市川海老蔵「ABKAI」Snow Manから「立ち回りや動きを学びたい」と期待


市川海老蔵 第五回自主公演「ABKAI 2019~第1章 FINAL~『SANEMORI』」が2019年11月より上演されるが、その製作発表会見が9月3日(火)に東京都内で行われ、市川海老蔵が登壇した。

本公演は、海老蔵が近年積極的に取り組んでいる“伝統の継承”と“新時代の歌舞伎の創造”を融合させた舞台を目指して、2013年から始めた企画。

今回の演目は、以前より海老蔵が構想を温めていた「源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)」より「実盛物語」を主軸にした新しい舞台となる。同作の登場人物となる斎藤実盛は、歌舞伎においては「生締(なまじめ)」とも呼ばれ、分別のある武将の典型的な役柄として描かれる。扇を用いて物語る場面が見どころで、ドラマ性に溢れる時代物の名作と称される作品だ。

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海老蔵は「現代人には源平の戦いの中における白旗の重みというものが、なかなか分かりにくい。それは歌舞伎の演目が、白旗を守っていくことに対して、人々が命がけでいる様(さま)というものに、クローズアップされていない部分が多いからではないでしょうか。

それが歌舞伎の良さであり、歌舞伎の演出方法であり、それは歌舞伎として十分におもしろいものではありますが、なかなか分かりづらいと思うんです。もっと分かりやすく、布引の滝が白旗の流れを示していると分かる演目を私はみたいと思っていました」と本作を上演するに至った思いを説明。

今回は、CDデビューを発表したばかりのジャニーズJr.のユニット「Snow Man」の宮舘涼太と阿部亮平が「ABKAI」初出演することでも注目を集めている。海老蔵は彼らが出演する作品のDVDも観たそうで「立ち回りや動きの中で我々が学ぶことがたくさんあると思いますので、Snow manの方々には動きの面で活躍していただけたら嬉しいな、と考えています」と期待を寄せた。

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さらに今回の公演では、海老蔵は「團栗」(どんぐり)という名で演出も担当。「今まで携わってきて演出まがいのことはさせていただいていても、ちゃんと演出として名前を出すことは今回が初めてなんです」と話す。

十一代目市川海老蔵としては最後となる「ABKAI」だけに、「第1章のファイナルで自分で演出をするというのは、かなり大きな意味を持っているのではないのかな、と自分自身でも思っていますし、演出という意味ではいろいろなプレッシャーもあるので勉強したです」と気を引き締めた。

「FAINAL」と銘打った公演ではあるものの、会見では今後も「ABKAI」の継続を望んでいることを明言。海老蔵は「皆さん、海老蔵だから『ABKAI』だと思われているかもしれませんが、僕はAB型なので『AB型の会』として、團十郎になろうと『ABKAI』は続きます(笑)」と冗談めかして話し、会場の笑いを誘った。

最後に今後の歌舞伎界について問われると「古典というものを最重要視しながらも、観ていただかないことには芸術としては成立しないと思います。なので、我々はお客様が入るような努力をし、古典をきちんと継承できるように続けていくことが歌舞伎界にとって一番大事なことだと思っています」と持論を展開。

さらに、自主公演に関しては、「もう少し門を開こうと思っています。自主公演の中でも自分の参加しない、弟子たちが活躍できるような公演を考えていきたいと思っています。希望の持てる世界にしていくべきだと私は考えています」と思いを語った。

市川海老蔵 第五回自主公演「ABKAI 2019~第1章FINAL~『SANEMORI』」は11月5日(火)・11月25日(月)に東京・Bunkamuraシアターコクーンにて上演される。

【公式サイト】http://www.zen-a.co.jp/abkai2019/

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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