岩松了が東出昌大と突き詰める“嫉妬”を感じる心『二度目の夏』開幕


M&Oplaysと岩松了が定期的に行なっているプロデュース公演の最新作『二度目の夏』が2019年7月20日(土)に開幕した。東出昌大を主演に迎え、岩松が新作を書き下ろした本作の公開フォトコール&囲み会見が、7月19日(土)に本多劇場で行われ、東出と仲野太賀、水上京香、清水葉月、菅原永二、岩松了、片桐はいりが登壇した。

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これまで宮藤官九郎主演の『アイドル、かくの如し』や『結びの庭』、小泉今日子主演の『家庭内失踪』など、数々の話題作を提供してきた本シリーズ。今作では、湖畔の別荘を舞台に、ある夫婦と夫の親友、そして彼らの周りの男女が繰り広げる、大人のための恋愛劇が描かれる。

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この日のフォトコールでは、慎一郎(東出)が3日ぶりに妻のいずみ(水上)と再会する、第1場のシーンが公開された。慎一郎が外出中、仲の良さそうな姿を見せるいずみと北島(仲野)。その様子を怪しむ家政婦の早紀子(清水)と慎一郎のことを心配する相談役の落合(片桐)。さらには、早紀子に強引に言い寄る秘書の上野(菅原)と、入り組んだ人間関係が描かれた。

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誰かが誰かを想い、それと同時にどこかで嫉妬や不快感が生まれる。まるで人間社会の縮図のようだ。そして、その濃厚な人間関係は今にも崩壊しそうな危うさを含んでおり、サスペンス的なハラハラした気持ちにさせる。少しずつ歪みが見えている男女の関係がどう発展していくのか、はたまた崩れていくのか、見ものだ。

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会見では、東出は「岩松組に参加できるというのは役者としての誉れでもありますし、下北沢のシンボルである本多劇場でできるということにも『いよいよか』という思いがあります。気負うところもありますが、全力を出し切れればと思います」と挨拶。仲野も「岩松さんの戯曲で、演出で本多劇場に立てるということに喜びを感じています」と思いを吐露すると、「緊張感も高まってきていますが、やるべきことは変わらない。いい状態で持っていけたらと思います。少しでも多くの人に見に来てもらえたら」とコメントした。

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また、岩松組初参加の水上は「岩松さんを始めとする素敵な方々と憧れでもあった本多劇場で舞台ができるのは幸せなこと。お客さんに見ていただけて作品が出来上がっていくと思うので、たくさんの方に見にきてもらえれば」、同じく初参加の清水は「稽古でたくさん重ねてきたものがありますが、場当たりに入ってもまだまだ新しい発見がある。すごくおもしろい脚本で、これからもいい状態にどんどん変わっていくと思います」、菅原は「お客さんからどんな反応、感想があるのか楽しみにしております」とそれぞれ初日に向けた思いを語った。

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15年ぶりに岩松作品に出演するという片桐は「(出ていなかった)15年間も欠かさず見ていますが、(この作品は)あまり見たことのない種類のお芝居が出来上がったと思います」と自信をのぞかせる。そして「戦慄が走りました。見たことがないようなお芝居になっていると思うので、その辺もお楽しみにしてもらえれば」とアピールした。

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岩松といえば「千本ノック」とも称される、役者に繰り返し芝居をさせる演出スタイルが有名だが、東出は「毎回新しい発見があって、新たに生まれて死んでいくというサイクルがスリリングで新鮮でした」とどこ吹く風。仲野も「繰り返しやるたびに演じている自分自身も、お芝居自体も色も形も変わってきて、戯曲の奥深さを毎回感じます」と話し、「できることなら4千本でも5千本でも受けたい」と意欲を見せた。

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その岩松は、本作について「東出さんを使って嫉妬の話と考えた結果こうなりました。嫉妬はドラマになりやすい人の感情だと思いますが、それを直接的でなく、『嫉妬を感じる心があるのかないのか』というところにとどめた話にしたいと思ったんです。それによって人間の儚さを突き詰められる気がしました」と改めて言及し、「本を書くのは大変でしたが、稽古をして、みんなが動く姿を見ると報われるような感覚に陥りました。初日を迎えることに非常にワクワクしています」と思いを明かした。

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M&Oplaysプロデュース『二度目の夏』は以下の日程で上演。上演時間は2時間5分(休憩なし)を予定。

【東京公演】7月20日(土)~8月12日(月・祝) 本多劇場
【福岡公演】8月17日(土)~8月18日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【広島公演】8月20日(火) JMSアステールプラザ大ホール
【静岡公演】8月22日(木) 静岡市民文化会館 中ホール
【大阪公演】8月24日(土)・8月25日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【名古屋公演】8月27日(火)・8月28日(水)日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
【神奈川公演】9月1日(日)湘南台文化センター市民シアター

【公式サイト】http://mo-plays.com/secondsummer/

(取材・文・撮影/嶋田真己)

 

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