古川雄輝、松井玲奈のプロ意識を絶賛『神の子どもたちはみな踊る』開幕


2019年7月31日(水)に、村上春樹の短編小説を原作とした舞台『神の子どもたちはみな踊る after the quake』が開幕。プレスコールと囲み会見が東京・よみうり大手町ホールで行われ、古川雄輝、松井玲奈が登壇した。

本作は、阪神・淡路大震災をテーマにした短編集の中から、特に海外でも評価の高い「かえるくん、東京を救う」「蜂蜜パイ」の二つを取り上げて舞台化。シンプルな男女の三角関係を爽やかに描きつつ、「かえるくん」が「みみずくん」と戦って自身から東京を救う、という不思議なストーリーが織り込まれまれた“村上ワールド”満載な作品となっている。

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当初は『海辺のカフカ』に続き蜷川幸雄氏が演出を務める予定だったが、逝去により企画が一時中断。その遺志を継ぐ形で、2014年に蜷川氏が演出した『私を離さないで』(原作:カズオ・イシグロ氏)の脚本を手掛け、蜷川氏からの厚い信頼を得た倉持裕の演出で上演されることになった。

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フォトコールでは、松井演じるシングルマザー・小夜子のアパートで、主人公である作家の淳平(古川)が小夜子の娘に「くまのまさきち」という話を即興で語って聞かせる第1場のシーンが公開。娘を寝かしつけた後、小夜子が淳平に地震のニュースが流れて以来、娘が悪夢に怯えていると相談する姿が描かれた。

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続いて、淳平が書いた小説「かえるくん、東京を救う」の世界が舞台上で表現された第2場、第9場。信用金庫に勤める冴えないサラリーマン・片桐(川口覚)のもとに突然やってきた“かえるくん”(木場勝己)が、東京に迫る大地震を食い止めるために奮闘する物語が展開していく。

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村上春樹が描いた2つの短編小説が見事にミックスされ、淳平を演じる古川が持つ柔らかでふわふわとした空気感が世界観を包み込んで見事に一つの物語として紡がれていく。観る人によって感じ方の違う話を、実力派のキャスト陣が多角的に表現することでよりさらっとしつつも、観た後に色々と考察したくなる仕上がりになっている。

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3年半ぶりに舞台に挑むという古川は「感覚的に忘れていることがありつつ、『あ、舞台ではこういう表現していいんだ』みたいな新たな発見もありました。映像作品とは違って稽古があって、稽古はすごく役者として学べることが多くて成長できる場でもあるなと。課題もたくさんありましたけど、真剣に、楽しくやらせていただいております」と、久々の感覚を楽しんでいる様子。

古川と松井は今回が初共演だということでお互いの印象を聞かれ、古川は「松井さんはすごい透明感があって、知的な感じもあって、小夜子という役柄もそういう役なのですごくぴったりだなと。稽古の取り組み方などを見ているとプロフェッショナルだなと感じて、何事にも全力で取り組んでいて素晴らしいなと思います」とそのプロ意識を絶賛。

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一方の松井も「古川さんも淳平という役にぴったりの方だなと思います。稽古場では黙々と淡々と稽古に打ち込んでいる姿を見たんですけど、昨日のゲネプロでステージに立った瞬間に稽古場での2倍も3倍もパワーアップしてお芝居をしているのを見て、『そのエネルギーに私たちも付いていかなきゃ!』という気持ちになりました。すごく引っ張っていってもらえている感じがしてとても頼もしかったです」と古川のすごさを語った。

今作は世界的に注目を集める村上春樹の短編小説が原作。2018年に文芸誌で小説家デビューを果たし、2019年4月には自身初の短編小説集「カモフラージュ」を発売した松井は、「舞台の台本を読んだ時に『難しいな』と思ったんですけど、小説を読んでもやっぱり難しくて・・・。でもそれを稽古していく中で『これはどういうことなんだろう』『どういう風に村上さんはこの物語を伝えたかったのかな』という、読む側に余白や考える部分を与えてくれているのはすごくいいことだなって思いました。読み終わった後も楽しめるなと」と村上作品のおもしろさを語った。

また「二つの作品が混ざり合っているので、どう舞台化されるのか不思議だったんですが“かえるくん”という木場さんが演じているキャラクターが、すごく作品全体を上手くつないでいて、その感覚が見ていて楽しいです。私たちもかえるくんが話す物語に乗せられていくというか・・・一緒に転がっていく感じがして、稽古で見ていても楽しいなとずっと思っていて、稽古場に行くのが毎日楽しかったです」と振り返った。

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古川も、本作について「この舞台のひとつの特徴でもあるんですけど、普通の会話劇ではなく、例えば僕が相手の心情について話したり、急に僕がナレーションになったり、僕が出ていない『かえるくん、東京を救う』という短編小説の方に僕が上手く入って行ったりという普通の舞台では味わえない雰囲気がこの舞台はあります」と語り、「それがまた村上さんの作風とすごくマッチしていて、原作を読んだ時とはイメージが違う部分もあると思うんですけど、そういうところを楽しんでいただければと思います」とアピール。最後に「身を引き締めてこの舞台を頑張りたいと思います」と意気込んだ。

『神の子どもたちはみな踊る after the quake』は下記の日程で上演。上演時間は、約1時間40分を予定。

【東京公演】2019年7月31日(水)~8月16日(金) よみうり大手町ホール
【愛知公演】8月21日(水)・8月22日(木) 東海市芸術劇場 大ホール
【神戸公演】8月31日(土)・9月1日(日) 神戸文化ホール 大ホール

【公式サイト】https://horipro-stage.jp/stage/kaminokodomo2019/

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)

 

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