植田圭輔「最後のシーンのためにやってきた」舞台『pet』-虹のある場所-開幕


2019年7月29日(月)に東京・神田明神ホールにて、舞台『pet』-虹のある場所-が開幕した。本作は、「イムリ」(「⽉刊コミックビーム」連載中/KADOKAWA刊)などで知られる三宅乱丈の同名漫画を原作とした舞台作品第2弾。2018年1月に第1弾「壊れた水槽」が上演された。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、植田圭輔、桑野晃輔、谷佳樹、萩野崇、君沢ユウキ、伊勢大貴、あまりかなりが登壇した。

本作は、TVアニメ・舞台『pet』プロジェクトとして、昨年9月に始動。主人公・ヒロキ役の務める植田は、今後放送が予定されているTVアニメ版でも同役の声優を担当することが決定している。舞台の総合監修はなるせゆうせい、演出・脚本は伊勢直弘が手掛ける。

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植田が演じるヒロキは、「pet」と呼ばれる特殊能力を持つ少年の一人。人の意識に潜り込み記憶に操る能力で、自分たちを管理する中国マフィアのため、人の記憶を破壊し、廃人に追い込む任務を強いられることもあった。ヒロキたちは、パートナーであるヤマ親(※人の心を支える中で最も大切な記憶の「場所」をヤマ、忌むべき記憶の「場所」をタニと言い、ヤマの記憶を人にシンクロし分け与えた人物のことをヤマ親と言う)と一緒にいるだけで幸せだった・・・。

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舞台は本作でラストまで描くということで、「今回の物語は、前作の伏線を回収していくような内容になっています。目の前で起こっている事実に関して心を奪われたり、涙したり、ぐっときたり、かわいそうだな、辛いなとか、観ているお客様にも思ってもらえるかと。しっかりと、僕たちが完結させたいなと思っております」と植田。

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また、ポイントとして「それぞれの愛の形」を挙げ、「(どこかインタビューで)一言で言えば、“掛け違えたボタン”のような作品ですと表現したことを覚えているんですが、それぞれの愛が“最愛”なのか、“狂愛”なのか、“憎愛”なのか、それは観る人によって変わるのが、この物語における一つの見どころなんじゃないかな。舞台上の感情、行動、仕草の一つ一つが簡単ではなく、相当気合いを入れて挑まないと自分を保てないことを、このメンバーはできていると思うので、全メンバーの一挙手一投足を見ていただきたいです」とアピールした。

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ヒロキのヤマ親「司」役の桑野は、本作について「人が壊れていく様は美しいということが、今回の作品には美学として描かれていますので、美しく壊れて、完結に向かって役と作品を昇華したいなと思います。また、司と出会って、当たり前のことが当たり前じゃなくなることは、本当に怖いことだなと思うようになりました。おはようってみんなに言えて、笑顔で笑えて・・・日常って、本当に幸せなことなんだなと、この作品に携わって感じるようになりました」と噛みしめる。

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ペットの一人「悟」役の谷は「本作は2.5次元舞台ですが、決して派手ではない作品です。だからこそ、一人一人がまっすぐ勝負するしかない作品でもあります。前作は、物語のルールや世界観を踏まえた上での序盤のお話だったんですが、今回それが一気に広がります。僕が演じる悟は、ほぼ全員を繋ぐ役どころなので、バトンを受け取るつもりで稽古に臨んでいたんですけども、みんなのパワーがすごくて(笑)。そんなみんなが、それぞれ発するエネルギーをこの近い距離で直に感じていただけるのは、とても魅力なのではと思っています」と語った。

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萩野が演じる「林」は、「司」と「悟」のヤマ親であり、この物語の冒頭を大きく動かした人物。役として「厳密に言うと親ではないんですが、親が感じるような想いが伝わったり、伝わらなかったり・・・細かいところまで大切に演じていきたい」と、あたたかな眼差しを投げる。また「演劇の非常におもしろいところなんですが、同じ脚本で、全く同じ作品をやっていても、毎公演少しずつ何かが違うんですよね。だから、植ちゃんが果たしてどういう思いで、最後の瞬間に立ち会うのか、僕も楽しみにしています」と、主演の植田に対する期待を口にしていた。

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「桂木」役の君沢は「4人(植田・桑野・谷・萩野)は“イメージ”(記憶を操作できる者がその能力を発動する際に使う疑似記憶)という能力が使えるんですが、僕の演じる桂木という役は、そういった能力が一切使えない殺し屋です。一見悪いヤツに見えるんですが、いろんな過去があって、みんな形成されている。最初から悪い人は本当にいるのか?と感じたり、自分のことも振り返ったりしていただけると思います」と説明。

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中国マフィアの首領“社長“の甥・ロン役の伊勢は、自身と関係の深いメイリン(安西禀)が、前回は映像だったが今回はキャストとしていることを喜び、「大切な人が自分の想像してたものと変わってしまった時、どういう選択をするのか。きっとこの作品は、その答えに導いてくれるんじゃないかなと思っています。特に桂木のシーンや、悟・司・ヒロキのシーンで、僕はすごくそれを感じます。愛している人が変わってしまった時の自分の気持ちを、作品を通じて感じてほしいです」と続けた。

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社長の姪・ジン役のあまりは「ラストシーンは、毎回稽古場でも涙を流しながら観ていました。さまよい求める愛の形が生む光景を、皆様にも共有していただければと思います」とコメントした。

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最後に、植田は「どの作品もそうなんですが、このメンバーでこの演目をするというのはきっと二度とないことなので、僕たち自身も、この作品にこのメンバーで挑めることに感謝しながら、皆様に物語を届けていきたいなと思います。我々petたちが存分に勘違いし、思い違いをし、すれ違っていくので、何か胸が痛くなっていただければ、しめつけられれば、最後には朝日が昇るような気持ちで帰っていただければ。その最後のシーンのために前作からやってきましたので、皆様にもその瞬間を見届けていただければなと思います」と呼びかけ、会見を締めくくった。

舞台『pet』-虹のある場所-は、7月29日(月)から8月4日(日)まで東京・神田明神ホールにて上演。上演時間は、約2時間(休憩なし)を予定。

(C)三宅乱丈・KADOKAWA /舞台「pet」製作委員会

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