかなと嬉しく思っています」と喜び、「本格的な“和”の舞台に出演するのは初めてなので、しっかりした着付けを教えてもらったり、いろんな役者さんたちがお芝居してるところを稽古場で見ていて、『あ、こういう風にお芝居を作って、楽しくしていくんだな』って。作品作りなど勉強になることが多くて楽しかったです」と笑顔で語った。また、江田は今作で振り付けも担当しており、「オープニングの。鈴勝さんから『こういうイメージ』というのを頂いていたので、それに合うように考えてフリをつけました」と明かした。

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浜中と江田と共に、“塩の道”という事業を共に立ち上げていく松鹿平馬役の内藤は劇中劇で女形も演じているが、『レ・ミゼラブル』などのミュージカルでの経験をいかんなく発揮し素晴らしい“歌声”を披露。内藤は「文ちゃんが踊る“スペイン歌舞伎”のアシストと言いますか・・・(笑)。盛り上げるべく、少しですが歌わせていただいております」と語り、コミカルな演出で思わず笑みがこぼれてしまうシーンのため「僕自身が笑わないように気を付けてます」と笑いをこらえて頑張っているようだ。

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また、後水尾天皇/法皇役のラサール石井は自身の役について「(浜中くんは歌舞伎をしたりセリフの量が多いけど)僕は殆ど動かずしゃべってるだけです(笑)」と語り、「まさか近松門左衛門と大石内蔵助が知り合いだとは思わないじゃないですか。そこらへんも面白いんですよね。これがその内こうなるんだなって思えると思います。淡々とやるとそれほど・・・と言っちゃなんですが(笑)、だけど、鈴木さんの遊び心のある演出ですごい面白くなっています。すごいドラマチックに仕上がっています、音楽も和だと思ったらあっと驚くみたいな」と作品を魅力を明かした。

そんなラサール石井も太鼓判を押す演出を手掛けた鈴木は、「和ものなので、登場人物が実在の人物で嘘書くわけにはいかないので(笑)、いつもより本を書くのに時間は掛かりました」と明かし、「自分では歴史とか分かってると思っていたんですけど、実際書き始めてみると知らないことだらけで、それがまた面白くて。近松門左衛門の人生と言うのが、20代の頃は全く資料に残っていなくて、近松洋男さんという近松のご子孫の方が書かれた本があるんですけど。口伝として近松家に伝わっているんですけど、それが本当に想像を絶するくらいの驚くべき話で、これはぜひ舞台化したいなと。構想を始めてから3年くらいです。(仕上がりは)バッチリです! とてもいい稽古が出来たし、満を持してお送りできると思います」と自信を見せた。

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そして最後に、内藤が「十分に稽古を積んできて、あとは楽しんで会場で皆さんに見ていただくという状態なので。明日からの開幕が楽しみです」と意気込みを語り、ラサールも「パッと題材だけ見ると固そうなんですけど、楽しい、いろんなことが行われるのであっという間に楽しんで終わっちゃうと思います」とコメント。

江田は「作品の中で役的にもみんなで力を合わせて大事業を成し遂げるということをやっているのですが、カンパニーのみんなと力を合わせて大成功させたいなと思っております」と気合十分な様子を見せ、浜中が「いろんな角度から芝居を作っていっているので、すごく見てる方も飽きが来ず、あっという間の2時間で終わると思うので、ぜひ楽しみに見に来てください」と締めくくった。

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『THE BLANK!~近松門左衛門 空白の十年~』は下記の日程で上演。上演時間は、約2時間を予定。

【東京公演】2019年9月14日(土)~9月25日(水) よみうり大手町ホール
【大阪公演】2019年9月27日(金)~9月29日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

【公式サイト】 https://www.theblank-stage.jp/

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)

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