中村誠治郎が“経済界の風雲児”の人生を体現『今、僕は六本木の交差点に立つ』開幕


2019年9月4日(水)に東京・天王洲 銀河劇場にて『今、僕は六本木の交差点に立つ』が開幕した。本作は、プリント基板製造メーカー「キョウデン」を核に、大手スーパー長崎屋、大江戸温泉物語など、破綻寸前の企業を次々買収し再生に導いた経済界の風雲児・橋本ひろしをモデルに作り上げたオリジナル作品。

莫大な富と名声を手に入れた男が、50代になって突如音楽活動を開始し、六本木のライブハウスで歌い始める―― “歌う”ことにたどり着いたのか?波乱万丈な一人の男の人生を、中津留章仁の脚本、赤澤ムックの演出で描く。

出演は、中村誠治郎、有澤樟太郎、定本楓馬、七木奏音、高橋洋介、堀越涼、橘輝、浅野康之、西川美咲、久ヶ沢徹、中込佐知子、山寺宏一、ほか。開幕にあたり、中村、有澤、定本、山寺より、開幕コメントが届いた。

◆中村誠治郎
8月頭から稽古が始まり、ここまで本当にあっという間でした。
顔合わせでプロデューサーの熱い想いをお聞きしてさらに全体の士気が高まり、ここまで演出の赤澤ムックさんを筆頭にとにかくがむしゃらに、そして緻密に大切に作り上げてきました。今までにやっとことのないジャンルの作品だなと思ってはいたのですが、稽古が進んでいくにつれて、僕の想像をさらに超える熱い作品へと導いてくれました。橋本ひろしさんというすごい方の人生を生き抜きたい。その想いが作品を通して、少しでもお客様に伝わるよう自分にできることをすべてやりつくします。とにかく全力投球で最後まで駆け抜けたいと思います。ぜひ劇場に足を運んでいただけると幸いです。

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◆有澤樟太郎
『今、僕は六本木の交差点に立つ』今回僕は、オリジナルキャラクターを演じます。主人公に大きな影響を与える一人です。言葉や行動で人に影響を与えることがどれだけ難しいことか今作で改めて痛感しました。役を落とし込むのに時間を要しましたが、主人公を演じる誠治郎さんと話をし、カンパニーの皆さんと濃密な稽古期間を過ごし、今、本番がとても楽しみです。矢のようにお客さんの心に刺さる作品にしたいなと意気込んで一生懸命稽古してきました。稽古場の熱量を見る限りいけると思っています。全8公演怪我なく全員で駆け抜けます。ご来場心よりお待ちしております。

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◆定本楓馬
今回の作品は僕にとって新しい挑戦がたくさんあります。悩みに悩みましたが、それもすごく刺激的な時間で、また先輩方の姿を近くで観させていただけることも本当に貴重でした。この作品を観た後に様々な気持ちが生まれると思いますが、それが何か見てくれた皆様の一つ後押しになれるように全力で向かい演じていきたいと思います!どうかよろしくお願いします!

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◆山寺宏一
ほとんどのスタッフ・キャストが初めての方々ですが、稽古を重ねていく中、たくさんの刺激を頂き、良いチームになったと実感しています。特に主演の中村誠治郎くんとは、昔から知り合いだった様な気がするくらい(笑)。ご存知の通りイケメンですが、舞台上はもちろん飲んでる時も、彼は主人公「ふとし」そのものです。僕自身、今まで演じたことがないような役で不安でしたが、相手役の七木さんのピュアさに引っ張られ、楽しく演じられそうです。若い出演者が多い中、唯一の同世代である久ヶ沢さんにもいつも助けていただいています。すごい実業家でシンガーソングライターという実在の人物をモデルにし、さらに二重構造(ネタバレか?)という意欲作。皆さんの心に何か少しでも響くものがあれば幸いです!

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(以下、物語のあらすじに触れています)

主人公は、稲本ふとし(中村)。物語は、彼がライブハウスのステージの上で、客に語りかけるところから始まる。悪態をつきながらも「天に向かって弓を射ろ」と自分が生きてきた中で感じた思いを歌いあげる。

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長野の高校を卒業し東京へ出たふとしだったが、貧乏を苦に長野に戻ることを決意する。そこへ訪ねてきたのは、東京の大学に通っていた地元の同級生、山口俊(有澤)。彼は、夢を諦めようとするふとしを「痩せるなふとし~!」と励まし続ける。二人はそんな友達だった。しかし、人生には抗えない瞬間が多々訪れる。それでもふとしは奮起する。母(中込)を幸せにするため、兄(久ヶ沢)を助けるため、「このまま終わってしまってたまるか」とふとしはがむしゃらに前に進む。

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場面は変わって、そこはタイ。ホテルの一室で、日本から出張でやってきた久保田(山寺)という男と、サラー(七木)というタイ人の女性が対面していた。学がなく身体を売ることでしか生計が立てられないというサラに、失った娘の面影を見た久保田は・・・。

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ふとしの友人であり実業家・津田山涼介(定本)が、ストーリーテラーとなり、その人生をなぞっていく。ままならない人生。それもすべて、自分の人生。理想と現実のはざまから這い上がり、伝えたい思いを歌い出すふとしの姿はとてもピュアだった。劇中で中村が歌う楽曲はすべて、橋本ひろしのオリジナル楽曲である(ちなみに、舞台セットに使われている抽象画も橋本ひろしが描いたものだそうだ)。

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橋本ひろしをモデルとした主人公・稲本ふとしは、はたから見れば仕事で成功し富を得た成功者だ。しかし、「成功=幸せ」なのか?と問われれば、彼は「こんなはずじゃなかった」と絶叫する。人を大切にできないと言いながら、何よりも大切にしたいと思っている男の歌声は、真っ直ぐに、心の深い部分にまで響く。

とても個人的な話だけれど、矛盾も抱えているし間違えてしまう人間が“生きる”ということを肯定する、力強い物語。きっと、劇場を出る時、背中に添えられた優しい手の存在を感じるのではないだろうか。

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『今、僕は六本木の交差点に立つ』は、9月8日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演。上演時間は、約2時間30分(休憩15分含)を予定。

【公式サイト】https://www.nelke.co.jp/stage/roppongi/
【公式Twitter】@stage_roppongi

※高橋洋介の「高」は「はしごだか」が正式表記

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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